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終戦の日 靖国神社にて その2


私は正午過ぎに神社を後にし、東方向に、神保町の古本屋街方向に向かった。神社の外や、最寄り駅の九段下周辺、それに日本武道館のあたりに、様々な政治的、宗教的団体が集まるという話を得ていたからだ。


大鳥居の先、神社の敷地と歩道の境界には警察が設置したバリケードがあり、それで、入り口を小さくしていた。警官は多く、機動隊の車両も何台も止まっていた。ここで何が起きうるのか、それを物語っている。


そこからメトロ九段下駅の入り口まで、わずか100メートルほどの間には、少なくない数のチラシ配りがいて、彼らの横断幕やテントがあった。

「日本は侵略国家ではない、不敬言動徹底粉砕」を掲げる垂れ幕のそばには、厳しい顔をした中年男性が二人。徹底粉砕とはどういう意味だろうか、自分達の意に沿わない人々への、実力行使なのだろうか。

新しい歴史教科書に関する会の関係者もいた。きっと、靖国神社のことを大々的に教科書に書いて、子供たちに参拝させるのだろう。

保守派による戦史検定のチラシ。私はのちにネット上で公開されている初級問題10問を解いたら、9問正解で「小隊長」のランクになった。司令官から小隊長までランクがあるなんて、この検定の関係者は戦争賛美者なのだろうか。

大きな声で演説をしているのは、ウイグル問題関連の組織の人。中国によるウイグル人への弾圧を非難している。それに関する女性を主役にした漫画の小冊子をもらった。東トルキスタン問題の垂れ幕もあった。

熱心に署名活動をしていたのは、北朝鮮による拉致被害者問題の人たち。若い女性を絵に描いたものをくれた。


中国政府に弾圧されている宗教団体・法輪功の人も多かった。新聞をもらう。その関係なのか、中国共産党を非難する垂れ幕もあった。

(15年ほど前、ロンドンに留学していた私が一時帰国して、上野駅の周辺を歩いていたとき、法輪功のパネルを歩道脇に展示している人たちを見かけた。拷問された人の写真が痛々しかったのを覚えている)

中国の情報機関は、こういう集まりを監視しているのだろうか。あるいは日本の公安警察と水面下で衝突しているのか。



バリケードがいくつも並ぶ、靖国神社のそば。

第6機動隊のバス。同部隊は羽田空港のそばに拠点を持っている。かつては対テロ特殊部隊SATの前身の部隊が所属していたそうだ。


この4枚の写真はいずれも、中国に対立する組織や地域の団体を写したもの。なぜ彼らが終戦の日に、ここに集まるようになったのか。

私は気がつかなかったが、この近くを天皇制に反対する団体のデモ行進が通過したと、ニュースにあった。



ここに集う人々は靖国神社をどう見ているのだろう。知りたいことはいくつもあった。最後に、ここで紹介した団体と私の間には何の関係もない。

おわり

大川光夫です。スキを押してくださった方々、フォロワーになってくれたみなさん、感謝します。もちろん、読んでくださる皆さんにも。