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FIREBUG|2023年のエンターテインメント!佐藤詳悟(@sato_shogo1)

SNSをきっかけに新たなヒットが生まれた2022年を振り返る

昨年1月のnoteでは、エンターテインメントビジネスの主戦場はテレビから“SNS”に移り、SNSをきっかけに新たなヒットコンテンツが生まれていくだろう、と予測しました。
映画『THE FIRST SLAM DUNK』や『ONE PIECE FILM RED』、ドラマ『silent』、SNS漫画『ちいかわ(なんか小さくてかわいいやつ)』など、2022年にヒットしたコンテンツを分析してみると、改めてSNSがコンテンツをヒットさせるかどうかの重要な役割を担っていた、ということが分かります。
SNSの話をする前に、ヒットするコンテンツの条件として「コンテンツ自体が面白いこと」が挙げられます。どれだけSNSで発信したくなるような仕掛けをつくっても、コンテンツ自体が面白くなければSNSを超えて、マスに広がっていくことはないでしょう。
ただ、コンテンツの面白さは“クリエイター頼み”の部分も強いので、基本的にはクリエイターの力を信じるしかないでしょう。クリエイターがやりたいと思っていることを実現できるようなチーム体制、環境を整えていくことが大事になります。

今の時代にヒットするコンテンツの方程式

それを踏まえた上で、いかにSNS上に「コンテンツの感想を投稿してもらうか」が重要です。そのためには、いきなりマスを狙うのではなく、まずはコアなファン層を狙う。例えば、『THE FIRST SLAM DUNK』や『ONE PIECE FILM RED』はもともと原作に数千、百万人単位でコアなファンがいるので、その人たちが初日に劇場に足を運び、SNSに感想を投稿します。また、『ONE PIECE FILM RED』に関しては歌い手のAdoが劇中に登場する歌姫・ウタの歌唱パートを担当しており、Adoファンを取り込んだのも大きかったと思います。

ドラマ『silent』に関しては、9人組男性アイドルグループ「Snow Man」のメンバー・目黒蓮さんが出演しているほか、主題歌は4人組ピアノポップバンド・Official髭男dismが担当するということもあり、1話目から視聴するファンが一定数いたと思います。

また、お金を払ってみる映画とは違って、誰でも無料で見れるテレビドラマなので、コアファン以外の人たちの目にも留まりやすかった。コンテンツ自体の面白さもあってので、1話目を見た人たちが「面白い」「泣ける」といった感想をSNSに投稿し、それを起点に「silentが面白いらしい」ということで新規の視聴者が一気に増え、さらにテレビが取り上げることで、その勢いに拍車をかけたというわけです。

『ちいかわ』はもともと、作者のナガノさんが『自分ツッコミくま』というTwitter漫画を展開しており、一定の人気がありました。そのコアファンが初期の段階から『ちいかわ』を読んでいたことに加えて、独特な世界観の面白さ、キャラクターの可愛らしさも相まって新規の読者を取り込み、人気になっていきました。マスに広げるという意味では、2022年4月に「めざましテレビ」(フジテレビ)内でアニメ放送をスタートしたことも大きかったと思います。アニメがきっかけで原作を読み始めることにした人も多くいるはずです。
こうしたヒットコンテンツを分析していくと、結局のところコアファンが多いものが最初の伸びが良く、なおかつSNSリテラシーが高いファン層だと自然とSNSでコンテンツが広まっていく。そうするとメディアが反応し、テレビが取り上げるようになり、そこから一気にマス層に広がっていく、という流れになっているのかなと思います。

そういう意味では、「コンテンツの面白さ」と「SNS」の組み合わせがない限りはヒットしないんだろうな、と。逆に言えば、コンテンツが面白ければ間違いなくSNSに波及する時代でもあるので極端な話、コンテンツが面白ければヒットするんだと思います。

一方で、元も子もない話になってしまうので、個人的にはある程度のコンテンツはすべて面白いのではないかという説もあって(笑)。そう考えると、SNSでの投稿量をどれだけ増やすかが、結果的に「面白い」につながっていくのではないかとも思っています。

例えば、SNS上で自分が知っている有名人が「面白い」と投稿していたり、身の回りの友人が「面白い」と投稿していたりしたら、コンテンツに対する信頼度は高くなると思います。その信頼度の高さが映画やドラマであれば「視聴する」という行動につながっていき、そしてコンテンツが面白ければシェアするといったことにつながっていく。

やっぱり人間は信頼している人たちがSNS上でどれだけ「良い」と言っているかの総量によって、コンテンツの良し悪しを判断する側面も大いにあると思います。そのため、SNSの投稿量がどれだけ多いかもヒットにつながる大事な要素です。

SNSの投稿量を増やすためには、SNSリテラシーが高い人たちがファンかも大事になるので、プロデュース側はSNSリテラシーが高い人たちに合わせたコンテンツを作るのは、ヒットを生み出すためのひとつの方法なのではないかと思います。

YouTubeは「YouTube ショート」が伸長

2022年にヒットしたコンテンツを見ていくと、改めてSNSを中心に世の中のトレンドはつくり出されているなと感じます。SNSに関しては、2022年は短尺動画が盛り上がった1年だなと思います。

YouTubeでは「YouTube ショート(YouTube Shorts)」が大きく盛り上がりました。また、日本語のコンテンツではない動画を投稿する日本人クリエイターが増えたなと感じました。やっぱり動画は英語にすれば一気にリーチできる人数の母数が増えるので、日本語以外の動画が増えていくのは自然な流れかなと思います。特にYouTubeではその兆しがありました。

TikTokは引き続き「ダンス×音楽」の組み合わせ

TikTokは、SEKAI NO OWARIの「Habit」やSnow Manの「ブラザービート」のダンス動画がバズるなど、昨年に引き続き「ダンス×音楽」の組み合わせが盛り上がった1年だったと思います。あとは個人だけでなく、グループで踊る動画も増えた印象です。それに加えて、海外では新広告プログラム「Pulse」が始まるなど、いよいよTikTokでマネタイズできるようになっており、来年以降はそれが日本でも開始されるかもしれません。
YouTubeやTikTokの盛り上がりを見ていると、改めて「個」の時代が進んでいるなと感じます。今はスマホでサクッと見られる動画が求められる時代になっており、そうした需要に個人が制作した短尺動画がフィットしている。コンテンツ自体がリッチになっているわけではないのですが、すごく今の時代に求められるフォーマットになっているなと思います。そのためプラットフォーム側も個人のクリエイターを後押しする取り組みを始めています。

Pinterestは作り込まれたコンテンツの需要が高い

またここ数年でPinterestの名前をよく聞くようになったのですが、PinterestはYouTubeやTikTokとは異なり、作り込まれたコンテンツが求められていると感じています。例えば「リビング お洒落」などのワードで検索する需要が高いので、素人が適当に撮影した写真ではなく、プロが撮影した作り込まれた写真がたくさん並んでいる印象です。

Web3は「面倒くさい」を解消するサービスが登場するかどうか

SNSではないかもしれませんが、2022年特に盛り上がりを見せたWeb3に関しては言っていることの方向性は正しいと思っています。ただ、アーリーアダプター以外の人は仕組みが難しく、ほとんどの人がウォレットを持つことも面倒くさいと感じているはずです。そこの悩みを解消するサービスが登場し、エンドユーザーがより使いやすくなっていけば、言っていることの方向性は正しいので広がりを見せていくのではないかと思います。

いずれにせよ、SNS中心の時代になったことでクリエイティブなものをつくれる人にとっては間にいろんな人を挟まなくていい時代になり、より活動しやすくなりました。クリエイターが自分でやりたいものをやっていき、そこに収益が集まっていく。今年以降も、その流れがより加速していくんだろうと思います。

その一方で、個人のクリエイターが活動する際、投げ銭などはプラットフォームの課金システムがあるので問題ないですが、企業の広告案件などは間に入る存在が必要になる。企業側のやりたいことを代弁したり、整理したりする人は求められると思うので、FIREBUGがそのポジションを築いていきたいと思っているところです。

今後のエンタメビジネスでは、SNSを活用して新しい広告体験をつくれる会社が生き残っていくと思いますし、今以上に個人のクリエイターが増えるので、その人たちのデータベースもつくっていかなければと思っています。近い将来、海外企業が日本人のクリエイターを広告で起用したいパターンも増えてくるはずなので、そのときに日本人のクリエイターのデータベースを持っておき、ニーズに応えられるようにしておきたいです。

また、エンターテインメントという視点では来年以降、海外にバックボーンがある若い世代のアーティストが日本から日本から英語の曲を発信し、それがSNSでバズって、いきなりグローバルに展開していく人も出てくるのではないかと思います。

1人のグローバルスターが日本から輩出できたら、一気に日本のエンターテインメント業界の空気もガラッと変わるはずです。国内のマーケットだけではビジネスができなくなり始めているからこそ、いきなりグローバルを目指していく人も増えていくと思います。

2023年以降のエンターテインメントも引き続き、「個の時代」がテーマになっていくでしょう。テレビの出演を求めていない人は個人の活動を増やしていきますし、テレビへの出演を求めている人は芸能事務所に残る。それが永遠に続いていくと思います。そこに加えて、来年以降は「グローバル」というラインが出てくるのではないかと思っています。

弊社は「タレント=面白い全ての人」のエンパワーメントパートナーとして活動しているわけですが、弊社は上記のような流れの中で、まずは企業課題をタレントさんとエンタメで解決をしていきたいと思っています。具体的に2023年は、引き続き企業広告とタレントの最適なマッチングをしながらマーケティングコンテンツを作っていきたいと思っています。またそのコンテンツの質を上げていくために、タレントのデータベース化や、LIVEPARTYを活用した新サービスなどどんどん立ち上げていく予定です。

また、エンタメと相性の良さそうな研修やリスキリングなどの分野にもチャレンジしていきたいと思っています。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

株式会社FIREBUG 代表取締役 CEO 佐藤詳悟
Twitter:https://twitter.com/sato_shogo1


本年もタレントを活用したコンテンツ制作やマーケティング施策についてご興味がある方はお気軽にご相談ください!





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