柊うた

│散文│詩│

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始めの1歩にも満たない。

『此処までの足跡を見詰める。歪で、不揃いな色をした足跡。心の表情がよくわかる。 空想でも、現実でも、変わらない。 時に痛みに身を焼かれ、もがき、這いつくばりながら、確かに、ここまで歩いてきたんだから。』 柊うた(ひいらぎうた)、と申します。此処には、詩のストックを投稿していきます。 詩のことを、言葉遊び、もしくは、言葉紡ぎ、と呼んでいます。言葉には感情が宿る。どの言葉も私の欠片であり、かけがえのないものです。自己肯定感は低くても、これだけは譲れません。 唯一、付き合いの長い

    • R5.11.02〜Twitterログイン出来てません。

      • グレープフルーツ

        無理に搾り出しても 結局はどこかに 亀裂が入ってしまうから 脱力して構えずに居ても 余裕だねなんて 意味の分からないことを言われる始末 自分なりに正しく居るつもりでも 他人からやけに突かれて 壁を作れば破壊しに来るのに どうして心を開くことが出来るのか 心無い言葉に胸を痛める 些細な優しさに泣きそうになる 感覚が尖ったり鈍ったり そうして生きていく今日 考え過ぎだよと肩を叩かれ笑われる 無機質な道化の仮面が目に入る 愛想笑いの経験値が上がる 不安定に慣れる 慣れたつも

        • 眠れない夜に、時間を消費する。

          「はぁ」 情けない溜息だ。しかも、こんな変な時間に起きてしまった。ワイヤレスイヤホンは、ケースに仕舞い忘れていたので充電が全くなかった。眠気を誘うASMRを検索して、それを聴きながら目を閉じるという選択肢は絶たれた。なぜ枕の下に、ご丁寧に左右対称で置いてあるのか。寝る前に何かしら聴いていた記憶はある。その後意識が落ちてしまったと思われる。夢の内容は覚えていない。ノンレム睡眠か。 「あーあ、眠れないっ」 寝返りをする。繰り返す。気付けばスマホを手に、弄っている。嗚呼、ブルーラ

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        始めの1歩にも満たない。

          『彼方』

          それはたぶん、夢だった。 僕はとても綺麗な服を着て、舞うように草原を駆け抜けていく。いや、湖かも知れない。低く、小さく唸る水面を、爪先でそっと慰める。 それはまるで、翼だった。 飛ぶって、こういう感覚なんだ。羽根のように軽やかで、何処までも行けそうな気がする。何でも出来そうだ。 夢だから、景色がうねり、場面を変える。 様々な色が呼吸をして、次の色へと繋がっていく。 自由になれた気がした。 そう、これは、夢だった。 こんなに美しい世界を、僕は知らない。もうすぐ終わってし

          『彼方』

          『凍結』

          ーーーなんて情けないんだろう。僕は未だ、僕をこんなにも理解出来ていないなんて。 ベッドの中、踞る。外では世界が色付き始めている。心なんてものがあるから、こんなにも掻き乱されて、苦しくて、今にも死んでしまいたいような、どうしようもない衝動に身を焼かれるのだ。どうして僕は、こんな。何が不満か、言葉に出来ない。満足なんてしていない。きっと、僕はとても恵まれている。寝床も、服も、食事も、お風呂だって、何だって当たり前にある。僕は自由な筈だ。けれど心だけが不出来で、どうしようもなく嫌

          『凍結』

          砂に沈む

          嘘と偽善とほんの少しの本音と 砂のような苦味が 眠れない夜を演出する 嘘と偽善とほんの少しの本音と どれが真実かなんて重要じゃない 早く睡魔を返してくれ 早起きの憂鬱 朝なんて来なければいい そういえば靴下が片方ない 乾燥機の音が煩い 隣の部屋から愉快な寝息の調べ 明日は見たくもない顔を見て へらへら愛想振り撒いて いつの間にか穴の空いた靴下 焦げ付いた心の端っこ 考えれば考えるほど 煮詰まって 味がどんどん濃くなって 塩気が強いだけなら美味くない 丁度いい匙加減でいた

          不摂生

          出されたものは食べます ちょっと美味しくないけど 出されたものは食べます その間だけ幸せだから 愛なんて夢見て 毒を飲んで 吐くように笑って 全部が全部 必要なわけじゃない だから嗚呼、泣くように笑って ただ生きているだけ 逃げてるだけ 不摂生 君に会いたいな それだけじゃ生きられないけど 君に会いたいな それだけじゃ幸せじゃないけど やりたいことは山積みだ 最優先事項 後ろ手に愛想笑い 頑張ることから逃げたい 真っ当に輝くことから逃げてる 何がしたいのか こっちが

          永遠を夢見る少女

          長い睫毛に夢を乗せて ふかふか毛布に包まって さあ今宵も夢を見よう 七色梟に案内してもらおう ラムネをふたつみっつ それが切符代わりになる 今日はラムネをいつつむっつ これで明後日まで大丈夫 長い睫毛に夢を乗せて ふかふか毛布に包まって さあ今宵も夢を見よう 七色梟に案内してもらおう 金平糖であなたを買った 愛を頂戴一夜限り これ以上は胸焼けしそう 続きは明後日にしましょうね 長い睫毛に夢を乗せて ふかふか毛布に包まって さあ今宵も夢を見よう 七色梟に案内してもらおう

          永遠を夢見る少女

          料理

          子供の頃に遊んで怪我した 真っ赤な罰を見て泣いた 心配かけてごめんね 決心がついたら上手くやるわ テレビでなめらかな作法 真っ赤な罰はそこに無く 未だにこわくてごめんね 決心がついたら上手くやるわ ねえ、教えて先生 どうやったら魔法みたいに 素敵な料理 ねえ、教えて先生 誰もが唸り虜になる魔法を 素敵な料理を 子供の頃に遊んで怪我した 真っ赤な罰を見て泣いた けれど今はもう 上手くやれてると思うの、わたし (2021/05/07)

          ひめごと

          沸騰する音 無視して跳ねる たんたた、たん 生きる音 幸福と祈り たんたた、たん 湯気が見えるわ いつも火照った色で 白い糸に踊る 細い指先、か細い声で なんども、なんども ほら、湯気が見えるわ たんたた、たん 禁止された鎖でふたり (2021/05/07)

          さようならを片手に

          当たり前を飲み込んで 君にちゃんと言わなきゃな 明日なんて不確定だし この腕は短いし 絶対とか約束とか 沢山繋ぎ過ぎたせいで お互い苦しくなってたね ありがとう、だから さようならを片手に これで終わりじゃないけど もう逢うのはやめよう さようならを片手に 海岸沿いを裸足で 鈴のように笑ってさ 忙しい合間を縫って 二人深夜に出掛けたけど 当たり前を飲み込んで 君にちゃんと言わなきゃな 明日なんて不確定だし 心は泳いでいくだけ 沢山ケンカしたね 泣かせてばかりだったね 君

          さようならを片手に

          I feel nothing but regret

          不甲斐ない私にあなたはそうやって いつも優しくしてくれるから 泣いてしまう 欠けた心を縫い合わせて その日暮らしで 何も出来無い侭で 心の有様を眺め あなたの気配を覚え 甘えてしまう私を叱ってほしい 欠けた心を縫い合わせて その日暮らしで 何も出来無い侭で あなたは赦してくれるでしょう あたたかな手で 私は深夜に溺れる名も無き魚 融けて無くなる日を夢見る魚 欠けた心を縫い合わせて その日暮らしで 何も出来無い侭で生きる 今日もまた身を寄せる 欠けた心をほどいて ど

          I feel nothing but regret

          ひらひら舞うあなたを高熱で撃退したわ あなたの苦しみをいつか私も味わうことでしょう 睨み付けたの私、罪も無い筈のあなた ただの偶然出会っただけなのに 無駄な殺生、殺生、殺生、禄で無し みんな結構、結構、結構、慈悲も無し 害を成すと決め付け制裁を下す 自分と違えば恐怖を感じ遠ざける、醜いものね 無駄な殺生、殺生、殺生、禄で無し ひらひら舞うあなたを高熱で撃退したわ あなたの苦しみをいつか私も味わうことでしょう (2021/04/20)

          記憶の公園

          はにかんだ笑顔をピンで留める あなたの心に黒い花 愛してくれなんて泣かない そう言って黒い花は枯れていく 枯れて 枯れて 春を知らず 落ちて 落ちて また焦がれる 想い 重い 思い出して 夕暮れに手を振る またあした 写真に透明な線の痕 書いて、消して、懺悔をした 印刷が擦れて小さな穴 消して、書いて、繰り返しても 色彩の足跡がすべての道を 肯定してくれるなら 僕らを赦してくれるのなら 枯れて 枯れて 春を知らず 落ちて 落ちて また焦がれる 想い

          記憶の公園

          ほどける

          聴きたい歌があった 教えたかった 抜け落ちた欠片 あの日振り返った君の顔が思い出せない レクイエムのよう 煌めいて 遥か彼方の亡霊が手を振る 終わらないエピローグの手招き 遥か彼方の亡霊が手を振る ありがとうも さようならも 全てはあの日に還る レクイエムのよう 煌めいて 揺らめいて 蜃気楼 聴きたい声があった 話したかった 抜け落ちた欠片 あの日振り返った君の顔が思い出せない 泣きたい筈なのに 何も出てこない 言葉も滴も感情すら 抜け落ちた、 レクイエムのよう