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眠れない夜に、時間を消費する。

「はぁ」
情けない溜息だ。しかも、こんな変な時間に起きてしまった。ワイヤレスイヤホンは、ケースに仕舞い忘れていたので充電が全くなかった。眠気を誘うASMRを検索して、それを聴きながら目を閉じるという選択肢は絶たれた。なぜ枕の下に、ご丁寧に左右対称で置いてあるのか。寝る前に何かしら聴いていた記憶はある。その後意識が落ちてしまったと思われる。夢の内容は覚えていない。ノンレム睡眠か。

「あーあ、眠れないっ」
寝返りをする。繰り返す。気付けばスマホを手に、弄っている。嗚呼、ブルーライトが睡魔を更に遠ざけていく。
布団に潜り、暑くなって剥ぎ、何となく潜り…何分感覚で繰り返しているのか。
頭の奥が冴えているのがわかる。さて困ったな。んんん、と唸ってみる。スマホの充電は12%を示している。君も私を見放すのか、裏切り者め。
充電器のコードを繋ぎ、スマホを接続。痒くもない頭をカリカリと掻いて、ゆっくりと起き上がる。変な寝方をしていたのだろう、腰が…痛い。冷蔵庫から飲みかけの水を取り出して、飲む。美味しい。のそのそと布団に戻り、目を閉じた。

次に目を開けた時にはすっかり日が昇っていて、アラームを掛け忘れた私は慌てて飛び起き、出掛ける準備に取り掛かった。
「やばいやばいやばい。遅刻する…。ハァ、ねっむ」
情けない声の後、欠伸をくっと噛み殺した。


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