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鑑賞

29
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読みました(感想)

読みました(感想)

 主に短歌の関連で読んだもののなかで気になるものについてだけ書いています。(本当は全員分ひとつずつ書きたいところですが、私生活に余裕がなく。すみません)

 ○

ネットプリント「くらげ界」

 存在を知ったときにはもうかなり号数を重ねていて、面白そうで、読みたいと直接お願いして、ネットプリント自体を再発行していただきました。ありがたいです。

1号
死んだ子供たちがリレーをしている/(走り終わっ

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鑑賞︰阿部完市『軽のやまめ』

鑑賞︰阿部完市『軽のやまめ』

 本︰阿部完市『軽のやまめ』(角川書店、平成三年)

 1985〜1990年の作品が収録されている。阿部完市のなかでも個人的に好きな句が多い。古書店で句集を手に入れたとき、例によって著者謹呈の紙が挟まっていた。そこに送り元が書かれていて、浦和市のサナトリウムから、とのことだった。初めて謹呈の紙を残すことにした。

 鑑賞に行く前に、読んでいて思ったいくつかの傾向について纏めておきたい。

・鮎が好

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読書︰尾上柴舟『日記の端より』

読書︰尾上柴舟『日記の端より』

 歌集︰尾上柴舟『日記の端より』(平成5年、短歌新聞社文庫)
(原本︰大正2年刊)

 柴舟といえば、短歌滅亡私論のイメージがかなり強いが、普通に短歌も好きで、〈白堊(ちよーく)をばきゝとひゞかせ〉の歌が特に印象に残っていた。
 先日寄った古本屋で偶然柴舟の名を見つけて、即座に購入した。100円。ちょうど白堊の歌もこの歌集なのでものすごく得をした気分に。

 この元の歌集は大正2年に出されたもので

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読書 | 歌集⑧

読書 | 歌集⑧

 ⑦と同様に、ここ数ヶ月で読んだ歌集にそれぞれさらさらと短い感想・一番好きな一首と評・その他好きな歌を書いていく。

 ⑦はこちら( https://note.mu/jellyfish1118/n/n57b3a8d4ddf8 )。

(目次)

千種創一『砂丘律』
𠮷田恭大『光と私語』
藪内亮輔『海蛇と珊瑚』
服部真里子『遠くの敵や硝子を』
堂園昌彦『やがて秋茄子へと到る』
田口綾子『かざぐるま

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読書 | 歌集⑦

読書 | 歌集⑦

 ここ数ヶ月で読んだ歌集にそれぞれさらさらと短い感想・一番好きな一首と評・その他好きな歌を書いていく。

 続き、⑧はこちら( https://note.mu/jellyfish1118/n/ne56d47d9f35f

(目次)

宇都宮敦『ピクニック』
石井僚一『死ぬほど好きだから死なねーよ』
永井祐『日本の中でたのしく暮らす』
斉藤斎藤『渡辺のわたし』
山本夏子『空を鳴らして』
飯田彩乃

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読書︰柚木紀子『岸の黄』

読書︰柚木紀子『岸の黄』

 色々な友だちと会話をしながら生活をして、ここ数ヶ月、僕は何にもなれないし、どこにも行けないのだということに漠然とした不安を抱いていた。ただ、どこかで、それは「ここ」を愛すことができる条件なのだろう、という期待もあって、浮き沈みを繰りかえし生きていた。

 その中で、結局、自分は短詩をやっていくうえで、何を良いものとして感受しているのかをやや見失っていた。これは良い、と思うことはあっても、何を以て

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読書 Ⅰ 図書館で借りたもの

読書 Ⅰ 図書館で借りたもの

以下の文章は半年以上前に書いたもので、だらだらと下書きに置きっぱなしにしていたので取り敢えず見える所に置いておこうと思い。

①『碧梧桐俳句集』(岩波文庫、2011)
②小澤實『万太郎の一句』(ふらんす堂、2005)
③『明石海人歌集』(岩波文庫、2012)

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①『碧梧桐俳句集』約2000句、すごいボリュームだったが、碧梧桐が新傾向俳句に向かって、自由律に漸近し

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読書 | 文フリ①

読書 | 文フリ①

2018年11月25日に東京であった文フリの収穫より。文フリに行ったのは三度目。色んな方と、初めましてとお久しぶりを交わして非常に楽しかった。
読書の意欲と速度がかなり落ちていて、ゆっくりになるが読んで感想を書いていきたい。

①「大村咲希と暮田真名の岩倉具視」(フリーペーパー/ネプリ、「当たり」特別版)
②「必要性の丘」vol.1.(フリーペーパー)
③三ツ沢歌会「三ツ沢南町」No.1(フリー

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光の広さ

光の広さ

第21回俳句甲子園作品集を買い、とりあえず全部全句読みました。感想は、季語が難しかったなあということ。インタビューで星野高士先生が「今年は若さがない」と述べていましたが、それは兼題に因るのでは、と感じます。

高校を卒業してから、作品集を全部読むことは決めていること。なかなか作品集の読者の反応は届きづらいもので、それがとても勿体ないと思っているから、ちゃんと読んで書こうと決めています。
ちなみ

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読書 Ⅰ 短歌⑥(後)

読書 Ⅰ 短歌⑥(後)

本棚の目の前に布団を敷いて寝ている。地震がきてぱたんと倒れたら、本で即死することになる。望むところだ。

〈前〉
①フラワーしげる『ビットとデシベル』(2015、書肆侃侃房)
②土岐友浩『Bootleg』(2015、同上)
③嶋田さくらこ『やさしいぴあの』(2013、同)
④鯨井可菜子『タンジブル』(2013、同)
https://note.mu/jellyfish1118/n/ne28bd32

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読書 Ⅰ 短歌⑥(前)

読書 Ⅰ 短歌⑥(前)

読書の秋。今年の秋は短い気がする。向日葵は一瞬で姿を消し、月はすぐに冷える。

〈前〉
①フラワーしげる『ビットとデシベル』(2015、書肆侃侃房)
②土岐友浩『Bootleg』(2015、同上)
③嶋田さくらこ『やさしいぴあの』(2013、同)
④鯨井可菜子『タンジブル』(2013、同)

〈後〉
⑤山田航『水に沈む羊』(2016、港の人)
⑥佐藤涼子『Midnight Sun』(2016、書肆

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読書 Ⅰ ねむらない樹

読書 Ⅰ ねむらない樹

『短歌ムック ねむらない樹』vol.1(書肆侃侃房)を買った。個人的には''新世代がいま届けたい現代短歌100''を読みたいがために買った。

こういう、〜〜ムックの形式の本は買ったことがなくて、ややドキドキしながら読んだ。なかなか情報量が多くて、これだけで随分と長い時間楽しめるなという感じがした。濃い。読みどころが多い。

気になったところ、好きだった作品などのみに触れて感想を書いていく。

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読書 Ⅰ 俳句③(前)

読書 Ⅰ 俳句③(前)

①山田耕司『不純』(左右社、2018)
②金城果音『シンメトリー』(私家版、2018)
③『しばかぶれ 第二集』(邑書林、2018)

後半→https://note.mu/jellyfish1118/n/n96f3d9e1a384
④『凪 三号』(金沢大学俳句会、2018)
⑤中村安伸『虎の夜食』(邑書林、2016)
⑥鷲谷七菜子『銃身』(邑書林、1996)

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読書 Ⅰ 俳句③(後)

読書 Ⅰ 俳句③(後)

④『凪 三号』(金沢大学俳句会、2018)
⑤中村安伸『虎の夜食』(邑書林、2016)
⑥鷲谷七菜子『銃身』(邑書林、1996)

前半→https://note.mu/jellyfish1118/n/n35cd83ec0d67
①山田耕司『不純』(左右社、2018)
②金城果音『シンメトリー』(私家版、2018)
③『しばかぶれ 第二集』(邑書林、2018)

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