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027 人材開発は人事のど真ん中

人的資本経営とかリスキリング・学び直しとか、言われてますね。

長く人事の仕事をしている立場からだと、人的資本経営なんか「何を今更当たり前のことを」と思うところも多いのですが、国が人材開発を後押ししてくれるのは、悪いことではありません。人材開発は、人事のど真ん中の仕事なのです。

人材開発担当は、以前は研修担当と呼ばれていました。研修担当は研修をすることが仕事なので、とてもdoableな名称です。研修をやれば仕事になるのですり。それに対して、人材開発担当はdeliverableな呼称です。人材が開発されなければ仕事をしたことにならないのです。研修をやれば「私は仕事をやりました」ということにはならないのです。成果をもたらすことが求められる厳しい呼称です。

そして、人材開発という概念は拡散し続けています。今では広義の人材開発と狭義の人材開発があります。広義の人材開発には、個人の今に作用する狭義の人材開発と、組織の今に作用する組織開発、そして個人の未来に作用するキャリア開発の3本の柱があります。大企業の中にはこれらを別組織にしているところも多いですが、本来は三位一体です。

ここ10年くらいで、人材開発の世界は大きく変わりました。3つほど変化を取り上げてみます。

①. 人材開発の世界は随分と科学されてきました。経験のブラックボックスの中にあったものが白日のもとにさらされ、その結果として優秀な若手が台頭しやすい環境ができました。

②. これは①とも関係がありますが、アカデミアと実業の垣根がとても低くなりました。多くの実務家が社会人大学院に通い、教員へのキャリアチェンジも普通になりました。そして、アカデミアも積極的に実務家と交流するようになりました。

③. 企業人事における人材開発のポジションが格段に上がりました。私もそうですが人材開発畑の人事責任者が増え、多くの企業の人事トップは少なくとも人材開発をきちんと語れる人です。これは新興成長企業では顕著に感じますが、JTC(日本の伝統的企業)ではまだまだのようです。いずれもデータのエビデンスのない感覚値です。申し訳ありません。ただ、明らかに肌感覚はありますし、そして人事トップが人材開発を深く理解してコミットしないと会社を成長させられないのは経験的に明らかに事実です。

いにしえの時代、人事トップの多くは労務畑でした。しかし、労働組合の組織率が低下し、成果主義が拡がるにつれ、制度企画畑が幅をきかすようになりました。そして、間違いなく次は人材開発畑の時代です。人事制度のブラッシュアップは大切ですが、ともすればdoableな仕事に陥り、企業に成果をもたらさないケースも少なくありません。国が人を資本とみて、人に投資せよという時代です。人の成長こそが企業競争力を左右するのです。どんどん現場に入り込んで、人材開発施策を自ら講じることが、私達には求められています。

※「027 人事部長引継ぎ

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