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「敷居の低い人事部に」 ~日経産業新聞 HRマネジメントを考える 第30回 (2023.09)

日経産業新聞の記事の再録、第30回まで来ました。「日本一敷居の低い人事部」というのは、私の入る会社の人事部のスローガンの1つですが、さすがに新聞でNO.1表示はまずいので、「日本一」をカットしたタイトルになっています。スローガン、作るの、相変わらず好きです。

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日経産業新聞 HRマネジメントを考える (2023.09)
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敷居の低い人事部」に
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昔からチームのスローガンを掲げるのが好きです。初めて人事の仕事に就いたのは営業から異動した29歳 のときです。新卒採用チームを率いるようになって掲げたスローガンが「採用は愛とマーケティング」でした。営業からの異動者が、ちょっと生意気に掲げたスローガンですが、 今でも採用という仕事の本質を突いていると思っています。  
組織を率いるリーダーにとって、自分の組織のスローガンを決められるのは大きな喜びです。スローガンを掲げることは自分の組織に旗を立てることです。最近は管理職になり たくないという人が増えているという話も聞きます。しかし、自分の率いる組織に旗を立て、それに向かってメンバーのパワーを集結させる日々の努力は、1人では絶対にできな い醍醐味のある仕事です。  
いま掲げているスローガンは「日本一敷居の低い人事部」です。このスローガンは人事部にとってかなり普遍的なテーマだと思っています。  
人事部の顧客は、経営者と社員の2つです。極端に片方に傾斜しては人事部の役割を果たせません。そして、顧客の信頼を得ることなくして良い仕事はできません。顧客との信 頼関係は極めて重要です。私たち人事部は経営者と社員の双方から強固な信頼を勝ち取る必要があります。  
信頼の強さは対話の量と質に比例するところがあります。自分のことを理解してくれ、自分を支援してくれようとする相手への信頼感は誰しも増すものです。私たちは経営者と社員の双方と、質・量ともに十分な対話をして、相手が認識している課題を一緒に解決していくことが必要 になります。経営者とはオフィシャル なミーティングを設定すれば対話が できますが、社員との対話の場の確 保は簡単ではありません。  
一人ひとりの社員が求めることや話したいことは異なります。社内のダイバーシティー(多様性)も進み、社員の声を真摯に聞かなければ 施策を誤ります。メンバーのマネジメントもより複雑になっています。なかなか仕事がうまくいかない人やマネジメントに悩む管理職など、いずれも人事部としては支援のやりがいのある相手です。ちょっとした支援が職場の生産性を高めます。  
そのためには相談してくれる環境づくりが大切です。相談の場は、こちらからのヒアリングでは得られないものが聞き出せます。人事部員が現場を歩くことももちろん大切ですが、現場の一人ひとりが何かあった時に人事部を頼りにしてくれる組織 でありたいと思います。  
人事部は相談に対応する力を磨く必要があります。まずは相手の話をきちんと聞ける人間になることで す。相手が言っていること、言いたいと思っていることを、こちらのフ レームにはめたり、色眼鏡で見たりせずに、ちゃんと誠実に理解することが大切です。そんな努力の積み上げが信頼感につながります。  
多くの社員の声を聞くことで、人事部の打ち出す施策の精度が向上し、人事部への期待感も高まります。また、社内がどんな状況であるのかをきちんとつかんでいる人事部は、経営に対する発言力も高まるはずです。これらのことを特段の投資もせずに実現できる施策が「日本一敷居の低い人事部」なのです。スロ ーガンは組織にとって大切なものを端的に表現してこそ、初めて意味があります。

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