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全ての業務は人材開発に通ず ~日経産業新聞 HRマネジメントを考える 第31回 (2023.12)

「ビジネスやテクノロジーの最先端トレンドを伝えてきた日経産業新聞は2024年3月29日付で休刊します。1973年10月の創刊以来、50年間にわたり皆様のご愛顧を頂きました。」
日本経済新聞社からのリリース文ですが、3月29日付を持って日経産業新聞は休刊しました。それに伴い、日経産業新聞連載「HRマネジメントを考える」も終了しました。休刊日までに再録の遅れた分の取り戻しをしようとしたのですが、間に合いませんでした。今回は最後から2つ目の記事です。
1社目に入った時、ある先輩から「日経3紙はちゃんと目を通すように」と言われたのをよく覚えています、日経・日経産業・日経流通(その後、MJ)の3紙ですね。その中でも日経産業は土日は刊行されない日刊紙というユニークな存在でした。そんな想いのある新聞に連載を書かせていただけたことを本当にありがたく思います。
今回は人材育成の話です。本当に今や人材育成こそが人事の中心なのです。

過去30回分の「HRマネジメントを考える」のまとめサイトも作成しました。コチラをご覧ください。

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日経産業新聞 HRマネジメントを考える (2023.12)
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全ての業務は人材開発に通ず
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長らく人材開発の仕事に携わっています。人事の責任者的な立場で仕事をするようになって20年ほどになりますが、人事のすべての業務の中で、人材開発が私にとっては常に中心です。人事制度や人事の仕事のすべてが人材開発につながっていると断言できます。  
人事の主要業務の1つに人事評価があります。評価は、企業が上げた利益を社員に分配するための仕組みとして必要です。よくやった人に多く分配し、そうでない人には厳しく分配するのが評価の原則です。しかし、評価の目的はそれだけではありません。評価期間中の自分の仕事の出来栄えを真摯に振り返り、何が良かったのか、何が足りなかったのかを見つめなおし、次はどう取り組むかを考えます。このプロセスがきちんと回ることにより、人は成長します。この時に大切なのは上司の関わりです。適切なフィードバックがあって初めて評価における人材開発機能が生きてきます。人事部としては、上司自身の言葉できちんとフィ ードバックをできるマネージャーを育てなければなりません。  
もう1つの主要業務に異動・ローテーションがあります。企業が必要とする人材を社内から調達する仕組 みが人事異動ですが、ここでも人材開発的観点は重要です。新しい仕事経験は様々な面から人を育てます。 自ら多くの知識や技術の習得に励む必要に追い立てられ、新たな人間関 係を丁寧に構築する必要にも駆られ ます。これらは受け身では決してできません。自らの頭で考え苦闘し続 けることが、成長につながります。上司を中心とした周囲のサポートと関わりがその成長を促進します。  
人事制度の運用や、職場での日々の仕事のすべてが人材開発につながるのです。昨日よりも少しでもポジティブな方向に人の変化をもたらす支援行為であれば、すべて人材開発的な行為なのです。今更ながらに人的資本経営が叫ばれていますが、人材をいかに育て、昨日よりも高いパフォーマンスをあげるようにできるかは、まさに経営的テーマです。  
人材開発の世界も大きく変わっています。人材開発・組織開発・キャリア開発の3つの開発の時代です。人材開発が主に個人の今の成長にフォーカスしているのに対して、それを面で展開するのが組織開発であり、時間軸を未来に伸ばしたのがキャリア開発です。人材開発だけではなく、組織開発・キャリア開発の目線を持つことが求められています。 そしてこの3つの取り組みは、ばらばらになってはいけません。  
優秀な個人が集っても、チームとして機能しなければ成果は上がりません。個と個の関係性に着目してチ ームを上手にワークさせようとするのが組織開発です。組織から期待される役割をまっとうし、またそのために真摯に学び続け、その結果として自分の未来にありたい姿が見えてきます。日々の仕事やこれからの仕事を、ありたい自分に結びつけていくのがキャリア開発です。それには自分の今の仕事を意味づけ、建設的に自分の想いを組織とすり合わせていく力も必要です。これらへの支援は上司と人事の大切な役割です。  
個人の成長と元気、その先の組織の活性化と業績向上。これらをもたらす人材開発・組織開発・キャリア開発の3つの開発は、企業競争力を高めるために、ますます大切になってくるはずで。

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