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JBFな人たち #2 堀田卓哉(株式会社 Culture Generation Japan)/二本栁友彦(株式会社 ロフトワーク)

JAPAN BRAND FESTIVAL(以下、JBF)にかかわる人たちは、一体どんな想いを持ってものづくりやビジネスをやっているのか? JBFに入って良かったことは何か? そんな問いに対して、当事者たちにインタビューしてきました。第二回目は、JBFの発起人である堀田卓哉(写真左)と二本栁友彦(写真右)が登場! 綺麗事、一切なし。JBFを支える二人の本音とは!?

たった二人の“好き”からはじまったJBF

——お二人は、もともと最初から伝統産業や地域おこしに関心が高かったんですか?

二本栁 いやまったく(笑)。堀田さんとは2013年頃、初めてお会いしたんですけど、その頃ぼくは工芸や日本文化に対する興味も低かった。強いて言えば、日本酒は大好きだったけど(笑)。

堀田 ぼくも同じです。もともと企業への経営コンサルティングをしていたので、縁が薄かったというか…。

——そんなお二人が、なぜJBFを?

二本栁 前職時に、隠岐の島や燕三条の産業振興のお手伝いをしていたんです。その流れかもあって、ロフトワーク入社後に経済産業省の地域産業に関連する仕事をするようになったんですが、その時に感じたのが、「外部との連携不足」。他のプロジェクトやクリエイターとつながることで、大きく飛躍するだろうな、と思うことがたくさんあった。そんな時に、偶然堀田さんと再会しまして。そこで、一気に思いの丈を話して。

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堀田 2015年秋でしたね。その頃ぼくも、日本のプロダクトやサービスを海外で勝負できるようにするプロジェクトを手掛けていて、「ポテンシャルはあるのにもったいない」と思うことが多かった。それで、二本栁さんの想いに共感したんです。そこから「まずは同志で横のネットワークをつくっていこう!」と。

——出発点は、お二人の熱だったんですね。

二本栁 それだけでここまで突っ走ってきた(笑)。はっきり言って、ぼくは何もできないんです。デザインもできないし、物もつくれない。ただ、好きになることはできる。しかも全力で好きになる(笑)。好きな人たちには、しんどい思いしてほしくないじゃないですか。そのために、JBFの仕組みをつくったり、協力してくれそうなクリエイターを紹介したり、協力してくれる人を増やしている。

堀田 コンサルの仕事をしていると、全員を幸せにできないことがあるんですね。どうしても経営の論理を優先してしまうから。その点、地域や地場産業は、チーム一体となってやる。その一体感が、たまらなく好きなんですよね。それと、そもそもの技術や資源、歴史があるから地に足がついているのも魅力です。

——お二人とも、好きベースで仕事をされていますね。

二本栁 まあ、人生って短いので、やりたいことしかやりたくないですよね(笑)。

堀田 それは、JBFに集う人々も同じですよね。自分がやりたいことをやってるから、人や環境のせいにしない。そういう清々しさを感じるな。

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二本栁 個人的な話になっちゃうんですけど、ぼくは阪神大震災を経験して、ずーっと神戸の現場で警備員をしていたんです。生々しい現場をたくさん見たし、経験した。そこで一回、人生に絶望したんです。そこから腐っていた時代が長く続いた。だからこそ、やりたいことがあったり、好きなことを持てている人はそれだけで素晴らしいと思うんです。

海外の可能性と、誰も言わないリアルな課題。

——そんなお二人を中心に、規模を拡大してきたJBFですが、これからの地場産業の未来について思うところはありますか。

二本栁 精神性を変えていく必要があると思います。たとえばJBFでは、「メイドインジャパン」ではなく「フロムジャパン」って言ってるんです。「メイドインジャパン」は日本という場所性に縛られるけど、フロムジャパンならば、日本の職人の技術や魂が入っていればどこでつくられようが謳っていい。逆に言うと、外国の方とどんどんコラボしてフロムジャパンの素敵なプロダクトがたくさん生まれてほしいし、そのお手伝いをしていきたい。

堀田 日本のものづくりの技術は海外で高い評価を受けています。実際、堀口切子という東京の江戸切子の企業は、物を海外で売るだけでなく、エディンバラ大学のガラス学科でカットグラスの技術を教えることになった。つまり、物だけでなく、技術自体も商品になりうるんです。

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——そう聞くと、海外展開はとても可能性が高いように思えます。

堀田 うーん…ただ正直なところ難しい部分にも直面しているんです。海外に通用するローカライズ商品の開発、ということをこれまで多く手掛けてきましたが、プロダクトの良さ以前に、ビジネスとして成立する仕組みや体制をつくることが本当に難しい。原価設計ひとつとってもそう。

——海外で売る前提になっていない。

堀田 そうなんです。日本の商習慣のまま海外に出ていくと、とてもじゃないけど通用しない。デザインや商品開発のほうが華々しくて着目されるけど、本当は流通を根本的に変えていかないといけない。

二本栁 パッケージを素敵にすることが目的化しちゃいがちだけど、本来は売ること、売れ続けることが大目的。ここに立ち返って考えないと、ただの自己満足になっちゃう。現地の暮らしや価値観に落とし込むことも考えなければいけない。でも、こうした根本的な課題が話される場はあまりないんですよね。JBFではそこもしっかり共有していきたいと思っています。

堀田 そうそう。その意味でいいことも悪いことも、ビジネスやものづくりの“リアル”をちゃんと感じられる場所であり続けたい。

二本栁 泥臭い本音の部分ね。そこにこそ価値があるし、こういうプラットフォームをつくっている意味がある。僕ら裏表なくむき出しです。ぜひ、みなさんも裸で、欲望全開で参加してほしい(笑)。

堀田 言い換えると、夢中になれる熱量がある。ジャンルは違くても、その熱量自体に共感する人がたくさんいる場所ですね、JBFは。

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堀田卓哉(写真右)
JAPAN BRAND FESTIVAL 共同代表 / 株式会社 Culture Generation Japan 代表取締役

2011 年、株式会社 Culture Generation Japan を設立。東京都美術館との『Tokyo Crafts&Design』や、中小機構『Next Market In』事業、経済産業省『MORE THAN PROJECT』などに参画し、伝統工芸品や地域資源を国内外へ広く紹介している。2016年 現代の楽市・楽座『JAPAN BRAND FESTIVAL』 を共同代表として設⽴。⽇本各地のLOCAL to GLOBAL 事業をつなげ、新たな価値を⽣み出す共創プラットフォーム として活動をスタートした。2018年 『JAPAN BRAND PRODUCE SCHOOL』開校。2019年 香港にサステナビリティをコンセプトとしたマルチレーベルショップ『HAUSTAGE』を開店。また同年、和食器サブスクリプションサービス『CRAFTAL』をスタートした。
二本栁友彦(写真左)
JAPAN BRAND FESTIVAL 共同代表 / 株式会社 ロフトワーク 無所属
大学卒業後、建築設計事務所、廃校活用施設『IID 世田谷ものづくり学校』を経て、2014年ロフトワークに入社。『地域産業に有益なインフラをつくる』を掲げ、地域産業とクリエイティブの融合、文化醸成と発信、国内外のマーケット獲得を行うプロジェクトを手がけている。経済産業省・中小企業庁『MORE THAN プロジェクト』『HOKKAIDO TO GO』『ふるさとデザインアカデミー』『Dcraft デザイン経営リーダーズゼミ』、台湾食品メーカーの日本進出支援『Taiwan GoodAgriculture』、長野県諏訪市『SUWAデザインプロジェクト』、足立区の産業振興『GOOD SURVIVE PROJECT』『あだちブランドPR支援事業』、茨城県『茨城県北芸術祭』、特許庁『デザイン経営実践支援』、釧路市『アイヌアーティストブランド化事業』、内閣官房『ウポポイお土産品調査事業』などを歴任。2016年 現代の楽市・楽座『JAPAN BRAND FESTIVAL』 を共同代表として設⽴。

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