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JBFな人たち #4 倉本和幸(株式会社京都設備)

JAPAN BRAND FESTIVALにかかわる人たちは、一体どんな想いを持ってものづくりやビジネスをやっているのか?JBFに入って良かったことは何か? そんな問いに対して、当事者たちにインタビューしてきました。
第4回目は、京都でも老舗の空調設備会社を経営する、株式会社京都設備代表取締役の倉本和幸さん。老舗らしからぬ業界の異端児が、「京都の新たな歴史」を生み出すためにはじめた新事業とは。

会社のカラーなくして、存在価値なし

——株式会社京都設備は、今年で60周年を迎えるそうですね。空調の歴史を考えるとかなりの老舗だと思うのですが…。

倉本 そうですね。創業時から名前を変えず、50年以上現存する空調会社は京都で私たち一社だけになりました。

ただし、空調のことだけやっていればいいのかというと、そうじゃない。「会社のカラーなくして、存在価値なし」と思ってますから。今は2代目として、「空調」を広く捉え直して、会社のカラーに変えようとしているところです。

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——具体的には、どんなことをはじめたんですか?

倉本 空調会社って、基本的には大手空調メーカーさんの販売代理店なんです。信用のある看板の下で、仕事をする。それはそれで素晴らしいことだけど、それって京都設備の信用じゃないし、カラーでもないですよね。そこで、まずは名刺の上に入れていたメーカーさんのロゴと、「代理店」の文字を外しました。

——すごい! 業界で影響がありそうですけど。

倉本 同業他社からは異端児って呼ばれています(苦笑)。でも自分たちのカラーを作り出そうというときには、そうも言ってられませんから!

それで、乾燥やニオイなど、空調がお客様に与える不快感を解決するための化粧品やアロマを取り扱う「摂美事業」をはじめました。空調が嫌われる理由を、好まれる理由に変える発想を大切に、さまざまな「美」に取り組んでいます。

もうひとつが、「オリテウム事業」。これは、おりがみの要素を加えた和紙の室外機カバーで、京都のような歴史ある町並みの景観を守ることを目的にしています。空調会社ですから、見た目だけでなく空調効率を妨げない構造になっているのが強みですね。

設置事例_麻の葉(山田補正ver)

——「オリテウム」の発想は、町並みの美しい京都ならではですね。

倉本 それはありますね。京都の鴨川沿い、先斗町のあたりは、夏になると納涼床が出るんです。とても風情のある眺めで、私もお気に入りのバーで大好きなロックを聴きながら眺めることがあります。すると、真っ白い室外機がズラッと並んで悪目立ちしているんですよ。「室外機の屋外展示場」なんて呼ぶ人もいるくらいで(苦笑)。

「こういうもんや」って思えばそれまでだけど、意識して見ると、やっぱり気になる。自治体が補助金を出して、なんとかして景観を守ろうという動きもあるほどで。そういうことに、京都人として無自覚ではいけない。空調会社として、温度だけでなく、景観も快適にしたいという思いです。

京都から離れて気づいた、京都への愛

——倉本さんはずっと京都に対する愛があったんですか?

倉本 うーん、どうだろう。京都を「外」から見つめ直す経験があって、改めて好きになりました。

社会人になって、一時期名古屋で暮らしていたことがあるんです。大須観音に歩いて行けるような距離に住んでいて、あの庶民的な雰囲気、大好きでした。逆に、京都から離れたことで、改めて歴史や景観を含めた京都の文化の良さを感じることができたんだと思っています。

——時には、観光で来られる方のほうが、京都の景観や魅力に敏感だったりもしますよね。

倉本 歴史や文化って昔からの積み重ねのように思われがちですが、今はじめたことでも、それが素晴らしいことなら、年数が経てば歴史になり、文化になっていくんですよ。地元民として、オリテウムのような事業で「求められる以上の京都」を作っていきたいし、新しい歴史を育んでいきたいと思っています。

連続設置_麻の葉

——その言葉、京都の方から聞くと重みがあります。

倉本 いやいや、まだはじまったばかりですよ。でも、観光地など景観を大切にする「景観地域」は全国にたくさんあります。京都からはじめた「オリテウム」を全国に広げて、日本の新しい歴史にしていきたいですね。

リアルに熱が伝えられない時代=言葉の時代

——エネルギッシュに事業を展開されていますが、なぜJBFへ?

倉本 カラ元気ですよ(笑)。

それは半分冗談ですが、やっぱり、オリテウムのような新しいことをする仲間がほしかったんですよね。嬉しいことに、JBFでは仲間に恵まれて、今まで接点がなかったような異業種の事業者さんから「一緒にやろう」と言ってもらえる機会が増えました。これは、京都でただの空調会社をしていたら、絶対になかったことです。

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——JBFの魅力はコミュニティですか?

倉本 あとは、新しい知見ですね。空調会社という仕事柄、コロナ前は特に徹底的に現場主義だったんですよ。会社のキャッチコピーも「冷熱・暖熱・情熱です!」と言ってるくらいで、リアルでしか伝えられないこと、感じられない「熱」みたいなものがあると思っていました。80’sのハードロックもそういう「熱」が好きだしね(笑)。

その考えは今でも変わらないけど、リアルとデジタルのバランスのとり方は、JBFのナレッジキャンプなんかで学んでいるところです。デジタルで補える部分もあるし、リアルをゼロにするんじゃない「ええ感じ」のバランスがあるんだな、と。毎回学ぶのに必死ですが、自分でちゃんと噛み砕いて、社内にも共有していくつもりです。

——倉本さんの言葉はどれも力がありますね。

倉本 それは褒めすぎです(笑)。でも、「オリテウム(=折りて生む)」とか「摂美」とか、コピーを考えるのは好きですね。実際、コロナでリアルに熱が伝えられない今の時代、人の思いを媒介するのは言葉しかないと思っているんです。イマジネーションを刺激するような言葉と仕事で、これからも熱を伝えていきます。

倉本和幸
株式会社京都設備 代表取締役

クーラーのない暑い日によく泣いていた幼少期が原点。高校は理数コースに在籍するも、勉強より部活動(剣道)に専念。部活引退後に見た近江商人の原点的映画「てんびんの詩」に感化され、理系から文系に進路変更。大学では経営学を専攻し、ゼミで経営戦略論を学びながら、近江商人をテーマにした論文に取り組む。卒業後は空調・衛生設備機器の専門商社に就職。サラリーマンとして3年間の営業経験を積んだ後、(株)京都設備に入社する。営業に加え、工事現場の管理実績を重ねながら必要資格を順次取得。2007年、二代目の代表取締役に就任した。2015年より、おりがみ文化を加えた和紙カバーで室外機を隠し、装うことで情緒ある景観を守る「オリテウム事業」をスタートしている。
https://www.kyoto-setsubi.co.jp/





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