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こんな映画が観たかった!全米が熱狂する最新ミュージカル映画『イン・ザ・ハイツ』(ネタバレ回避)

「勘弁してくれ...歌とダンスはもういいよ...」と思いながら見ていたはずなのに、帰路に着く頃には、テーマ曲「イン・ザ・ハイツ」を鼻歌で歌いながら、自分の腿を叩いて心軽くリズムを刻み歩く自分が居た。

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1. イン・ザ・ハイツってどんな映画?

『イン・ザ・ハイツ』は、ブロードウェイで近代ミュージカルを牽引する俳優兼クリエイターのリン=マニュエル・ミランダが手掛けた、大ヒットミュージカル作品。同じくマニュエル・ミランダが製作・主演を務め、2016年のトニー賞で13部門16ノミネートの歴史的快挙を成し遂げた、ミュージカル『ハミルトン』の先駆けとなったオリジナル作品である。当然物語はミュージカルにつき、歌とダンスに始まり、歌とダンスに終わる。本場ハリウッドの街中では、「気分爽快!サマー・ムービー!」と巨大ポスターが貼り出されている。

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物語は至って単純で誰にでも分かり易いストーリー・テリングと言える。およそ2時間と20分にわたって繰り広げられる、ミュージカル・ワールド(採算合ってるのかなと心配になるくらい“ド派手”)に圧倒され、その“大盛りおかわり”の連続に、私と同じように「歌とダンスはもういいから...」と途中でお腹いっぱいになることは避けられない。

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しかしながら、何と表現するのが最も適切だろうか。映画『インザハイツ』を見終わった後の、爽快感超えて達成感というか、若干の疲労すら感じる満足感。色鮮やかで、楽しい映像展開。誰にも止めることができない、スクリーン全面から溢れ出てくるエナジー。まるで直接その風景を眺めているかのような、臨場感溢れる凄まじいセット・ピースの数々。そしてこの上ないくらいまでに徹底された、直球どストレートの物語。昨今ありがちな「1000ピースパズル」的複雑難解なストーリーでもなければ、見終わってすぐに「映画〇〇 解説」とGoogleに頼りたくなってしまうような作品でもない。ちなみに私が個人的に深く関わり合いがあり、映画業界で最も尊敬するノーラン兄弟の大ヒット作「テネット」ですら、公開されてもう1年以上経っても未だに私はネットで解説記事を探し回っている。


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