見出し画像

ホテル旅館で書かされるレジカードは拒否できるのか

楽しい旅行、いきたくない出張、運動部の遠征、、等でホテルや旅館をご利用される方は多いと思われる。ホテルについてさあ一息、、の前に必ずといっていいほどフロントにて書かされる紙、通称”レジカード”
このレジカードは一体なんで書かなくちゃいけないのか、、とお思いになられる方もいらっしゃると思う

実はこのレジカード、新型コロナと意外なつながりがあるのである

レジカードとは?

まずはチェックインのときに求められるレジカードについて簡単に説明していこうと思う

画像1

画像のようにレジカードには「氏名」「住所」「電話番号」「会社名」「チェックイン日」「チェックアウト日」などの情報を記入する欄が設けられている
最近では「氏名」「住所」「電話番号」のみを記入していただくところがほとんどではないだろうか。もしくは楽天やじゃらん等WEBで予約した場合はすでにそういった情報は印字されており署名のみの記入を求めるケースもある

書きたくない!偽名でいいや!は通るのか

ではこの個人情報のかたまりであるレジカード、記入拒否はできるのか、そもそもなぜ書かなければならないのか。これには法律が絡んでくることになる

結論からいうと「拒否はできない!偽名もダメ!!」なのだ

なぜダメなのか、少し法的な観点から旅館ホテルをみていこう
旅館やホテルの管轄は厚生労働省になり、様々な法律の上で営業を許可されている。その法律のひとつに「旅館業法」というものがある

~旅館業法~
第一条
この法律は、旅館業の業務の適正な運営を確保すること等により、旅館業の健全な発達を図るとともに、旅館業の分野における利用者の需要の高度化及び多様化に対応したサービスの提供を促進し、もつて公衆衛生及び国民生活の向上に寄与することを目的とする。


この旅館業法の第6条にレジカードについて書かれた部分がある

第六条
営業者は、厚生労働省令で定めるところにより旅館業の施設その他の厚生労働省令で定める場所に宿泊者名簿を備え、これに宿泊者の氏名、住所、職業その他の厚生労働省令で定める事項を記載し、都道府県知事の要求があつたときは、これを提出しなければならない。
2 宿泊者は、営業者から請求があつたときは、前項に規定する事項を告げなければならない。


そう、そうなのだ、レジカードの記入はなんと法律により義務となっていたのだ!
つまり拒否する選択肢は残念ながら宿泊者には与えられていないのであるではなぜ書く必要があるのか、なぜそこまで法律に記載するほど大切なのか
その点について解説をしていく

レジカードはなにに使うの?

ホテルや旅館は不特定多数の方が宿泊し、そして旅立っていく
毎日毎日いれかわりで様々なお客様がお越しになる施設それがホテル旅館

もしそこに非常に危険な感染症に罹患した方が泊まったとしよう
感染症の蔓延を防ぐために国は総力を上げてその患者の足取りをたどることになる
まずは公共交通機関のチケット購入歴から辿り一体どこに立ち寄ったかを探る
ホテルや旅館に泊まった形跡がある場合、そのホテルに同時期に泊まった顧客はどこの人なのかをレジカードに記入された住所や氏名から特定し隔離措置を行う
もしもレジカードに記入された情報が虚偽の場合、空気感染等で感染した可能性のある別の宿泊者がどこにいったかが辿れず感染症の蔓延は食い止めることができない

そう、まさにいまの新型コロナのような状況を想定してレジカードの記入は義務となっているのだ
感染症の拡大防止に大きく貢献するために宿泊施設はこういった個人情報を保管する義務が生じている

また、別の理由としては犯罪の防止である
忘れもしない2001年9月11日、アメリカニューヨーク州マンハッタン等で起きた同時多発テロ。世界の治安維持への姿勢は大きく変わることとなった

テロの防止、危険分子の早期発見のために国は海外ゲストの情報をより厳格に収集し保管するように指導をおこなった
その中でレジカードやパスポートのコピーはテロリストの足取りをたどるために大きな役割を果たすこととなるため、厚生労働省のみならず国家公安委員会もレジカード・宿泊情報を厳格に収集し保管することを重要視した

ちなみにレジカードに虚偽の記入をしたとしてよく別件逮捕に使われている事実がある
日本国内の過激派と呼ばれる方々はこれでよく捜査を受けている


このようにレジカードには重要な役割があるため、記入を拒否することや偽名を記入することはできないのであった

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?