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漆の勉強会とは?

先週、滋賀県庁主催の漆勉強会でオンライン講師を務めました。

漆の勉強とはなんぞや?と思う方は多いと思いますが、漆器のお話ではなく、ウルシをどうやって生産するか、木を育てるにはという類の話です。

漆がウルシノキという樹木から採取されていることを知らない方もいらっしゃるので説明しますと、ウルシの木は中国と朝鮮半島と日本にしかない樹種で、傷をつけると乳白色の漆液が滲み出てくるので、手作業で一滴一滴集めるのです。これは日本も中国も同じ。

日本は縄文時代から漆を栽培してきたと言われており、今もそうです。ウルシの木を人の手で管理しないとうまく育たない。そのウルシの木の原木が不足しており、植える場所を探しているのです。どこでもいいわけではなく、水はけがよく日当たりが良い場所、人里に近いところが理想です。しかし、ウルシはかぶれますので、嫌がられる木です。でも山に植えると採取効率が悪いし、やっぱり成長が里よりも遅い。

今、漆産地は岩手県産が80%を占めていますが、かつては日本全国各地にウルシの木がありました。明治になって中国から大量に漆が輸入されてからどんどん産地が減っていき、岩手が産地として残ったのです。それを時計の針を戻すように全国を産地化したいのです。

なぜ漆を植えるかというと、日本の文化財を修理するため、漆器づくりに欠かせないというのは当然のことですが、なにより日本文化そのものだからです。漆を無くすということは日本には文化がないと言っているようなものです。この話をすると長くなるので、また今度というか、ぜひ講演会に呼んでください笑

国産漆を育て後世に継承するための活動を行っています。ご支援をよろしくお願い致します。