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2020年6月の記事一覧

戦術の位置づけ

戦術の位置づけ

戦術というものは、指導チームやクラブ全体を健全に成長させる手段のほんの小さな一カテゴリーにすぎません。

他の記事を読んでいただいている方はご存じかと思いますが、組織の健全な構築や再建には様々なアプローチが必要になります。

指導を生業にしている皆様には釈迦に説法ですが、指導者にとってゲーム戦術とはその指導者にとっての「技術」の一分野、あるいは成功のための一手段に過ぎず、この理解力や採択能力が低く

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戦術練習に特化した注意事項

戦術練習に特化した注意事項

1.両方のチームを同時に見ない。

ゲーム分析に関しても同じことが言えるのですが、世界中どこを探しても、複数のチームを同時に正しく観察できる指導者はいません。
プロクラブや代表チームの監督ですら不可能と言われています。

必ずフォーカスするチームを決めて、テーマに沿った指導を心がけてください。

2.解説者にならない。

ゲームフリーズそのものにも違和感を見つけ出す能力とプレーを止めるタイミングと

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主婦の会話に学ぶ

主婦の会話に学ぶ

スポーツ指導者という職業柄、現場でのコーチング、スタッフ同士のミーティング以外の時間、詳細に言えばサッカーノート等を使った準備や振り返り、分析や勉強の時間のほとんどを私は一人で過ごすことになります。

そして一人仕事の多くの割合を、元来それほど意志が強くない私は、カフェやファミレスなど外で行うことにしています。

自宅だとサボってしまうからです。

個人の仕事場に公共のスペースを選んだ以上、隣にど

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誇りと安心

誇りと安心

あくまで「自分の周り」レベルの話ではありますが、私が初めて日本の高校の部活動に関わった2012年から比べて、日本の高校サッカー界の指導者の能力はさらに向上してきたように感じます。

メディアが「教育現場の労働環境の悪質さ」を糾弾してくれているおかげで、学校の教員にもスポーツ指導の勉強時間がとれるくらいには、それ以外の学校業務の負担が減ったのでしょうか。

あるいは単純にスポーツ指導に専念できる外部

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流れの正体

流れの正体

指導の現場において、私の場合あえて抽象度をマックスまで上げて「根性」や「気合」という言葉を使うこともありますが、その裏で実は全ての言葉に対して定義化をしています。

さらに言えばそれら「根性」、「気合」、「気持ち」、「ガッツ」、「ファイティングスピリット」、「Battling quality」、「闘争心」といったジャンルの言葉に対しては抽象度を下げた(具体度を上げた)整理がしやすい別名(フレーズ)

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指導現場の構造

指導現場の構造

私は以前、サラリーマンをしていました。

経営の上手さを評価されて経済誌に載るような、とある会社の経常利益の7割を稼ぐ屋台骨である主要部署の本部長という役職をもらっていました。

そこでの私の主な役割はキッズ世代のサッカースクールを作り、それらのスクールを受け持つ指導者達を雇って指導することでした。

サッカースクールの立ち上げ方などの細かな部分はここでは触れませんが、その仕事を通して私は早い段階

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指導者の特徴

指導者の特徴

2009年から2012年までの約3年間、私はロンドンでセミプロクラブのユース世代を教えるかたわら、ジュニア世代を週一のボランティアで指導し、またFA(イングランドサッカー協会)が提供するいくつかの指導者資格の長期コースに参加しました。

そのうちの一つ、UEFA Bのコースでは、何よりもまず指導者自身がサッカーというものを理解し、選手に伝え、プレー中の選手の理解違いを瞬時に見抜き、再現して(これが

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