ノーウェイホームの感想(良い点も、微妙な点も正直に誠実に)
ネタバレ注意です。
▼総括:
まずは一言、とても良い映画でした。
前列で観ていた女の子2人組は「サイコー!もう一回見よ」と意気揚々でした。
その気持ち、よく分かります。
私も感動しました。
海外では昨年12月から公開されて話題騒然だったのですが、その通りでしっかり良い作品でした。すごく楽しいし、ちょっと泣けるし。この20年間のスパイダーマン映画が好きでしっかり観てきた人達にはグッとくるシーンやクスッとくるシーンのオンパレードだったんじゃないでしょうか。各スパイダーマン作品へのリファレンスの印象が強すぎたせいかもしれませんが、アベンジャーズ側のイースターエッグは少なめだったと思います。
なんといってもネッドがピーターを呼び寄せようとして、別世界のスパイディ(アンドリューとトビー)が初登場した瞬間はアガりましたね。私は海外の公開日にYouTubeに投下された映像を見てしまい、このシーンは履修済みだったのですが、それでも銀幕で見られてとても感動しました。
3人のスパイディが自由の女神像の周りをグルングルン跳び回る姿は、これぞスーパーヒーロー映画というVFX全開のスペクタクルで素晴らしかったです。
さらには「もしこの3人が居合わせたらしてほしい会話」をこれでもかと詰め込んでいましたね。ちょっと詰め込み過ぎ(時間を使い過ぎ;欲ばり過ぎ)で物語のテンポを殺してしまった感触もありましたが、まあファンサービス映画なのでこのくらいで丁度良いでしょう。
とても愛に溢れた映画でしたが、実はそこまでMCUに強い思い入れがあるわけでもない私から冷静に見ると、同程度に良質な映画なら他にも沢山ありますし、夢の共演サプライズ2連砲を除けば脚本は正直平凡(主人公が追い詰められて、大事な人が犠牲になって、主人公がそれを乗り越えて悪を倒す、いつもの標準的ハリウッド展開)だったので、もし昨年公開だったら私の「年間ベスト10」には入れなかった感じですね。本作が大好きな人には申し訳ないですが🙏
でも繰り返しますが「良い映画」ではあると思います。
▼印象に残った点:
●スパイディ同士の会話に感動した
もし別世界のスパイディが揃ったら、こんな会話をしてほしいなぁ…
🤤💭
そんな夢や妄想が詰まった映画でした。自由の女神の場面でしつこいくらい「お前はアメイジングだ」って言ってましたね。何かと3人でお互いに指差す画を見せていたのも「監督やってんなー」と面白かったです。笑。
3週間前に書いた記事からそのまま引用しますが
といった要領で感情に訴えかけてくる作品で、とても楽しく堪能できました。
●とはいえ小ネタ詰め込み過ぎでちょっとクドい
ただ上でも書いたのですが、若干詰め込み過ぎというか、それ物語をストップさせてまでする話かなーと感じる瞬間は何度かありました。物語に影響しない会話が多すぎるというか。ファンサービスが過ぎると言うか。
たとえばスパイダーウェブのシューターのことをアレコレ議論するのは楽しい(まるで映画ファンがカフェや居酒屋で談義してるみたい)けど、そこで完全に物語が止まっちゃってるんですよね。今からヴィランがやって来るのを待っている緊張感やテンポ感が失われています。
正直、本作の物語なら120分に収めることもできたと思います。しかしこれらの他愛のないムダ話やギャグシーンを詰め込みまくった結果、150分弱の映画になった感じがします。
これがディレクターズカットとかエクステンデッドカットとかなら完全に納得できるんですけどね。ただ、過去から現在に至るまでディズニーはアナザーカット的なものを絶対に認めない主義で通してきましたから、本作でもその慣習を破るのは難しかったのかもしれませんね。
●アンドリュー君には泣かされたよ
本作で私の涙腺が緩んだのは全てアンドリューの演技でした。グウェンを失った辛さの告白。そこからヒーローになる決意。MJを救った時の表情。トムホのファンの皆様には申し訳ないですが、やはり私にとってベスト・オブ・親愛なる隣人はアンドリュー・ガーフィールドです。是非とも彼が主演するアメイジングシリーズを再開してくれないでしょうか、ソニーさん、お願い🙏
●トム・ハーディが最大のサプライズでした
トム・ハーディが出てきましたね!そうでした、すっかり忘れてました。先日に観に行った『ヴェノム2』のラストでユニバース移動してましたわ。しかしながら、そちらは観てなくても話が通じるように作られていて、そのあたりは流石でした。当初の公開予定順はNWHが先だったのかしら。
いやーしかし、今作ではヴェノムの素(?)を撒くためだけに、テイよくディズニーに使われた形になりましたね。笑。ソニー版のユニバースのキャラは使えないんだけど、この短いスパンでもう一度ヴェノムのオリジンを描くのは流石にしんどいわーというディズニーの本音が透けて見えました。笑。
そもそもヴェノムはスパイディの正体を知ってたんでしたっけ?なんか『ヴェノム』の第1作でNYでデイリービューグルを追放された件でそんなことを匂わせる台詞があったような、無かったような?記憶が曖昧ですが。
とにかく、ちゃんと彼のキャラクターも有効活用しましょ。ソニーはソニーでアメスパ版を進めましょうよ。(何度でも言うぞw)
#MakeTASM3 ←このハッシュタグを使うそうです。
Make The Amazing Spider-Man 3.
●ウィレム・デフォーの演技が超良かった
昨年12月にTwitterのトレンドで、興味深い動画を見つけました。
以下は動画内のデフォーの発言を聞き取ったものです。
66歳の彼がアクションに懸けるただならぬ意気込みが伝わってきます。
このツイートには続きがあるので、気になる方はこちらをご確認ください。さらに驚かれると思います。
当時はMCU版のスパイダーマンは正直もう観なくてもいいかな、くらいに思っていたのですが、ウィレムがここまで頑張ってるなら観に行きましょう。そこまで意見を変えさせるものでしたし、本作でも強力すぎる顔面力と多分自分でやっているアクションで非常に楽しませてくれました。
ありがとう、ウィレム!
●ストレンジ先生がイジられ過ぎな件
序盤からいきなりマントの下にパーカーを着てるというクソダサい格好で出てくるし、グランドキャニオンに12時間も閉め出されるし。ストレンジ先生ってこんなに威厳がないキャラクターでしたっけ?なんか三枚目キャラに釣られてウィッグも安っぽく見えてきて困りました。笑
MJが「人に物を頼むときはお願いしますの呪文を唱えなさい」と強気に出る場面は良かったと思います。彼女のキャラクターにあってますし。そういえば、予告編では呪文であることが日本語字幕ですっ飛ばされていたのですが、劇場公開版では校正されてちゃんと呪文に言及されていました。林完治さんグッジョブ👍
●ピーター・パーカーが幽体離脱していた件
魂が肉体から離れても動ける描写も面白かったですが、パーカーの顔の周りにスパイダーセンスがコミックブックのように表現されているのが面白かったです。エンドゲームでハルクがやられた時はなかったと思います。
●ピーター・パーカーが馬鹿すぎる件
ストレンジ先生の呪文を何度も邪魔したり、まだ治療するアテもないけど助けたい一心でストレンジ先生の箱を強奪したりとか、行動がいちいち無計画すぎて私はちょっとダメでした。箱を奪うだけじゃなくてその場でちゃんと説明しろや。何をミラー次元の中で戦っとるんや。このプロレス味なアングルが見所なのかもしれませんが、私には物語を作者にとって都合の良い展開にするために、登場人物に率先して馬鹿な行動をとらせているようにしか見えず🙏
最後にMJの絆創膏を見て、正体を明かすのを思いとどまる点だけは冷静になってて良かったですね。相手の家の中までは入らず少し距離を置いて見守る。だから「親愛なる隣人」なんでしょうね。思い返せばトビー版もアンドリュー版も意中の女性とは複雑な関係を築いていました。あまり詳しくなくて恐縮なのですが、このスタンスは原作コミックをリスペクトした展開ということになるのかしら。トムホの場合、どうせまたすぐに元通りになる気もしますが。笑。
浪人生になることにあまり悲壮感がないのはアメリカらしくて良いですね。
●ピーター・パーカーの新たな冒険が始まる
ストレンジ先生の魔法の効果だと思いますが、スターク社のハイテクスーツがなくなって自家製の布スーツになったのは原点回帰って感じなのかしら。続編が作りやすく、気持ちも盛り上がる良い展開だったと思います。
MCUフェーズ3までのトニーとの絆がゼロリセットさせるのは寂しいですが、逆に制作上の制約も多いなあと本作を観ていて感じたので、これはナイスジャッジかと。
●別ユニバースから来た人達の時間軸と因果関係がぐちゃぐちゃ
単純に時間軸がよく分かりませんでした。
ドックオクはパーカーの首を絞めている途中に移動したんですか?トビーは歳とってるから、彼から見たらドックオクは死人が生き返った感じだったのかな?グリーンゴブリンはいつ?アンドリューはグウェンが死んでライノと戦った後ってことはTAMS2より後ですよね?トカゲ男はどの時点から来たんでしょうか?
ちょっと待って。そもそもホームカミングで「8年後」のテロップが出た問題もいまだにちゃんと説明されてないよね?おいおいおいおい。最初から時間軸がガバガバな人だったんやな、ジョン・ワッツ監督って。笑。
しかも、これヴィランを治療してから元に戻したら、各ユニヴァースでの映画の出来事や歴史が改編されて、それぞれで未来が分岐して、色々とぐちゃぐちゃになりませんか?エンドゲームでもやらかした悪い癖(タイムリープの設定がいいかげん)がまた出とるぞ。笑。
私が以前に書いた通りにしておけば、分かりやすかったのに。
ただしこうすると本作とはいくつか矛盾が起きるので、ドックオクは最初から改心してたり、サンドマンがまだ殺されてなかったり、治療できても元の世界に戻す場所がなさそうだったり、そこは脚本を修正する必要が出てきますが、少なくともユニバース移動に関してモヤモヤすることなかったのになーと思います。笑。
●あの盲目の紳士は何者ですか?
ピーター達に証拠不十分で不起訴になったことを伝えにきた盲目の紳士は一体何者なのでしょうか。後ろから飛んでくるレンガブロックをパシッと掴んで見せたり、明らかに只者ではなかったのですが、誰も追求しないまま映画が終わりましたよね。笑。
検索したら、一瞬でデアデビルの人(マット・マードロック)だと分かりました。しかもドラマ版と同じ役者(チャーリー・コックス)が演じているのだとか。Netflixで最近急上昇したと思ったら、こういうことだったんですね。笑。
▼私はドルビーシネマで観ました:
2.39でマスターされていたので私はドルビーシネマで観ました。横長スクリーンにバッチリ決まった構図が多くてシネマ味を堪能できました。画面もドルビービジョンを活かしたド派手なCGが多くて大満足です。ラストシーンの朝焼けも良い発色でした。
IMAXでは1.90になっているようです。スパイディが飛び回るシーンはそちらの縦に長い画面の方が迫力が出ているかもしれません。
あと、劇場入口で特典付録が貰えました。知らなかったので裸で持ち帰りました。というか、このサイズで曲げずに収納できるカバンの方がレアでしょう。笑。最近は丸めて輪ゴムで止めてくれなくなったのかしら(衛生面を配慮してなるべく触らないようにしてそう)。
こうして見ると、なんかクリスマスよりも「新春」って漢字が似合うカラーリングですね。日本公開は遅れましたが、良い正月になりました。笑。
了。
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