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【ドミノ】あらすじ,解説,考察【Hypnotic】

#ネタバレ します。ご注意ください。

個人的にはネタバレしないで観た方がよく楽しめる映画だと思います。

ややツッコミ所は多い映画ですが、後味は悪くない方だと思います。


▼あらすじ(ネタバレ):

一幕
一場:状況説明

 ロークは警察官だが4年前に目前で娘を誘拐されて以来メンタルセラピーに通っている。銀行強盗を未然に通報する電話があり数名で張り込むが、警察に内通者が居たらしく包囲網を突破される。
二場:目的の設定
 ロークは犯人に先回りしてターゲットの貸金庫の中身を抜き取るが中にあったのは何故かロークの娘の写真だった。ロークは犯人の男を屋上まで追い詰めるも、男は飛び降りて忽然と姿を消す。ロークは娘を取り返すために男を逮捕することを決心する。

二幕
三場:一番低い障害

 銀行強盗の通報者を特定してロークは訪問する。通報者は占い師の女ダイアナで男の名前はデルレーンで催眠術(hypnotic)の使い手だと説明される。ロークを追跡して現れたデルレーンに襲われるがなんとか逃げる。
四場:二番目に低い障害
 2人は警察署に隠れる。ダイアナとデルレーンは共に政府の秘密機関で催眠を専門とする職員だったと明かされる。やがてデルレーンに見つかり、催眠をかけられた同僚ニックに襲われるも、ダイアナがニックを射殺して、2人は再び逃走する。ここまでにロークには催眠耐性があることが判る。
五場:状況の再整備
 2人はデルレーンの一味に襲われるも、ロークが尋常でない強さの能力を発揮して難を逃れる。2人はダイアナの元同僚の隠れ家に逃げ込む。そこでロークは自分の記憶が偽物で、ローク自身も元職員で、ダイアナは元妻ヴィヴィアンで、女は類まれな潜在能力を持つが、ゆえにロークが組織から隠して自身の記憶を消していたことが判る。
 実はここまでの銀行強盗と逃走は全て組織による催眠シミュレーションでしかも今回で13回目の失敗だったと判明する。ダイアナも服めて全ての登場人物がロークを騙して娘の居場所を抜き取ろうとしていた。ロークは最後記憶を消されて同じシミュレーションを開始する。
六場:一番高い障害
 14回目のシミュレーションでロークは運良く記憶を取り戻すトリガーを引き当てて、シミュレーションから脱走して娘に会いに行く。デルレーンも部隊でロークと娘の家を包囲する。

三幕
七場:真のクライマックス

 ロークと娘は田舎のロークの両親の家でデルレーン一味と対峙する。ダイアナは娘に触れることで記憶を取り戻す。実は計画を隠すためにダイアナの記憶もロークが消していたのだった。娘の強烈な催眠能力でデルレーンの部隊は互いに殺し合って自滅する。
八場:すべての結末
 ロークと家族は組織を全滅させて危険がなくなったので、一緒に安全かつ幸せに暮らすように高跳びする。ロークの父だけは死体処理のために残る。しかし実は彼はデルレーンが催眠で変わり身の術を使っており、撃たれて死んだのがロークの父だった。デルレーンは復讐を誓う。

▼総評:

基本的には楽しめました。なんか防御力ゼロのゾンビが殴り合うような映画でしたね。(笑)

ただし基本的に反復横跳びのごとく催眠効果トリックを使ったどんでん返しを繰り返すので、時間が経つと少し飽きてくる部分は正直あります。主人公も正義はあるとはいえ敵を欺くスタイルなので、キツネとタヌキの化かし合いとは言いませんが、まあそんな感じです。

そういう意味でも94分で短く切った編集は非常に良かったと思います。常に脳みそフル回転で観覧していたので、体感的には120分くらいの満足感がありました。あれ以上、長くなると疲労感が優る人を増やしてしまうのではないでしょうか。

アイデアはそんなに斬新ではないと思います。というか、VFXの方向性も含めて根幹にあるのはほぼ『インセプション』ですよね。記憶を盗むために夢を見せる、というのだから。インセプションから時間軸の操作が消えて、代わりにループ物の要素を加えた感じですかね。それを令和五年に劇場公開して本当に面白いのか(有意義なのか)と強く聞かれたら、自信満々には言い返せないかもしれません。(苦笑)

記憶が消えてループしているので『メメント』のような感覚もあります。つまり、なんかロバートロドリゲスがクリストファーノーランに贈ったラブレターだったりしますか、これ?(笑)

このループに入るところが本作のオリジナリティというかプラスワン要素だと思うのですが、なにせ物語の謎解きの根幹に関わるのでトレイラーや宣伝やリコメンドでは言及できないのは辛いところかもしれません。この映画をして「単なるインセプションの作り直しだろ」と感じてしまう人は多いんじゃないでしょうか。

鉄道の車庫で地面が曲がる演出も、インセプションで観たあれですからねえ。あれが一番派手なシーンということになると、ちょっと苦しいかもしれません。気付いてる人は少なそうですけど、娘を尋ねたロークが倒す長いドミノも催眠で見せている幻覚でしょうね。

4K対応の映画館で観覧しましたが、撮影が優秀で素材が美しい画ばかりでした。特にベン・アフレックの顔のクローズアップが非常に多いです。筋肉こそ少なめの痩せ体型ですが、今回のベンアフは『ジャスティスの夜明け』の頃と同じくらいには仕上がっているので、彼を観るのが好きな映画ファンは損した気分にはならないでしょう。

自動車が横転するシーンとか、催眠にかかった女が急に屋外で白昼堂々と脱ぎ始めるとか、ビジュアル的に面白い画は多かったので、物語よりも目で楽しむくらいのスタンスで臨むのが良いかもしれません。謎解き要素についてはこちらで考えなくても、物語に合わせて全部丁寧に説明してくれる感じでしたので。

▼細かいところ:

●時系列で整理

ロークとダイアナが催眠捜査官になる。
ロークとダイアナが恋愛関係になる。
ロークとダイアナが結婚する。
ロークとダイアナに娘が生まれる。
娘が最強の能力者だとわかる。

ロークとダイアナが娘を隠す。
ロークがダイアナの記憶を書き換える。
(ロークが娘を隠したと嘘の記憶を入れる)
ロークが自分自身の記憶を消す。

組織が何らかの方法でダイアナを味方につける。
組織とダイアナがロークの記憶を暴くプログラムを開始。

12回失敗を繰り返す。

13回目の挑戦(これが映画の冒頭だった)

13回目の中身:
精神科での診察
銀行強盗の阻止(娘の写真入手)
占い屋で妻と合流
警察署で相棒を射殺
逃走中にロークが能力を発揮
元職員の隠れ家でこれがプログラムだと気づく

14回目の挑戦

ロークが脱走に成功する。

ロークが娘と再会する。
組織がロークと娘を追い詰める。
ダイアナが記憶を取り戻す。
組織が全員殺される。

ロークと家族が逃走する。
デルレーンが復讐を誓う。

●なぜ14回目でロークはループを抜け出したのか

レヴ・デルレーンを見つけろ、が実はディア・ヴァリー・レーンを見つけろのアナグラム?だったと分かったから。

He flees just as the Division realizes that "Find Lev Dellrayne" refers not to a person but "Deer Valley Lane" - a dead-end road with a single ranch on it.

●日本語タイトルがドミノである理由

英語ではHypnotic、直訳すると催眠です。

しかし日本語タイトルではロークの娘の本名がドミニク(ミニーは愛称)だったので、それにかけて彼女を最強の戦士に鍛え上げる政府の秘密作戦がドミノ計画(Project Domino)だったので、そこから取られていました。

海外版ポスターでもドミノが描かれているので、これで良いと思います。

むしろ催眠とかにしなかったことで、イメージが固まるのを防いだ方法としては優れていたのではないでしょうか。

(了)

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