出雲黄昏

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小説を書いたり、小説にまつわる雑記を記しています。 主にエブリスタとnoteで発信。エブリスタリンク:https://estar.jp/users/1482230071

最近の記事

「本日は、お日柄もよく」原田マハ/著 読書感想

 言葉がジャンクフードのように消費されていく現代に、今一度言葉の力を再認識させられるようなお仕事小説。  主人公のOL、こと葉が同僚の結婚披露宴へ出席した際に、「言葉のプロフェッショナル」であり、スピーチライターである久遠久美の祝辞を聞き、こと葉もスピーチライターの道へと進むサクセスストーリー。  読み始めてすぐに思った。あ、これがプロ作家の技だ。いや当たり前ですけど、これは作者の原田マハにしか書けないのだろうと思わせる一冊でもあった。勉強になりました。これがその作家にしか書

    • 【エッセイ】海の見える図書館とニンニクラーメン

      「ニンニクラーメンバタートッピングがめちゃくちゃ美味いから絶対食べたほうがいい」  でなければ、お前の人生は一割くらい損してる。と、付け加えてきそうな熱量で同僚が語る。ほんの昼休みの喫煙所での談話。  これは僕にとって日常で、また彼にとっても日常であった。日常も日常。日常も繰り返し過ぎて、彼も、このラーメンを激推しするのはこれで何回目か。三回目くらいだろうか。 「おまえニンニク入ってたらなんでも美味いって言う、ただのニンニクフリークじゃねえか」  小馬鹿にしてやった。

      • 「創作の極意と掟」筒井康隆/著 読書感想

         筒井康隆が記した創作の極意と掟。『時をかける少女』で有名な著者だが、純文学からエンタメ、果てはライトノベルまで書いてのける大作家。  規定の枠組みにとらわれず小説の面白さを追求する、作家としての在り方が実にカッコイイ。憧れの存在だ。  著者いわく小説作法の類ではなく、エッセイ。筒井康隆氏本人の遺言であり囲炉裏端の繰り言であるらしい。  筒井康隆ファンをはじめ、著名な作品群を引用して解説されるので、読書家のかたも楽しく読めるのではないだろうか。  タイトルの「創作」とは「小

        • 【小説】おしりのぽんぽん第五話

          第一話・あらすじはこちら:【小説】おしりのぽんぽん第一話出雲黄昏 (note.com) 五、月読編  |月読というタレントに転生した。  この身体はすごかった。神格を人格が上回るような、圧倒的な力がふつふつと体内で無尽蔵に湧き上がってくる感じ。  なるほど、創造神ですらおしりのぽんぽんを上手く設計できなかったが、この女なら可能かもしれない。さながら感覚・感情を司る神とでも言おうか。創造神の配下としてこいつを天界に送っても良いかもしれないと、転生してすぐに思えるくらいに、今

        「本日は、お日柄もよく」原田マハ/著 読書感想

          【小説】おしりのぽんぽん第四話

          第一話・あらすじはこちら:【小説】おしりのぽんぽん第一話出雲黄昏 (note.com)  四、天界編  神は人の|形をしていました。けれども、総じて神はおしりのぽんぽんを持たなかったのです。必要ありませんでしたから。  ここは天界であります。俺はゲツドクと呼ばれ、神々の中でも創造を司る上位の神のひと柱でございます。  神、その人知を超えた圧倒的な情報量を持つ存在でございますから、俺の人格すら、これまで培ってきた記憶が小さなものになりましょう。もはやこれまでのこと、そのすべ

          【小説】おしりのぽんぽん第四話

          【小説】おしりのぽんぽん第三話

          第一話・あらすじはこちら:【小説】おしりのぽんぽん第一話出雲黄昏 (note.com) 三、動物編  なんとなく、そんな気がしていた。  再び転生し、現代日本に戻っていた。ここはビルの屋上。ごみごみした都心部。  俺の前には猫がいた。猫は臨戦態勢を整えたような姿勢で、俺を敵視しているようだった。目が合っても逃げる気配はない。俺がちょっかいをかけようものなら、跳びかかってきて猫パンチのひとつでもくらわしてやろうか。と言わんばかりの面持ちだ。  あの猫には目があり視力がある。

          【小説】おしりのぽんぽん第三話

          【小説】おしりのぽんぽん第二話

          第一話・あらすじはこちら:【小説】おしりのぽんぽん第一話出雲黄昏 (note.com) 二、古代ギリシャ編    死んだはずの俺は、固いベッドの上で目を覚ました。しかし何かがおかしい。いや、すべてがおかしかった。  両手を見やれば、ひと回り大きなてのひら。毛深く太い腕。そしてなにより尻にある感触。思わず自分の手を尻にまわす。ある。たしかにあるのだ。おしりのぽんぽん。  これがあるゆえの感覚なのか。ああなるほど、これが、この器官の役割なのかと妙な感覚に浸る。しかしそれはこの人

          【小説】おしりのぽんぽん第二話

          【小説】おしりのぽんぽん第一話

           一、高校生編    無いことが、これほどまでに罪深いのか。  俺だって今までだれかにおしりのぽんぽんがないことを告げたことはないし、両親だっておしりのぽんぽんは付いている。 『タレントの月読、おしりのぽんぽんがないことを告白』  ネットニュースの見出しでこのような記事が増えてきたが、有名人が注目されなくなったときの苦肉の策として公表しているのだろう。  なんとか芸能界で忘れられない存在になるための悪目立ちに過ぎない。そして公表した有名人は軒並み健常者から「そうだと思った」と

          【小説】おしりのぽんぽん第一話

          【雑記】執筆近況とタモリの名言から学ぶ逆接の常套句

          いつもありがとう、出雲黄昏です。  物書きの皆さんこんにちは。安心していい。僕は書けていない! 仲間だよ。(お前と一緒にすんな)     ゴールデンウィーク最終日、5/6のこと。9時間机に向かって執筆したにも関わらず執筆文字数、わずか500文字! ゴ、ゴヒャクモジ!?    毎時55.5文字 1分間に1文字。    己に嘲笑、自作に合掌、時期尚早。YO!    てなこと(?)で、それから人さまの文章を積極的に摂取して、勉強させていただいていたわけです。  

          【雑記】執筆近況とタモリの名言から学ぶ逆接の常套句

          【雑記】プロ作家が僕の小説を紹介する、だと!?

          いつもありがとう。出雲黄昏です。  えーと、今緊急でカメラを回しています!  なんと、時代小説作家であられます笹目いく子様のnote記事にて、出雲黄昏の作品を取り上げていただきました!祝。快挙。  笹目いく子……アルファポリス第8回歴史・時代小説大賞  大賞受賞作家。 【大賞受賞作品】 『独り剣客 山辺久弥 おやこ見習い帖』  が今月下旬、アルファポリス社から刊行されます。  この現代に必要とされる時代小説であると評価された。今読むべき時代小説!そう思うとわくわくしま

          【雑記】プロ作家が僕の小説を紹介する、だと!?

          【雑記】自分の晒したくもない恥を小説に反映させる

          いつもありがとう、出雲黄昏です。 「恥の多い生涯を送ってきました」  太宰治の人間失格において最も有名な文句である。  自分の晒したくもない恥を作品に反映させることができたとき、より深みのある作品になるのではないか。という仮説が出発点でした。  小説書きに必要な才能のひとつとして、羞恥心が捨てられるやつ。なんてことを誰かが主張しているのを最近見た。これが正解かと言われれば、必ずしもそうではないのだろうが、文豪たちの作品を読めばその匂いが漂ってくることもたしか。  僕

          【雑記】自分の晒したくもない恥を小説に反映させる

          【雑記】ギャンブルが題材の長編を書き終えて、考えたこと

           いつもありがとう、出雲黄昏です。  エブリスタにて連載を開始しました。4/29に完結します。  今のところnoteでの掲載予定はありません。ご要望がもしあったら考えますが……。  小規模な公募に出すからどちらにせよ6月頃に非公開に戻します。  ゴールデンウイーク前半には完結するので、読んでもらえたら最高に嬉しいです。  コメントを参考にさせていただき公募までに修正する予定なので、バシバシご批判ください。  本作(10万字くらい)を書き終え、推敲も何回かしたけれど

          【雑記】ギャンブルが題材の長編を書き終えて、考えたこと

          【雑記】漢字四文字系名前ヒロインってあり? その1

           いつもありがとう。出雲黄昏です。    創作論が好きだ。  インタビュー記事・動画。書き手個々のブログ。  アマチュアだろうがプロだろうが、書き手の苦悩や葛藤、極意、嗜好……。書き手は何を考えて、どう表現しようとしているのか。  それらを拝見し、僕はいつも新しい視点を得ている。    執筆で五里霧中。  霧の中模索、やみくもに彷徨っているなか、他の書き手さんの視点に出会うと突然視界がクリアになることがある。  ハッとするよね。そういうのって。  だから、noteで発信してく

          【雑記】漢字四文字系名前ヒロインってあり? その1

          【短編小説】淡い桜木の盟約

          「ねえねえヒカルくん。この曲イヤフォイで聞いたらすごくいいよ」 「どこのマリオだよ」   「え何言ってんの?」   「……よくそれで有名校受かったな」    僕と隣り合い、桜木の下ベンチに座る真島一乃々佳。背後で淡く咲かすは僕らと同学年、樹齢15年のソメイヨシノ。  そよそよと揺らめく桜のシルエット柄の樹影に一乃々佳は陰っては照らされ、胸元にはコサージュが据え咲く。これは今日、卒業式で在校生が贈ってくれたものだ。    父さんがマイホームの庭にソメイヨシノを一本だけ植えた

          【短編小説】淡い桜木の盟約

          【雑記】「自殺幇助士」あとがき…はやめだ!くらえNG集!

           いつもありがとう、出雲黄昏です。  本作読んでなくてもどうぞ。  さて、  本当はつらつらとあとがき書いてました(そもそもあとがきなんて公開したことない)が、ふざけてNG集作ったら、こっちの方が面白い!  となったので、あとがきなんぞ蔵に投げ込んでしまえ! (ノД`)・゜・。ゴミがっ!  よし、  今こそ埋葬した、駄文たちに呪文を唱え、呼び起こそうではないか。 「汝、悠久平臥より蘇り覇穹の龍へ宿らん! いでよ!」  ブワサァー、T(・_・)T ども、ゾンビっす。  さ

          【雑記】「自殺幇助士」あとがき…はやめだ!くらえNG集!

          【雑記】まずいラーメン屋もたまには、ね

           いつもありがとう、出雲黄昏です。    たいがい、人からおすすめされるラーメン屋というのは微妙です。  特に麺類は個人によって好みが大きく分かれると経験則から感じている。  今回行ったのは味噌ラーメン専門店。  そもそも、味噌ラーメンがそんなに好きじゃない。豚骨派。  この時点でなぜ行った!? と。  普段から、小説を書く上で新しい体験って大切だと思っていて、ほんの些細なことでいい。  朝ちょっと早起きするとか、エアコンの温度を1℃上げるとか。その程度のことに対する気

          【雑記】まずいラーメン屋もたまには、ね