上京、一人暮らし。怖い、迷い。

 2020年3月、私は大学進学に向けて田舎から東京へ行くため、荷造りしたダンボールを親の車に詰めて、次の日の出発に向けて準備していた。その夜、緊急事態宣言が出た。テレビに映る小池百合子が言ってることの深刻さが、その時はよく理解できておらず、2、3日東京行きが延期になるだけだと、そのくらいにしか思っていなかったのに、それから今日まで8ヶ月、私は東京へは行けていない。


 春学期のオンライン授業が決定し、東京行きは立ち消え。実家のあるど田舎のN市で過ごす日々。市内にはマックもスタバもない。そもそも徒歩圏内に田んぼしかない。何もすることがなく暇だからといって、電話で高校の時の友達と死ぬほど喋っていたが、それでも埋まらない何かがあることに気づいた。

 

そして延びに延びた授業開始。やっと誰かと繋がれると思ったのに、実際長い時間繋がっていたのは大学のポータルサイト(なお電波が悪い)。右も左もわからないまま、毎日動画(まだいい、音声だけ文字だけとかもざら)を見て何千字のリアペ達をこなす日々。当然、名前と顔しか知らない学科の「友達」にも頼れず、泣きながら課題をこなし、泣きながら寝た。気晴らしにと外に出ると、今頃東京にいたはずなのに何で田んぼの真ん中にいるんだろうと悲しくなるので外にも出られなかった。



 雑巾みたいになりながらも、春学期を終え、怒涛の期末レポート〆切も終わった。すると、私の「大学」はパソコン一台、閉じたら大学生として活動できる場がどこにもないという現実から目をそらすことができ、少し元気になった。人に会いた過ぎて高校の時に住んでいた、県内では都市部の家に一人で住むようになり、そっちに残っている友達と遊んだりして、少しずつ自分が社会とつながっていたことを思い出した。


 やがて秋学期が始まった。電波が悪い実家だと授業中とても不便なので、そのまま都市部の家に一人で住むことにした。授業面でも、春と比べて少し変化があった。まず一番の変化は、春に鬼のようにあったリアペやレポートの字数が極端に減ったこと。よほど沢山の声が届いたのか…。(この程度の字数の要求なら春あんなに泣かなかったなぁと思った)。そして、友達のいる場所に住み始めた(中学までの友達とはほぼ縁切れてるから高校の友達しかいない)ことや、さらにバイトを始めたことでいつでも人に会えるという安心感から、前と変わらないオンライン授業の日々でも、孤独感は薄れた。「私、このまま秋学期乗り切れるかも…」そう思ったのがフラグだった。


 ここ2週間ほど、めちゃくちゃ寂しい。ぼちぼち友達も上京していって、この前最後の一人が上京してしまい、完全に県内ぼっちになったことか大きな要因。一人になりたくなくて都市部の家に出てきたのに、結局ぼっちになった。

 たまに泣く。特に夜になると寂しすぎて誰かに電話かけたくなる。でもそれは迷惑行為過ぎるから、通話アプリみたいなのを入れて、知らない人と通話して時間を潰したりもしてみた。まぁ予想通り知らない人と話しても特に面白くもないから虚しくなるだけだった。ヤフオクで毎日買い物したりもした。ある日寂しくてしょうがなかった時にたまたまポチったら、すうっと寂しさが消えて安心したことがきっかけで、欲しくもなかったものを買うプチ依存みたいになった。


 さすがに自分やばいと思って、今、ひとつ考えてることがある。



 引っ越しを手伝ってくれる親の仕事の都合もあり、来年の3月にと考えていた東京への移動を11月とかに早めることだ。今、私の大学の授業は、全てオンライン。だから東京へ行っても対面授業ができるわけではないでしかし実際サークルはもうガンガンオフラインで活動していて、関東勢はもちろん、それのために上京している地方組も多い。その1年生の新入会の流れから外れるのが怖い。1年生のうちに1年生として扱われたい。私のフレッシュマンライフを完全に失いたくない。でも新入会を既に締め切っている所もある。時間がないのだ。住む場所を理由に、交流の場所を失いたくない。さっさと東京へ行って、活動を自分で見て、所属するコミュニティを決めて楽になりたい。そもそも何で他の大学は対面してるの?私も大学というところに通ってみたい!!!という気持ちもある。

 また、今県内でやっているバイトの雰囲気がとても悪く、年内で辞めようと思っている。そうすると人と話す機会が失われるので、新しいバイトを探さなければならない。しかし、日中は授業を受けていて働けず、しかも3月に東京へ行ってしまう学生を雇ってくれるところがなかなか見つからない。だからバイトを辞めたタイミングで東京へ行き、バイト始めたりサークル入ったりして人と話したい。



 とりあえず大きな理由はこれ。じゃあさっさと東京行けばいいじゃないと言われそうだけど、いまいち踏み切れない理由もある。


 今、N市に住んでいる親が時々食材などを持って自分が住んでいる都市部の家に来てくれる生活をしているが、当然ながら東京に行くとそれはなくなり、完全に一人暮らしになる。単純に一人暮らしが不安ということと、一人の時に、また高校の時みたいに体調が悪くなったらどうしよう(簡単に言うと生活に支障がでるレベルで生きたくなくなって精神科へ行ったし通っている)という大きな不安がある。病院も探さなければならないし、そもそも一人で病院に行けるほどの元気がその時なかったら?それこそ誰の支援も受けられず、めちゃくちゃ孤独。考えれば考えるほど不安で、東京行きに二の足を踏んでいる。


一人で住むという点では、今も東京も変わらないのかもしれないけど、車で1時間半の距離に親がいるというメリット?アドバンテージ?を、対面授業が始まった訳でもないのに自ら進んで手放して、知らない土地で一人暮らしするリスクを犯しに行くことに自分が完全に納得しきれてない。友達がほしい、だけでは上京する確固たる理由にはなり得ないのだ。だからといって、友達がいない所であと半年過ごせるほど孤独にも耐えられない。でも、その孤独って東京に行ったら本当に解消されるの?という問いに答えたくないから、やっぱり東京に行くのが怖い。



 友達がほしいから、という理由だけで、寂しいけど安定して授業は受けられるし、知った土地で程々に支援も受けられるこの状況を安易に手放していいものなのか、迷ってます。


以上。(明日授業でしょ早く寝ろ私)

 

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