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仕事で絶対絶命!ピンチをチャンスに変えた「10秒の習慣」

4年前、2016年7月のある朝。
恵比寿のウェスティンホテルの一室で、
私は生涯で最大のピンチを迎えていた。

もう二度と経験したくない!
今思い出しても、背筋が凍りつくほどの大ピンチ。

「どうしよう!!もう間に合わない!!」

あの時、目が覚めて真っ先に思ったことだ。

次に思ったのは、
「誰か、私を暗殺しにきてくれないかな…」
(どないやねん!)

この日、私はフォレスト出版主催で
2日間の公開セミナーを収録して、それを教材販売する予定だった。

数カ月前、職場の人間関係で悩むクライアントさんに、その場の思いつきで編み出したワークが、驚く効果を出し、他の方にもそれを応用したら続々と効果が出た。
パワハラで悩む人が一晩で解決した、などなど。

ちょうど、フォレスト出版から「次の教材は何にしましょうか」
と、打診されていた頃に、それらが連続で起きていた。
私は「このワークを分析して、新しい理論を体系化した内容にしましょう」と提案した。

この公開収録は、ワークショップ形式で、募集人数は10数名。
すぐに満席になった。
皆さんの期待をヒシヒシと感じた。

こんな事情なので、ワークの内容は最初から決まっていたが、
「なぜそういう効果が出るのか?」の説明がずっとつかなかった。

ワークの効果はある。
でも、これをどうやって説明したらいいのか……
私は途方に暮れてしまった。

コンサルなら個別に対応できるけれども、
教材にするなら、体系化しなくてはいけない。

私は匙を投げ、
脳科学に詳しい精神科医の先生に相談しに行った。
その時、先生にこう言われた。
「佐藤さん、これは脳科学では説明のつかない現象だ。量子力学の範囲ですよ」

やはり……。
薄々そう感じていたものの、量子力学に詳しくなかったので、短期間で勉強するのは無理だ、と思っていた私。

既に、1週間後に公開収録セミナーが迫っていた。更に連日、朝から晩までコンサル予約でいっぱいだった。

ついに迎えた前日の夜。
私は、出張先の大阪から、そのまま会場のウェスティンホテルに直行し、前泊することになっていた。

この時点でも、全体を貫く一本の筋が見えず、体系化されないままだった。
当日の構成はこんな予定。
① 体系化されたレクチャーを数時間話し、
②ワークをしてもらう。

それなのに、肝心のレクチャー部分が、いつまでも白紙のまま。

公開収録セミナーは、12時間後の10時から。
私は真っ青になって、ホテルの部屋の机の前で、ウンウン考えていたものの、何一つ出てこない。

残酷に時間だけが過ぎ、気づいたら朝の6時。
9時から打ち合わせ、10時開始なのに、何一つ思い浮かばないなんて……。
「誰か助けて!」と本気で焦った。

ところで、本当に困ったとき、私は「とりあえず寝る」ことにしている。
(現実逃避とも言う)

その時も、あまりにも煮詰まり「1時間だけ仮眠しよう!」と思い、
ベッドに入り、私は目を瞑った。





ルルルルル~。
ルルルルル~。

聞きなれない電話の音で、私は目覚めた。
9時の打ち合わせに私が来ないので、
フォレスト出版の方が心配して、ホテルの部屋に電話してくれたのだ。

……時計を見ると、9時半。


文字通り飛び上がった!
10時から収録なので、きちんと化粧もしないといけない!

土壇場では、人の本性というか価値観が出る。
私は開始までの30分で、講座を考えることより、「化粧すること」を選択したのだった。
(オイ~ッ!)

それでも、10時ギリギリに会場に駆け込んだ。
出版社の方は私の顔を見て言った。
「打ち合わせの時間はないので、ぶっつけ本番で行きましょう」

「もう~~~ヤケクソだぁ~!!」
私は登壇するしかなかった。

受講生さんはこの講座のためにお金を支払い、期待の表情で私を拍手で迎える。

あぁ……今書きながら、この場面を思い出すとゾクゾクと背筋が寒くなる。


もう絶対絶命!
ところが……壇上に立ったとき、不思議なことが起きた。

考えてもみなかった言葉が勝手に口から出てきて、スラスラと私は話し始めたのだ。

あの時、「2人の自分」が同時にいたことだけは、はっきり覚えている。


1人は、流暢に、本来の私が知らないことを体系化している私。
もう1人は「オマエ、誰やねん!」「なんでそんなこと知ってるの?」
と、話している自分に突っ込んでいる私。

「この知識は知っている」と確信を持ちスラスラ話す私と、
「なんで知っているの?」と呆気にとられる私。

心の中に2人の人物がいる体験は、後にも先にもあの時だけ。
と同時に、会場の天井から、そんな自分を俯瞰的に観ている「視点」も感じていた。

       ※   ※ ※

「今までで一番素晴らしい内容でしたよ!こんなに体系化されるなんて凄いですね!」

1日目が終わった後、決してお世辞を言わない担当の方が、拍手喝采的な雰囲気で、満面の笑顔でそう言ってくれた時、私は安堵して、その場に膝から崩れ落ちそうになった。

さすがに「実は、開始直前まで内容が浮かばなかったんですよ」とは言わなかった。
話がややこしくなるから……。

半年後、収録された内容は教材として販売された。
販売の1ヶ月前に、私は奇跡的な電撃結婚をして、「人間関係を変える画期的なワークがある」と注目されたのも関係があったと思う。

わずか3日で完売してしまった。

教材になってから、その動画を見たのだが、私は腰を抜かすほど驚いた!

登壇した時、主観では「もうダメだぁ!誰か助けて!」と、かなりパニックだったはずなのに、
動画に映る私は、堂々と会場をゆっくりと見渡し、微笑みながら自信満々に話していた……。

「オマエ、誰やねん!!」


思わず、声に出して突っ込んだ。

        ※   ※ ※

なぜこんなことが起きたのか、本当の答えはわからない。

でも、私は「10秒スイッチ」という「10秒の習慣」に理由があると思っている。

この時に限らず、子どもの時から、私はいつもギリギリになるまで行動できないタイプだった。
テストは常に一夜漬け。
遅刻の常習犯。
夏休みの宿題は、休みが終わる前日どころか、学校が始まってから仕上げる。

ダメ人間そのものではないか!

そんな私でも、40ウン年間、何とか生きてきた。
色々あって苦しいこともあったし、上手くいかないことも人生には多々ある。
でも、確かなことは「今」生きているという事実。ここに気づくのが大事だと思う。

私が開発した「10秒スイッチ」は、いくつかのやり方があるが、その中でもメインになるやり方は「過去の自分に、未来がどうなったか教える」というもの。

例えば、「約束の時間に間に合わない!」と焦っている自分がいるとする。
その1時間後、未来はどうなっているだろうか?

ひょっとして奇跡的に間に合っているかもしれない。
あるいは、間に合わず、しかも誰かに怒られたかもしれない。

でも、私は「今」生きている。

その「今」をしっかり感じるのだ。
そして、「間に合わないかも」と焦っている過去の自分にこう言うのだ。
「大丈夫だよ!結局何とかなるから」と。

場合によっては、「生きているだけで十分だ」と言ってあげてもいい。
コツは「過去の自分がこう言われたら安心する言葉」をかけること。
もう1つは「今の自分が、言っていて安心する言葉」にすること。

これを私は、小さなことから大きなことまで、何千回と繰り返しやってきた。
1回につき10秒で終わるから「10秒スイッチ」と名づけた。

これを繰り返したらどうなるのか?
脳の神経回路(シナプス)に、こんな回路がつくられることになる。
「何かあっても、結局何とかなるから大丈夫だよ」。繰り返すほど、自己効力感、自己肯定感がアップしていく。


すると、「今の自分も何とかなる」という気持ちになれる。

①「何とかなる」と安心できる気持ちになると、②脳は「どうすればいいか?」と建設的に情報を検索し始める。
③結果的に、自分では思いもよらないアイディアが湧いたりする。

実際にアイディアが沸いたときは、
過去の「どうすればいい?」と困っている自分に
「こうすればいいんだよ」と教えてあげるのだ。

未来から過去にメッセージを送るイメージでする。

4年前の私が、なぜ大ピンチを切り抜けられたか?
私は「未来の自分が教えてくれた」と思っている。
あの時感じた「もう一人の自分」は「未来の自分」だったのではないか。

実際、「今の2020年の私」は、量子力学的に4年前のコンテンツを説明できるレベルまで知識を身につけている。

映画『インターステラ―』も、まさにそんな内容だったが、
10秒スイッチでそれができる、と想像すると、ちょっと希望が出てくる。

自分の人生は、自分で変えられる。

私は心からそう思う。

       ~おわり~
*10秒スイッチの詳細は拙著『シンクロちゃん』に書いています


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