伊豆川飼料、動く!
こんにちは。伊豆川飼料株式会社のイズカワツヨシです。静岡県静岡市にある飼料や肥料を作っている会社の取締役をしています。
前回の「伊豆川飼料、立ち上がる!」では普通のサラリーマンだった私が家業を継ぎ、その家業がピンチに陥っていること、そしてその原因が静岡の産業構造、そして日本の社会構造にまで原因があることを発見し、立ち上がるまでを書きました。今回は、その続き。どう考えてどう動いたかを振り返っていきます。
前回に書いたように、当社の製品の主原料である「水産加工残渣」と呼ばれるマグロの頭や骨やしっぽは、本業である水産加工業の景気によって左右される副産物です。ツナ缶やマグロの刺身などの水産加工物が売れなければ発生も減るという、原料仕入れを自力でコントロールすることが難しい業態です。
デフレによって日本人の生活は、とにかく安いものを購入・消費する傾向が強くなっていました。その結果のひとつとして、静岡県が100%近いシェアを誇る「ツナ缶の生産」が、コストの安い海外の輸入品にシフトし始めていました。2011年を境に輸入ツナ缶の割合が増え続けて、国産ツナ缶の生産量は減少傾向。飼料・肥料の原料も右肩下がりで減っていった訳です。
これを食い止めるにはどうしたらよいか・・・
かなり大きく出ましたが、皆様スーパーの缶詰売り場や特売のチラシって見たことありますか?
ツナ缶4缶パックで199円と書いてあります。一缶50円です。カラの缶だけでもコストは30円くらいかかります。中身が何入ってるか分かりますか?まぐろですよ。どうしてこの値段でできるんでしょうか。特売のチラシなので色々な戦略はあると思いますが、世の中にはこのイメージがついてしまっているのです。(このチラシは他の特売品も大概な価格設定だ・・・)
そう、私が変えたいと思ったのが、ツナ缶を特売品で50円や100円だと思ってしまうこの世界です。海で命がけでとってきたマグロを命がけで切って、丁寧に加工して缶に詰める。そして売ってもらうために営業する。売れたらトラックに載せて長距離を運ぶ。売り場に並べて、POPとかチラシ作って…これだけ人の仕事も思いも込められているはずなのに50円!?100円!?それはおかしいでしょ!?って話になりませんか?
じゃあ今日から1缶200円ね!と言ったところで売れるとは思いません。もちろん特売全部なくなれって言っているわけでもありません。「ツナ缶が1缶300円とか500円で売れる世界があってもいいんじゃないか。」そう思っていました。
私は普段東京出張した際に、静岡のお茶や干しサクラエビを持っていくんですが、この日は私の好きなツナ缶(全国流通していないローカルなメーカーのもの)をお土産に持っていきました。(普段はお土産に軽いものを持って行って、ツナ缶は重いので持っていかなかったんです。)
その時は「へー珍しい」くらいのリアクションで、後日感想を聞いてみると「とてもおいしかった」と。「アレ、いくらだと思います?」と聞いてみると「えー300円~400円くらい?」との答えが!!そしてもっと食べたいから送ってとのリピートも!
実はコレ、地元のスーパーで当時120円くらいで売っているツナ缶だったんです。。。
そうですコレが私のイノベーションの瞬間です。120円のツナ缶に400円のポテンシャルは十分にあったんです。売る場所、売る相手、使う場面が違っていただけなんです。そして前回の記事の最後のコレに繋がります。
ツナ缶を自分のためじゃなく、人のために買う世界を作る・・・そして生まれたのが、パッケージをお土産用・プレゼント用(あわよくばSNS映え)に全振りした「とろつな」「しろつな」だったのです!!!
実は思いついてからの産みの苦しみもあるんですが、今回はここまでにしておきます。長文読んでいただいてありがとうございました。
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