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デザイナーやモデルがいないアパレルは現実的に成立するのか?【#41】

今日のトピックは「現実にデザイナーやモデルが存在しないアパレル、ファッションブランド」について。
昨日は「上半期に最も売れたVR/AR ヘッドセット」についてまとめています。合わせてご覧ください。

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こんにちは、こんばんは。
VR/ARの会社を設立した大学院生(@iwhododo)です。
VRは注目の高い領域だけに、日々大量のニュースを目にします。
そこで毎日1つだけVRに関連したトピックを取り上げてお届けしています。
※ちなみに選定基準は100%の独断と偏見に基づきます。

毎日更新しているので、ぜひフォローしてチェックしてください。

この記事のまとめ

バーチャルヒューマンがデザイナーのブランドが登場
アパレル各社はバーチャルなモデルも活用
試着で

バーチャルヒューマンがデザイナーのブランドが登場

バーチャルヒューマンがデザイナーを務めるブランド「ノーウェア(ИOWEAR)」が登場しました。世界初の試みとのこと。
7月18日から公式オンラインストアでTシャツなどを取り扱っています。

Instagramを見る限り、CGで制作されたキャラクターは不明で、服を着用しているモデルは実在の人物と思われますが、今後の展開が気になるところ。

バーチャルヒューマンがモデルに

デザイナーというある種「裏方」的な人物をバーチャルでフィーチャした例はまだまだ少ないですが、モデルやインフルエンサーとして現実には存在しない「バーチャルヒューマン」が活動している例は増えてきています。

「キズナアイ」や「にじさんじ」などのVTuberや初音ミクとは異なり、アニメ的な表現のVTuberに対し、ここで取り上げるバーチャルヒューマンは現実の人間に極めて近いテイスト。

最も有名なバーチャルヒューマンはMiquela Sousa(ミケーラ・ソウザ)。現在Instagramのフォロワー数は250万人超を誇るインフルエンサーです。

日本でも特に注目度が高いのは、Awwが手がけるimma。見た目はもちろん、その内面や価値観の発信も非常に意識されています。
実際にIKEA、SK-Ⅱなど有名ブランドや商品に起用された実績も。

現実のモデルと自然に馴染むimma(中央)

他にも世界初のギャルのバーチャルモデルとして登場した葵プリズムや、東京とロサンゼルスに拠点を置くベンチャー企業「1SEC(ワンセック)」が手がけたLiam Nikuro(リアム・ニクロ)など多種多様です。

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さらに企業専属のバーチャルヒューマンもデビューしています。
2020年3月9日、ファーストリテイリングのブランドである「ジーユー(GU)」は、バーチャルヒューマンのYuを発表しました。

Yuは女子大生で、平均的な体型のモデル。この「平均」とはGUがランダムに抽出した200名の女性の計測データから算出した数値です。
ペルソナマーケティングの一種と捉えることもでき、顧客の共感だけでなく、ペルソナをバーチャルヒューマンとして設定することは、自社のマーケティングや合意形成においても非常に効果的だと思われます。

大衆的なブランドに限らず、ハイブランドでもその世界観を忠実に再現するためにはバーチャルヒューマンが現実の人間以上に役立つ場面もあります。

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ちなみにKFCも超ダンディーなカーネル・サンダースを公開しています。

課題は不気味の谷とコスト

「不気味の谷現象」とは、ロボット工学者の森政弘が初めて唱えた仮説です。ロボットは通常人間らしく作られるようになるにつれて、段々と好感的、共感的になっていくもの。しかしながら「不気味の谷現象」では人間の外観や動作と見分けがつかなくなるまでのある時点で突然強い違和感と嫌悪感が発生すると唱えています。谷のように落ち込む感情の変化からこの名前がつけられ、現在ではロボットに限らず、美術や「顔に見える天井のシミ」などの心霊現象でも引用されることがあります。

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出典:academistjournal,佐々木恭志郎,「アンドロイドへ抱く不気味さの正体は未知への不安」

その不気味の谷を超えたとして有名なのが3DCGのSayaです。


上で紹介したバーチャルヒューマンの多くは頭の部分だけを3DCGで作成し、実写で撮影した体と背景に合成したコラージュのような手法によって不自然さやコストを解消しようとしています。さらに顔を加工することが普通になってきた背景も違和感を打ち消す効果として作用しているでしょう。

バーチャルヒューマンは単なるブランドイメージへの合致だけでなく、スキャンダルなどのリスクを軽減できる意味でも企業に大きなメリットがあります。特に大企業であればその効果は一入です。

※最も演出による炎上などは免れません。CALVIN KLEIN(カルバン・クライン)のCMでトップモデルのIsabella Khair Hadid(ベラ・ハディッド)とキスする演出があり、これが異性愛者であるベラ・ハディットをレズビアンとして描写しているとして一部では抗議や批判の声が挙がりました(とはいえ現在も動画が公開されているので演出として認められた模様です)。

ブランドサイドにも大きなメリットのあるバーチャルヒューマンですが、他方で自分たちのブランドイメージを忠実に際限したい小さなファッションブランドやD2Cにとっては3DCGを作って運用するにはコストがまだまだ高すぎるのが実情です。手を抜けばそれこそ不気味の谷に陥ってかえってブランドを損なうことになります。

とはいえノウハウの蓄積や需要拡大によってさらに認知やユーザー層を広げていくはずです。ブランドロゴやイメージだけでなく、専属のバーチャルヒューマンがブランドイメージやペルソナを表現する時代が来るかもしれません。

「実際」と「現実」

バーチャルヒューマンがデザイナーやモデルを務めるブランドが登場し、ついにはデザイナーにもモデルにもスタッフにも現実の人間が存在しない時代がやってくるかもしれません。

けれど、「たとえチームでも、『実際』には運用している個人やグループがある」だったり、「体は『現実』の人間だから『実際』には誰かがいなきゃいけない」だったりと思った人もいるはずです。

その『実際』こそが「バーチャル」の本質だと私は考えています。
そういった意味では今回取り上げたファッションブランドのデザイナーやモデルも、現実に存在しないけれども、実際に実在はしているのです。

会社を「法人」として扱うように強いAIやロボットに関連してバーチャルヒューマンも含めた人格や人間の概念を広げつつ、私たち現実の人間もその身体を拡張していくことで、相互作用によって人間自体の進化や可能性がもっと加速していくと期待しています。

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過去のnoteはこちらにまとめています。

出典:FASHIONSNAP.COM.「バーチャルヒューマンがデザイナーを務める世界初の新ブランド「ノーウェア」がデビュー」


会社のみんなとドーナツ食べます。