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90%の工数削減も・・・トヨタの驚異的なDXカイゼンはどうして実現できたのか?【#91】

今日のトピックは「トヨタのUnity、Hololens2の活用事例」について。

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1.トヨタ、「カイゼン」の鍵はMR

まもなく上場を迎えるゲームエンジン開発元のUnityですが、そのUnityはゲームだけに留まらずVRやそれを用いた建設・デザインなど様々な用途で利用されています。その中のひとつがトヨタでのソリューションです。

トヨタ自動車といえば、基本理念の一つに「カイゼン」があります。品質の最大化、効率の向上、無駄の排除を追求した継続的な業務改善は多くの企業にも影響を与えた標語でもあります。

トヨタは最新技術によってこれを実現することも少なくありません。そのためにUnityとMicrosoft(マイクロソフト)のMRグラス「Hololens2」が積極的に用いられています。

2.Unityを用いた「カイゼン」事例

トヨタでは、CADデータをリアルタイムに3Dデータに変換するためのソフトウェア・Pixyzを使用します。
その後、Unityを使用してニーズに合わせたアプリケーションを開発し、さまざまなプラットフォームに展開。アプリケーションの内容としては、バーチャルリアリティ(VR)での研修実施、ブランド車・レクサスのためのリアルなカスタマイズの作成。HoloLensを使用することによって検査ワークフローを数日から数時間に凝縮することも可能です。

以下にUnity Blogで紹介されていたカイゼン事例をまとめています。

2-1.数値流体力学(CFD)解析のための設計レビュー

従来困難な作業であった、車両の数値流体力学(computational fluid dynamics,CFD)解析が、UnityとHoloLens 2を使用することによってリアルタイムで表示可能になりました。ユーザーは、静止している車両の周りを回って、その設計が空力にどのように影響するかをシミュレーションして解析するか直観的に解析可能です。

さらに複数のHoloLens 2を使用することで、お互いの視界を共有することができるため、レビューしている最中のコミュニケーションやコラボレーションを向上する効果が期待されます。

2-2.車両の機構を簡単かつ安全に描写

当然ながらたくさんのパーツが組み合わさって作られる車両。その車両の機構を説明しようとすると、場合によってはエンジンが作動していたりブレーキが踏まれていたりしないと反応しない領域も多いことで、説明が困難でした。しかしながらHololens2とUnityを用いたMRを有効活用することによって、発進時、加速時、減速時に車両がどのように動作するかを簡単かつ安全に確認することが可能になりました。

2-3.HoloLens 2で配線システムを検査

車両が意図した通りに動作するためには、適切な配線の構成が必要不可欠です。しかしながら、完成した車では、設計図を見てもコネクタの位置やピンの配置を検査するのことは難しく、大変な作業となっていました。

そこで、2次元図に頼るのではなく、MRによってエンジン、ドア、ダッシュボード、その他必要な部分の内部の3次元的な配線図全体を可視化することに成功。これによってエンジニアは物理的な部品を取り外す手間や時間をかけずに、配線システムを理解することが可能になりました。

2-4.機械学習を用いたヒューマンエラーの低減

ヒューマンエラーの可能性は、たとえ熟練した技術者であっても常に存在します。そこで、人間の目では見逃してしまうようなミスをMRで赤い文字のハイライト表示するなどしてヒューマンエラーの低減を実現しています。

ヒューマンエラーを減らそうとするためには、これまで多くの人手が必要でした。この対策ではMicrosoft Azure上の機械学習モデルを訓練してこれらの単純なミスを認識するために、トヨタのチームは2万枚の写真を撮影し、教師データを作成するために、手作業で写真に注釈を付けるのに200時間を費やす必要がありました。

しかしながらUnityを使用することによって、車両のボディパーツを3Dモデルで作成し、3D空間でモデルの位置を変化させて、機械学習モデルを訓練することによって自動的にラベル付けされた大量の画像を生成。大きな人的コストの削減とヒューマンエラー対策に繋がっています。

3.Unityの可能性

UnityはFortniteなどを運営するEpic Gamesのゲームエンジン・Unrealとシェアを二分する世界有数のソフトウェア企業です。コロナ禍でさらにVRや巣篭もり需要でゲームの人気が増加したこともあり、さらに背中を押された形。

2019年の売上は$541M、2020年上半期の売上は既に$351Mで、想定時価総額は現在$11Bと言われていますが、ここからさらに高騰していくと予想されます。なお、現在最大の持株会社は、これまでにアップルやGoogle、エレクトロニック・アーツ、Yahoo!、Instagramなどを始め250以上のテクノロジー企業に投資を行ってきた世界最大のベンチャーキャピタル・Sequoia Capital(セコイア・キャピタル )。

かつてのゲームエンジンから今やトヨタのカイゼンにまで導入されるUnity、今後さらにどのように発展していくのか目が離せません。
関連記事:44億円超の開発者支援を実施、フォートナイトのEpic Gamesから【#51】

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出典:Unity.blog"Toyota makes mixed reality magic with Unity and Microsoft HoloLens 2"

会社のみんなとドーナツ食べます。