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先生の仰せの通り〜ep.18〜
「大丈夫か?」
「先生となら平気です。」
エレベーターに乗って密着。でも今日はパーティに行く人達が乗ってきたので、途中の階からは密着できなくなった。
「大丈夫?」
「はい…大丈夫です。」
耳元で心配そうに確認してくれる先生。優しい。突然ぶわーっと人が乗ってきた。私と先生との間にも人が…。
〈やだ…離れる。〉
繋いでいた手が外れ、一気に不安の波が押し寄せてきた。
〈息が苦しい…。〉
「はぁはぁはぁ…。」
急に抱き寄せられた。
〈誰?〉
「チョコさん大丈夫?」
「三木くん?なんで?」
「辛そうだけど…大丈夫?」
「………。」
《ちー?どこだ?人で見えない。倒れてないかな?早くエレベーター止まれよ。》
ポーン
《止まった!》
人が降りて行く中、エレベーターの隅であいつに抱かれているちーを見つけた。
「ちー!」
《ん?今…ちーって…先生?…私をちーと呼ぶのは…おーちゃんだけ…のはず。〉
意識が朦朧とする中そんな事を考えた。
〈私…また…おーちゃんを思い出すなんて…馬鹿…。〉
「大丈夫か?」
「はい…三木くんが支えてくれてたので…。」
チラッと三木を見た。
《今回は俺が悪いか…。》
「ありがと。」
「お礼はいいですよ。今日はチョコさんに会いに来たんで。こんなに早くに会えて嬉しいです。」
《は?お前何言ってんの?なんかムカつくんだけど…。》
「あそ。俺らはパーティに参加するから。」
先生は私を支えながらエレベーターを出て、近くのソファに座らせてくれた。
「大丈夫か?」
「はい…大丈夫です。心配かけて…すみません。」
「いや…もっとしっかり…俺の方こそ…ごめん。
少し休んだら会場入ろっか?」
「はい…あの…。」
「ん?どうした?」
「あ…いえ…やっぱりいいです。」
〈私…何を聞こうとしてるんだろ?先生がおーちゃんなんてあり得ない〉
「そか…俺、受付してくるから、少し待ってて。」
「はい。」
受付が終わって先生が戻ってきた時には、スッカリ気分も良くなっていた。
「行ける?」
「はい…大丈夫です。」
手を繋ぐではなく、私の腰に腕を回し支えるようにして歩いてくれた。私も先生の腰に腕を回し身体を預けて歩いた。
会場に入って直ぐに先生の写真撮影が始まった。
〈あ~やっぱりカッコいい。あのスーツにして良かったな…。〉
《ちーが見てるのが見える位置に移動してポーズ決めて、早く終わんねーかな…。》
スタッフ「神林先生ありがとうございました。」
スタッフに誘導されて移動。
【ちー何処だ?俺は周りをキョロキョロと確認した…居た!》
撮影会が終わって私の元へ先生が来る。独り占めしてる感じで嬉しい。
「なんか飲む?」
「はい。」
2人で寄り添って色々つまんだ。どれもこれも美味しい。そして私は何だか美味しい飲み物を見つけてしまった。
「これ、甘くて美味しい!」
「あんまり飲み過ぎんな。一応アルコール入ってんだから。」
「はーい。」
《すでにほろ酔い?俺にもたれかかって…かわいいんだけど…今度酔わせてみようかな…。》
スタッフ「神林先生。あちらで先生方がお呼びです。」
「あ…はい…今行きます。」
「行ってらっしゃい。」
「マジで飲み過ぎんな!俺が戻って来るまで、ここに居ろよ!」
「はい。」
<あーあ、先生行っちゃった。慣れないヒールに立ったままだと辛いな。>
周りを見ると椅子があったので、そこへ座って。色んな先生に囲まれて話をしている先生を見つめた。
《ちー何処行った?あ!いた!》
入り口近くの椅子に座っている彼女を見つけ…ホッとした…のも…束の間…。
場内アナウンス「それでは、ここで今回の主催者で〇〇会社CEOの〇〇より挨拶をさせて頂きます。」
場内の照明が落ち暗闇に近い状態になった。
<また気分が…先生…怖い…。>
《しまった!》
「ちょっと失礼します。」
ちーが居た所まで人をかき分けて行った。でも、ちーは居なかった…。
《何処だよ?何処行った?》
<少しずつ息をするのも苦しくなって…意識が朦朧としてきた…。>
「大丈夫?」
身体が浮いた。先生の香りがした。
<先生が迎えに来てくれた。良かった…。>
私は安心して意識を手放した。その香りは先生に付けてもらって自分から漂っている香りとも気づかずに…。
目が覚めても暗くて何も見えなかった。
〈ここは何処?私はどうなってるの?〉
「先生?」
返事がない。でも私の手首は掴まれていて顔の横に…。
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