データの世紀の『 年末調整 』

 先月中旬あたりから、生命保険料等の控除証明や、住宅ローン残高の証明が届き始めましたね。お勤めの方は、会社から年末調整に関する用紙を渡されたり、入力サイト等を案内されたり。総務や経理、経営者の方は、税理士から説明を受けたり。そんな業務の流れから、今年もあと2か月か・・なんて思うこの頃です。

 noteなので、年末調整の用紙の書き方、注意点などを解説するつもりはありません。今日は業務をしていて思うワタクシゴトを記します。

■ 1つだけ解説

 ただ、変更点で1つだけ盲点になりそうな所を解説しておきます。シングルマザー・シングルファザーの方が、令和2年分の扶養控除等申告書を記入するときです。

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 ペーパーだと、上記の用紙に扶養関係を記入しますが、赤く囲われた部分。

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 「単身児童扶養者」という欄が新設されました。

 これは、シングルマザー等(事実婚を除く)のうち、児童扶養手当の支給を受け取っている者で一定の所得以下の場合には、住民税が非課税となる制度の影響です。非課税は令和3年~ですが、住民税は前年の所得に応じて課税されますので、令和2年に児童扶養手当を受け取っているかどうか等の情報が必要になります。

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 今年の年末調整では関係ないのですが、おそらく多くの会社が今年の資料に併せて、扶養に関しては「令和2年分」も記載するよう配布されていると思いますので、該当する方は参考になさって下さい。

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■ 今後の年末調整事情

 来年は上記の扶養だけでなく、その他の用紙も複雑化します。まだ参考イメージですが、下記のなが〜いタイトルの申告書が出現します。(noteのタイトルだったら、クリックしたくならない漢字の量ですね。中身も判定式だらけで、何書けばいいんだ・・という絶望感があるかもしれません。)

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 年末調整と言えば、最近、速水もこみちさんがテレビCMで「年末調整の時短レシピ!」とやっています。私も気になって、思わず公式サイトで仕組みを拝見しました。

 「あぁ、こうなってくるだろうな」と思いました。やはり、複雑になってきた分、入力する社員さんが「分かりやすい」という点は、まとめる総務や、経営者、我々税理士にとっても助かるよなぁ、というのが本音です。
 また、国税庁も、将来的には、マイナンバーを活用した年末調整の電子化を検討しています。生命保険情報等はマイナポータルへ直接送付されるため社員による紛失の心配がなく、扶養情報等はデータ管理化され、どの段階でもペーパーレスという方向性ですね。

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■ データの世紀 

 さて、今、#COMEMO  で #データの世紀 というタグをつけて、AIの発達やデータエコノミーに関する投稿をしませんかという企画があります。

 データの世紀という日経の連載がとても興味深かったので、この企画に参加している方の投稿も日々拝見しています。私はというと、どの問いに対しても・・迷いがあります。「こうなったらいいな~、あ、でもな~」自分にはまだ知識も頭脳も足りていないな、という実感です。

 例えば、データの利便性とセキュリティというテーマを考えた場合、中国の顔認証の報道を見れば「怖いな・・」と率直に思います。

スマートフォンによるキャッシュレス決済が進んだ中国で、今度はスマホも使わずに決済ができる「顔認証決済」が広がり始めた。・・・顔認証決済が生活に浸透すればするほど、中国政府は今後、犯罪者のほか一般人さえも、全土に張り巡らした約2億台の監視カメラと連動させ、人の動きや居場所、志向をより正確に把握し、監視することが可能になる。14億人の中国は「超監視社会」に近づく。(記事より引用)
今後、我々の生活の様々な場面に顔認証技術が広がるのは間違いない。利便性とプライバシー保護のバランスをどう取るか。中国では今、使い勝手が優先される。普及を急ぐ政府や企業を批判する声は少ない。(記事より引用)

 去年、年末調整関連でも、セキュリティー面の問題が起きました。(まだまだ過渡期で人力な部分も多いためかもしれませんが)

国税庁は、マイナンバーを含む個人情報を記載した源泉徴収票や支払調書などのデータ入力業務を委託していたシステムズ・デザインが無断で国内の他の事業者に入力業務を再委託していたと2018年12月14日に発表した。

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 ただ、一方で、世の中の仕組みが複雑化しています。支払方法も現金ではなく、多様な決済システムが普及しました。現金よりもメカニズムは当然複雑です。しかし、AIやクラウドシステム等データを活用すれば、今よりも利便性が向上し、結果、人間にとっては簡便化する。例えば、先に触れた年末調整のように制度が「データ化を既定路線のような動き」で複雑化していけば、どんどん利便性を優先せざるをえない状況とならないか。利便性を求める、求めないというレベルではもはや無く、気づけば我々の「常識」「当たり前」のこととしてAI化、データ化を受け入れる場面が増殖していく(というより、既にそうなっている)ように感じます。データの世紀で、よりよい選択をするのであれば、進むスピードが速いか遅いかの違いだけで、本企画で問われているテーマもみな、既に発想がある時点でもうすぐそこに「常識化」が待っているのかもしれません。

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■ おわりに

 年末調整事務をしながらも、利便性とプライバシー。目の前の書類を見て、「ああ~、利便性が上がってほしい!」という欲と、「・・まてよ?」その欲求の充足が繰り返されることで、情報による支配・監視という領域が迫っているかもしれない(もう踏み入れている?)という思い。

 情報ってどこまで守るべきなのか。私はそもそもnoteで自発的に実名、職業、家族構成、会社を記しています。ここらへんはホームページにも掲載しているのでオフィシャル情報だと思っていますが、どこまで情報発信するかという点も日々考えます。難しいですね。

 ひとまずは、日本経済新聞さんの「データの世紀」の続編を楽しみにしています。

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 ちなみに・・・

 データが導く「正解」を信じますか?という企画の問いには、なぜか以前読んだこの本のタイトルが浮かびました。

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データの世紀「まとめ読み」(オススメです)

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