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さち(幸)せ。

活字が苦手である。
正確には、本で読む活字が苦手。
WEB記事やブログなどはそれなりに読める。
読むスピードは遅い方だと思うが。

漫画本などももちろん苦手。
電子コミックは普通に読める不思議。

子供の時から読書は大の苦手で、できる限り避けてきていた。
読書感想文なども親に書いてもらっていた。(クズ)

そんな私だが高校生の時に歴史を好きになり、大学では文学部で西洋史学を専攻。
寝ても覚めても、課題のために学術書を読む日々。
ますます本を読むことが嫌いになった。

去年、珍しく「これは読みたい」と思える小説に出会い、購入。

福徳秀介
『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』
(Amazonはこちら)

ジャルジャル福徳の小説デビュー作品。

関西大学に通う主人公・小西を取り巻く人間関係、恋愛模様が描かれている。
昨日、やっとこさ読み終えたので簡単に感想を。


まず、とても読みやすい文体。
小説を読み切ることが滅多にない私でも、すらすら読むことができた。
成人向けの描写も特にないので、小学生くらいでも読めるのではないかなと。

内容は凄く良かった。
思わず口角が上がったり、自然と涙が溢れてしまったり。
乙一や篠田節子などのホラー小説が好みというのもあると思うが、小説で泣かされることはなかなかない。
おそらく10年ぶりくらいではないだろうか。

典型的な恋愛小説というよりは、マイナー寄り。
主人公は友達が少なく、いわゆる陰キャ。
大学生活を謳歌している周りの学生たちに、冷ややかな眼差しを向けながら、自身の異質性に誇りを持って生きている。
でも、心のどこかでは孤独と闘っている。

そんな性格の主人公が自分と重なって、凄く感情移入できた。
学生時代の自分とそっくりである。

私も大学では心を許せる友達ができず、いつも一人だった。
「一人は楽だ」と口では言いつつ、本当は寂しかった。
友達と放課後遊んだり、授業をサボったり、
卒業旅行に行ったりしたかった。

などと少し、いやかなり、ほろ苦い気持ちになったりもした。
同様に孤独な学生生活を送った・送っている方にはめちゃくちゃ刺さる一冊ではないかと思う。

グッとくる一節が盛り込まれているのも、本作の目玉。
タイトルの「さちせ」にまつわる話もその一つ。
作中で繰り返し出てくる、象徴的な言葉。
「幸せ」を「しあわせ」ではなく「さちせ」と読む。素敵な読み方だ。

ぜひ一度、お笑い芸人という枠を外して、
福徳秀介の作品を読んでみていただければ。


僅かながら読書熱に火がついたので、久々に地元の図書館へ行ってみた。

PSW関連。
4月の入学に向けて、助走つけていくぞーー。

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