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ドミニカ移住 #11:約束した「2度目のMLBアカデミー」



 5月中、ドミニカに来て初めて行ったMLBアカデミー。調査地でたまたま知り合ったモデストは、その翌日に私をMLBのアカデミーに連れて行ってくれた。

その後も、イポドロモで何度か彼を見かけたが、そのたびにドミニカの野球や日々の生活についての話をしてもらった。そして、6月15日に彼の選手デロミオがサマー・リーグで登板することが決まると、前回の約束通り再び私をアカデミーへと誘ってくれた


待ち合せ

___________2020.6.15(金)
 15日、待ち合わせ場所のイポドロモに早く着きすぎてしまった私は、近くで練習していた少年(8歳~13歳)たちの練習の様子を見ながらモデストを待った。約1時間半後の10時ちょうどごろ、モデストが1人の少年を車に乗せてイポドロモに現れた。少年の名前はカルロス。スラっと背が高いカルロスだが、モデストによれば若干の16歳だという。普段からモデストの自宅に住み込み練習へ通う彼も、7月からボストン・レッドソックスのアカデミーと契約することが決まっているらしい。私は「デロミオにカルロス…、次々とアカデミーとの契約選手を輩出するモデストは何者なんだろう」そう思いながら、彼の車に乗り込んだ。

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アカデミー到着

 車を走らせ、約半月前にも一度来たワシントン・ナショナルズのアカデミーに到着した。この日は、コロラド・ロッキーズとの試合が行われる予定で、観客席には試合を観戦するのか、欧米人らしき団体が腰を下ろしている。


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モデスト、カルロスと三人でブルペンの方へ向かうと、身体の大きな選手が笑顔で(でも落ち着いた様子で)こちらへ歩み寄ってきた。彼が、今日登板するデロミオだ。デロミオはモデスト、そしてカルロスと順に挨拶を交わしたあと、隣にいた私にも優しく挨拶をしてくれた。

しばらくの間、三人はとても穏やかな表情で言葉を交わす。近況を報告しあっているのだろうか、それともカルロスの契約が決まった話でもして喜んでいるのだろうか。デロミオもこのアカデミーに入る前までは、ブスコンであるモデストの自宅で暮らしながら練習に励んでいた。試合が始まりデロミオがマウンドへ上がると、カルロスはスマホをもってネット前まで行き、投球中の様子を動画に収めていた。

デロミオとカルロスは、長い間共同生活を送っていた間柄だ。彼らの会話内容を明確には理解できないにせよ、その場の雰囲気から、デロミオとカルロスは兄弟のような関係性なのかもしれないと思った。



アカデミーでの昼食

 試合終了後、デロミオの関係者ということで私たちもチームの食堂で昼食をとらせてもらえることになった。食事はブュッフェ形式で、空の器をもって並ぶとシェフや食事係のような女性たちがサラダやお米、お肉などの食事を次々によそってくれる。食堂内にいる選手たちを見渡すと、みんなとてもガタイがよく、イポドロモの選手やカルロスのように細い選手はほとんど見当たらない。毎日好きなだけ栄養たっぷりの食事を食べられるアカデミーのこの環境が、高い潜在能力を備えた選手たちの体を成長させていくのだろう。

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カルロス(16)とデロミオ(17)に挟まれるブスコン


 このあとも、モデストとはイポドロモで顔を合わせるたびに彼の選手のことなどたくさん話をした。ある日何気なく話しかけて知り合ったモデストが、彼の職場やMLBアカデミーに連れて行ってくれたこと、そしてその日交わした「俺の選手が投げるときにもう一度来よう」という約束を果たしてくれたこと、そのすべてが私にとってはまるで夢のような体験だった。









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