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ドミニカ移住 #13 : 念願のバニでMLBトライアウトに遭遇

バニに行く理由

___________2018.6.13
 6月13日、ついにバニへ行く日がやってきた。バニとは首都のサント・ドミンゴから60キロ以上離れた田舎町で、ペンションに住む野球少年デイビッドの地元でもある。さらになんといっても、私にドミニカへ来るチャンスをくれたKさんの学生時代の調査地でもあり、当時から一緒に暮らしていたという一家が暮らしている。日本でKさんの文献を読んでいたときから、ドミニカに着いたら必ず一度は行ってみたいと思っていた場所だ。ドミニカに着いてから半月以上が経ち、グアグアやオンサにも多少乗り慣れてきたこの頃、そんなバニへ探索に行くことにした。


 バニへ行く前日、デイビッドにそのことを伝えると、どこか驚きと嬉しさが混じったような表情を浮かべ、「それは本当か!?なんで?いつから行くんだ!?」と質問攻めにあった。自分の大好きな地元に人が来るのが嬉しかったのかもしれない。いつもはおちゃらけ者で私のことをよくからかってくるデイビッドだが、バニへの行き方を尋ねるとホワイトボードを使いながらどの行先のグアグアに乗ればいいのか、降りる停留所はどこかなど、とても丁寧に教えてくれた。

バニへの行き方を書いてくれる

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初の長距離グアグアに乗車

 翌朝、8:30にペンションを出て停留所でオンサを待つ。たまたま停留所に居合わせたおじさんと雑談をしながら、来ないオンサをひたすら待ち続けた。9:20ごろ、やっと来た目的のオンサに乗ってバニ行のグアグアがでる広場まで向かう。この日のオンサは超満員で、車内は身動きが取れないほどだった。あまりの混雑に、目的の停留所についても乗降口まで向かうことができず降りそびれそうになっていると周りの乗客たちがそれに気づいてくれたのか「アグアンタ!(運転手、もう少し待ってあげて!)」と次々に声を上げてくれた。その声のおかげで運転手も私の存在に気づき、「コッレ!コッレ!(ほら早く、急げ急げ!)」とみんなに声をかけられながらなんとか無事、降車することができた。

 バニ行のグアグアに乗るため、徒歩で乗り場を探す。いつも道路わきで捕まえるオンサやグアグアとは違って始発場所から乗ることになるため、出発まではまだ少し時間がある。すっかり遠足気分の私は、そばにある露店で水とお菓子を買って出発時刻を待つグアグアに乗り込んだ。「Express」と書かれた車体の通り、車内は通常のグアグアよりも清潔感がありクーラーもよく効いている。運転席の頭上には「Wi-Fi」の文字とパスワードが書かれた紙が貼られていた。現地で携帯電話を購入したもののWi-Fiなしではインターネットに接続できない生活を送っていたため、車内に無料Wi-Fiがあることはとても有難かった。

 10:00ごろ出発したグアグアは海沿いの道を走り抜け、田舎道に入る。田舎道に入ってからのアクセル全開と言わんばかりの猛スピードには恐怖すら感じる。人口10万人あたりの交通事故死者数が実質世界1位 *というのもうなずける…。そんな状態で合計1時間半ほど走り続け、11:30ごろ目的地のバニに到着した(乗車賃150ペソ)。

2010年 世界保健機関(WHO)調べ。第1位はニウエだが、人口1000人ほどの国であるため、人口10000人を超える国の中ではドミニカが1位である。


バニの野球場をめぐり。トライアウトに遭遇。


 とりあえず終点でグアグアを降りるが、特に行く当てもないのでMaps.meのアプリで周辺の状況を確認してみる。すると、どうやら少し歩いたところに野球場があるらしいので、とりあえずそこを目指してとぼとぼと歩いてみる。平日の昼間とはいえ人気はあまりなく、野球場に着いてもちょうど練習が終わって少年たちがばらばらと帰宅していくところだった。

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あたりを見回すと、近くにもうひとつ野球ができるような大きめの広場があることに気づいたため、グラウンドの中をみようとスタンドに入ってみる。すると、15歳は超えていると思われる選手たちが練習をしているようだ。私はとりあえず、広場全体が見える場所に腰を下ろした。スタンドには10歳前後とみられる小さな野球少年たちや中年男性が何やら会話をしながらグラウンドにいる選手たちの様子を見ている。

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 状況を探るため、2人組の中年男性に話しかけて状況を聞いてみると、今まさにボストン・レッドソックスとジャイアンツのスカウトによるトライアウトが始まるところなのだという。グラウンドではラフな格好をした男性数人が選手たちを集合させ、点呼をしているようだ。


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 たまたま見つけた田舎町の野球場で、MLB球団のスカウトによる合同トライアウトが行われているというこの巡り会わせに、私はとても感動した。そして同時に、いとも簡単にこんな場面に出くわすことができるという、アメリカMLBと深く結びついたこの国の野球システムを目の当たりにしたような気がした。











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