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【七十二候】「東風凍を解く」【第一候】

「七十二候」(しちじゅうにこう)で生きてみる


ブログのテーマを横展開で広げてみている最中です。


「国語」を大きな柱にしておりますが、

「文学」や「詩歌」でいつも大事にされてきたのは、

日本の豊かな自然と季節の変化が織りなす情景ですね。


「暦」という視点に立てば、

それが主に「農事」や「伝統行事」と結びつき、

あるいは「旬」や「お祭り」といった生活にも密着して、

「国語」の様々な表現にも辿り着きやすくなるはず。


そう思い、これもシリーズ化してお届けする算段です!^ ^

「立春」から始まる日本の季節


「立春大吉」ということで、前回のブログではお伝えしました。

「立春」に始まり、

「春分」「夏至」「秋分」「冬至」という「二至二分」を過ぎて、

「大寒」(だいかん)にて終わるのは「二十四節気」ということでした。


「四季折々」と言われる中にも細かく分ければ、

「二十四」「節」(ふし)となる「気」の移り変わりがあるというお話。


そのそれぞれを更に三つに分ければ、

「七十二候」(しちじゅうにこう)の出来上がり!というわけですね。


ちなみに「立春」にちなんだ和歌を『古今和歌集』より採録しますと、

春たちける日よめる            紀貫之
袖ひちてむすびし水のこほれるを 春たつけふの風やとくらん

『古今和歌集』「巻第一 春歌上」2番

「春立つけふ(今日)」とはまさに「立春」のこと。


「袖が濡れるという状態で、手に掬った水が凍ったのを、

立春の今日の風が溶かしているだろうか、多分そうしているだろう」


選者である紀貫之(きのつらゆき)春の訪れを風で感じた様子でしょうか。


「東風凍を解く」(とうふうこおりをとく)


で、「立春」のうちの「初候」に当たるのがこの言葉。

「東風」「こち」とも読み、「春風」の意味として知られていますね。

中国から渡ってきた暦であることの名残りとして、

「春は東を司る」ということから来ているそうです。


東風吹くや耳現はるゝうなゐ髪 杉田久女

東風吹かば匂いおこせよ梅の花主なしとて春な忘れそ 菅原道真


といった句や歌も思い併されますね。


「春一番」の由来は壱岐島にあり!


厳しい冬が過ぎようとして、

暖かい春の陽気を心待ちにしてしまう頃ではありますが、

「春一番」といえば、

立春を過ぎて最初に吹く南寄りの強い風のことです。


「春一番」に関しては、

2022年11月に訪れた壱岐島にて、

偶然訪れた場所でその由来を知ることになりました。


今では気象用語として知られていますが、

元々は水難事故に遭われた時の強風のことで、

海の安全を忘れないための「春一番の塔」が沿岸に立っていました。


言葉の由来は様々で、日本全国に謂われがあるのだともみえてきます。


季節ごとの和歌や俳句や詩についても、

今後は順次紹介して参ります!m(_ _)m

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