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メモ:「帰って来た橋本治」展と『子守唄はなぜ哀しいか』
神奈川近代文学館で今週末まで開催している「帰って来た橋本治」展に行ってきた。橋本は『花咲く乙女たちのキンピラゴボウ』などの著作でマンガ批評・研究においても大きな足跡を残しているが、それは彼の呆れるほどに多岐にわたる仕事のうちのごく一部に過ぎない。
マンガ関係の文章こそ読んでいるものの、およそ良い読者とは言えない私にとって、豊富な資料をもとにその仕事の全体を紹介するこの企画展はとても勉強になった
マンガの中の少女マンガ/家:松田奈緒子『少女漫画』
『ベルサイユのばら』『ガラスの仮面』『パタリロ!』『あさきゆめみし』『おしゃべり階段』など、作中に登場する少女マンガの名作をタイトルに冠した短編が集められたオムニバスだ。集英社の女性向けマンガ誌『コーラス』に2006年の後半に連載された。なお、同誌は現在も発行中の『Cocohana』の前身である。
作者の松田奈緒子は編集者を主人公に据えてマンガ業界を描く『重版出来!』(2012-2023)でも
【お仕事告知】共同通信配信ブックマイスター:増村十七『花四段といっしょ』、福本伸行『二階堂地獄ゴルフ』
共同通信でやっている書評の最新回では以下の二作を紹介しています。
『花四段といっしょ』は以前から紹介したかったのですが、なかなかタイミングが合わずにいた作品。
今回は『二階堂地獄ゴルフ』といっしょに「厳しい勝負の世界を一風変わったアプローチで描くマンガ」として取り上げています。
毎回なんらかのテーマを設定して書くことになっていて、時には無理くりな場合もあるのですが、今回はこの組み合わせしかない
マンガの中の少女マンガ/家:木内千鶴子「どこかで春が…」1969年
木内千鶴子は1957年にデビューし、以降は若木書房などで少女向けの貸本マンガで活躍する。その後、1960年代中頃(昭和40年代)からは集英社の専属として同社の雑誌のために作品を多く執筆している。
『週刊マーガレット』1969年16号に掲載された「どこかで春が…」は作者お得意の友情ものだ。そして、扉の煽り文句に「まんが家志願の少女とおかあさんとの、深い愛情と、苦しいかっとうとを、あざやかにえがき
マンガの中の少女マンガ/家: 柚木こむぎ「ココロの描き方」『マーガレット』2024年6号
メモ的に。
『マーガレット』2024年6号に読切として掲載された柚木こむぎ「ココロの描き方」。
主人公は高校生の現役マンガ家。両親を失った過去のトラウマを昇華する形でホラーマンガを描いていた主人公が連載を完結させ、次回作として少女マンガの執筆を編集者にすすめられる。しかし、これまではホラーマンガを描いてきた主人公は恋愛経験もなく「恋もしたことないし/キラキラした明るい話なんて描けるわけない」と
【お仕事告知】共同通信ブックマイスター(マンガ時評):「僕が死ぬだけの百物語」「仙人の桃」「コワい話は≠くだけで。」
共同通信のマンガ時評。もう配信が始まっている最新のものでは、メインで的野アンジ『僕が死ぬだけの百物語』(小学館)、サブで南伸坊『仙人の桃』(中央公論社)を取り上げています。前者を紹介する中で景山五月・梨『コワい話は≠くだけで。』(KADOKAWA)にも触れています。
怪談もの、ホラーものが好きな人は多いと思うけど、そういう人の視界に『仙人の桃』も入ってくれるといいよな…と思ってチョイスしたので
【お仕事告知】共同通信ブックマイスター(マンガ時評):「Gペンマジック のぞみとかなえ」「環と周」
もう配信がはじまっているので、ぼちぼち各紙に掲載されているのではないかと思いますが、共同通信のマンガ時評では崇山祟『Gペンマジック おぞみとかなえ』、よしながふみ『環と周』を紹介しています。ふたりの名前タイトルつながり、ということなのか?
「のぞみとかなえ」についてはnoteでも書いています。
マンガの中の少女マンガ/家(18):祟山崇『Gペンマジックのぞみとかなえ』(秋田書店、2023)
『Gペンマジック のぞみとかなえ』は、今年、2023年5月に急逝した祟山崇が秋田書店の『ミステリーボニータ』で2020年から2022年にかけて連載していた作品である。主人公の明日奈かなえは文芸部に所属する中学2年生、そんな彼女はもう一人の主人公であるとにかくマンガに夢中なマイペース同級生・高井のぞみの影響、そして新任教師の五十嵐ふぶきとの出会いをきっかけに漫画研究部に移籍、漫画家を目指すことにな
もっとみる【お仕事告知・メディア出演】小峠英二のなんて美だ!(11/14,21)
本日(11月14日)の24時より放送の東京MX『小峠英二のなんて美だ!』の少女漫画特集回に出演いたします。
本日が前編、次週が後編です。
よくチェックしてくれよな。
https://nantebi-da.jp/
【お仕事告知】共同通信ブックマイスター(マンガ時評):「龍子RYUKO」「天国 ゴトウユキコ短編集」
まあまあ長いこと新刊時評を共同通信でやっているんだけど、まともに告知したことがなかったのでした。備忘録もかねて、紹介したマンガを挙げておきます。
10月20日配信開始で、おいおい各紙に掲載されると思うのですが今回は
・エルド吉水『龍子 RYUKO』
・ゴトウユキコ『天国 ゴトウユキコ短編集』
の二作を紹介しています。
マンガの中の少女マンガ/家(17):近作の読み切り少女マンガ家ものメモ
本格的に書こうとするとなかなか更新できないのでクリップする感覚で最近見かけた「少女マンガ家」キャラが出てきた読み切りをあげておく。
*森本くるり「めざせ!まんが家わんたろちゃん」(『りぼん』2023年8月号)
主人公わんたろはマンガ家志望の…犬!!という8ページのショートギャグ。
わんたろの投稿先は『りぼん』、そしてその憧れのマンガ家・胡桃坂(その正体はわんたろの飼い主の通う学校のパッと見
マンガの中の少女マンガ/家(16):篠原健太『SKET DANCE』の早乙女浪漫登場回まとめ
きちんと書こうと溜めていてもいつまで経っても更新できないので、今後のためのメモ的に。
近年の「マンガの中の少女マンガ家」キャラとして忘れてはならないのが、篠原健太『SKET DANCE』の早乙女浪漫だろう。
マンガ表現のお約束をネタにするメタなギャグを物語に持ち込む掟破りなキャラクターとして活躍する浪漫だが、「少女マンガ家」表象として見た場合、実に少年マンガらしいといえばそうなのだが、その
【お仕事告知】"『少女マンガはどこからきたの? 「少女マンガを語る会」全記録』刊行記念 米沢嘉博記念図書館・ヤマダトモコ氏インタビュー"公開
日本マンガ学会大会@相模女子大学、おつかれさまでした〜〜!!!
いやー実り多いものになったのではないでしょうか。
と、裏方&シンポ司会として自画自賛しておきます。
さて、今回のシンポジウム「再検討・少女マンガ」史」は、ついこの間リリースされた『少女マンガはどこからきたの?:「少女マンガを語る会」全記録』(青土社)の刊行記念というか、1950-60年代の少女マンガをめぐる当事者の語りをまと