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高齢者の経皮的ドレナージ 2
高齢者の経皮的ドレナージにおける注意点二つ目。
一つ目はこちら
高齢者は皮膚のたるみ、皮下組織の弾力性が乏しい。
仰臥位以外の体位でドレナージカテーテルを挿入すると、仰臥位に復した場合に、予想外に皮膚がたるみ、下垂してしまうことがある。
この場合、皮膚の下垂とともに、挿入したカテーテルが抜けてくる。皮下を走行する距離が長くなり、留置腔内の実効カテーテル長が短くなるのである。
典型的には、
著明に屈曲蛇行したシャント血管
シャントPTAの際、動静脈吻合部やシャント静脈が著明に屈曲蛇行しており、狭窄・閉塞部のガイドワイヤーの通過を含め、ガイドワイヤー操作が極めて困難な場合がある。
マイクロカテーテルを併用することで、通常は、ガイドワイヤー通過はかなり容易となる。
また、静脈側からのアプローチでガイドワイヤー通過が困難な場合、動脈側からのアプローチで上手くゆくことがある(その逆も然り)。しかし、穿刺が2か所となって
やる前に9割は終わっている。
IVR施行中には、種々の不都合・トラブルがつきものである。
ただし、経験症例が厖大になってくると、想定外のことはまず起こらない。実施の現場で何か起こったとしても、それはほとんどの場合は想定範囲内である。
経験症例が厖大になってくると、頻度が低い不都合・トラブルであってもほとんどが実際に経験されるからである。また、自らは未経験でも、文献や学会発表で知識を得ている場合もある。
そして、トラブルシ
久しぶりのシャントPTA
前回のシャントPTAから約3年ぶりに、シャント不全が再発した症例。この間、同一のシャントを継続使用している。
もともと、橈骨動脈と静脈を吻合していたのだが、橈骨動脈は起始部から閉塞していた。(前回シャント不全時は開存していた)
代償性に、尺骨動脈との吻合が発達し、シャント供血路となっていた。
尺骨動脈とシャント静脈は屈曲がほとんどなく交通しており、動静脈接合部の位置が分からない状態であった。
拍動が良く触れるのに、穿刺に失敗する理由
動脈穿刺の際、拍動が良く触れるのに、穿刺に失敗することがある。
拍動から想定される動脈走行軸に沿って穿刺針を刺入しているのに、動脈にヒットしない場合である。
その理由の一つとして、穿刺による圧で動脈位置が偏位することが挙げられる。特に高齢者の場合、皮下組織の弾性が低下し、軽度の圧迫にて動脈が逃げやすくなる。
対策としては、穿刺を素早く行うと良い。穿刺針の速度が遅いほど、動脈が逃げやすくなるか
シャント静脈慢性閉塞を開通させる試み
シャント不全に対してPTAを施行する際、現在のシャント不全の原因ではないが、当初は主たるシャント静脈路であったと思われる静脈の閉塞が見つかることがよくある。典型的には、いわゆる正中肘静脈や橈側皮静脈の閉塞が多い。
側副路が発達しているため、前腕近位部から中枢側(中心静脈側)へのシャント血還流は制限されておらず、静脈閉塞による弊害が顕在化していないのである。
しかし、側副路は屈曲・蛇行し、不自然
シャントPTAの際のマイクロガイドワイヤー
シャントPTAの際、ファーストチョイスとしては長らく0.016インチダブルアングルのGTワイヤーを使用していた。このガイドワイヤーは、腹部の血管系IVRでの鉄板ファーストチョイスであるため、その流れでシャントPTAでも漫然とファーストチョイスとして使用してきたものである。
しかし、最近多用するようになった細径プロフィールのバルーンカテーテル(モノレールタイプ)は、0.014インチガイドワイヤー
側孔開けたカテーテルはキンクし易い
ドレナージカテーテルを留置する際、ドレナージ効果を高めるためや、内外瘻カテーテルとするために カテーテルに側孔を開けることが非常に多い。
側孔位置、側孔個数や側孔サイズは、症例によっていろいろである。
側孔を開けた部位では、カテーテルのコシが弱くなるため、屈曲部や蛇行部でキンクし易いので注意が必要である。
キンクすると、その部位でカテーテル内腔が狭小化するため、ドレナージ効果が低下する。
インデフレーターなしでも
PTAを施行する場合、nominal圧よりかなり低い圧でも、バルーンが良好に拡張することがあるが、このことは非常にしばしば経験する。
とすれば、インデフレーターなしでも、手技を完遂できる場合が相当数存在することになる。用手法によるバルーン加圧でnominal圧に達することはまずないとされているので、過剰加圧の危険もない。
ただし、病変形態や狭窄度から、低圧で拡張可能か否かを判定することはでき