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シャント静脈慢性閉塞を開通させる試み

シャント不全に対してPTAを施行する際、現在のシャント不全の原因ではないが、当初は主たるシャント静脈路であったと思われる静脈の閉塞が見つかることがよくある。典型的には、いわゆる正中肘静脈や橈側皮静脈の閉塞が多い。

側副路が発達しているため、前腕近位部から中枢側(中心静脈側)へのシャント血還流は制限されておらず、静脈閉塞による弊害が顕在化していないのである。

しかし、側副路は屈曲・蛇行し、不自然な走行を呈することも多い。素直な走行の静脈と比較して、この側副路も将来的に閉塞する可能性がある。側副路を透析時に穿刺している場合はなおさらである。

そこで、シャント不全の原因部位の治療が終われば、上述のようなシャント静脈閉塞の開通を試みる価値がある。

閉塞は慢性閉塞の場合が多く、一般には開通させることは容易ではないが、新たなガイドワイヤーやカテーテルを使わなくても、意外に容易に開通に成功することがある。

このような幸運があるので、一度はチャレンジしても良いと思われる。

ただし、新たな材料を使用しないと手技が進まない場合は別である。現時点で治療の必要性がない病変に対して、医療資源を浪費する可能性があるからである。

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