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#ネット銀行員

はじめに

ネット銀行に5年ほど勤めました。派遣社員で働き始めて、1カ月後には契約社員のお話をいただきました。通信業界で一般事務を経験したくらいの知識とスキルが上手く嵌り、早々に評価されたのだと思います。コールセンターの経験もしましたが、店舗受付が無いため、いわゆる窓口業務の経験はありません。ネット銀行員は銀行員では無いとでも言われそうですが、知見について記事にできればと思います。(まあ実際資格不要なので銀行員では無いようなものです。)

人材不足

業界に限らずついて回る問題です。条件を含めても就職のハードルに変化が無いように思いますが、年々入ってくる新卒は減少傾向です。正社員は1年~2年以内で社内で部署異動させ、社内のサービス理解を促す方針を取ることが多いです。企業としては正しいですが、せっかく育てた人材を取られた先輩社員の悲痛な叫びが聞こえてきます。裏を返せば常に同じだけの人材および仕事に向かう戦力が持続しないため、仕事によっては属人的な運用を続けるしかない状況が強くあり、根本的な仕事の建付けの見直しに着手できないまま、最悪の場合に属人的な運用の中心人物(専任担当者とでも言いましょうか。)が辞めてしまったりします。そんな悪循環を何度も見てきました。

電子化が進みづらい

通信業界や広告業界ほど電子化が進んでいない印象です。口座開設時に必要な重要書類は郵送受付が多く、また銀行の特性上、社外の公共機関とのやり取りも同様であり、多数の仕事分を含めてとんでもない量の書類が累積されているものと思います。余談ですが、公共機関の申込書や開示データなどのフォーマットって、使う側への気遣いが皆無ですよね。(市区町村のホームページのマイナポイントに関する情報とか、公共機関の経済制裁対象に関する開示データとか、民間企業であれば培われるはずのスキルや気遣いや合理性を感じない建て付けばかりで)国民のライフラインですから、数多く発生する業務に終われ、電子化の業務改善が後回しになってしまうのだろうと思います。結果的に、それを電子化したり、引き継いだり主導すべき正社員も1年~2年以内で異動してしまうため、派遣社員と契約社員でがむしゃらに頑張るしかないというような悪循環を感じます。

どんな部署にも「負の遺産」が存在する

前述「電子化が進みづらい」ままにしたがために「誰も精査していない書類」が存在したり、前述「人材不足」における「専任担当者」が「業務引継ぎを完了させず辞めてしまった」ことで、誰も内容が分からない業務があったりして、残存するマニュアルの通りやっているものの、最悪の場合、表面上は仕事が回っていても、本質的にやらなければならないことを網羅できず、そのことに誰も気づいていない。私の部署には「マニュアル通りやっているが、その中身を完全に理解している者はおらず、もし、運用しているツールが壊れてしまったら誰も直せない」という悍ましい事実があったりしました日常的に「社内異動がある」「ゆくゆくはリモートワークを導入する」こと等が前提にあるように業務改善を検討する必要があります。

上手く回っている部署に仕事が集中する

「バリバリ件数を熟したり業務改善を行ったりして目に見える結果が出ている部署」を転じて「時間や社員に余裕がある」と考えてしまう感覚が浸透しています。また、「みんなの仕事はみんなで終わろう」という感覚もあり、ごもっともなのですが、他の部署の仕事まで行うのは非常識です。自分たちが楽になるために頑張ったのに、仕事が回っていない部署の仕事を手伝う羽目になったり、当初は手伝う程度だったものが、移管するような話になってしまったりしたとき、私の部署は激怒しました。

評価の限界に突き当たる

前述までの頑張りによって私個人の評価は鰻登りで、賞与の金額にもそれは表れました。ただ、一定評価をいただいたあとはそれ以上がありません。私の部署にはそういった契約社員がたくさん居たものの、条件の悪さや、正社員になったところで待遇の変化がないことを理由に正社員になる意欲はない方が殆どでした。そうなれば働く意欲を失わせた仕事は純粋に仕事でしかありません。

正社員よりも契約社員が仕事を回しているのに

前述までの通り、契約社員中心に部署の仕事は回っていきました。派遣社員期間中にヘッドハンティングされる方も居ますが、それを受けるかどうかは当人次第です。業界に限らず、「正社員に拘って働く必要性はない」ことと、「新入社員が入ってこない」ことは別問題ですが、「仕事を回すための部署の意思決定を結果的に契約社員がするよりない」ような状況はあまり企業のあるべき姿ではありません。それらが積もり積もり、ある仕事のミスの責任が部長職でなく契約社員ひとりのものになったとき、私の部署は崩壊の一途を辿りました。

リモートワーク不可

特に個人情報を取り扱ったり、管理するためのサーバーやネットワークを社外で共有することが難しいことを理由に、リモートワークが進んでいない印象です。他の企業が扱う機密情報以上に個人情報の管理方法は、公共機関や社外や顧客が納得し開示される必要がありますため、当然の事柄ではあります。とは言え、社内のジョブローテーションを促進して属人的な業務を減らすとか、個人情報を扱わない業務に限定してリモートワークに切り替えるとか、そもそも業務委託するであるとか、扱うこと以前の事柄に目を向けて検討すれば良いような気もします。

使うシステムが多すぎる

多くの仕事がひとつ、もしくは数個のシステムを使用するだけに留まりません。コールセンターを例に取れば、「個人情報」「必要な情報元(ホームページ等)」「必要な情報元(社内サーバー)」「質疑応答の例文」「チャット」「電話」顧客対応を行う担当者は、電話一本と顧客ファイルがあれば対応できる訳でもなく、これらすべてのシステムアカウントを作成し、システムを活用する必要があります。強固なセキュリティを担保しつつ、これらを一本化、もしくはできるだけ少なくするための検討が行われていますが、なかなか難しいです。

公共機関からの監査

当然に行われます。一般企業よりもその頻度や水準は高いものを求められ、その内容如何で業務停止命令を受ける可能性があります。過去の金融機関のインシデントの記事を読んだりすると、とんでもないことが行われていることが発覚していたりして、その企業のみで完結することではなく、そういったインシデントを以てあなたの企業はどう受け止めたのかと、どう取り組んでいるのかと、業界として求められているものが高いことを実感するはずです。

クレーム対応

銀行員である人間の半分以上はコールセンター業務を熟し、そのまた半分はクレームを受けることになります。殆どの顧客は銀行が発行した約款や利用規定など見ません。基本的には銀行側も顧客の反感を受けそうなことはそっと利用規定に忍ばせておいて、悲しいかなそういった部分が不利に働いてしまった顧客は熱を上げて聞いてない、知らなかったなどと言うのでクレームに発展するわけですね。基本的には他の顧客であれば数分で終わる会話も、1時間、2時間、人によっては何日もかける場合があるでしょう。色んな参考書が出ているでしょうが、私から言えることは、「論理的で現実的な説明」「平謝り」「受話音量を小さくする」ことのみです。

さいごに

業界に限らない事柄が多くなってしまったかもしれません。文字に起こすと意外と書けない、また書きづらいようなことがあると実感したものの、書き過ぎたでしょうか。足りないでしょうか。この記事は今後も更新するか、リライトするべきか検討したいと思います。

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