コメンテーター津良野房美#38
ポンタは夕食に房美と百合絵を丸亀の骨付鳥の店に連れて行った。
創業六十年の名店だ。
骨付鳥は鳥のもも肉丸ごと一本を特注の高温窯で短時間で焼き上げる。
「コレはもちろんビールでしょ!」
三人の意見は一致した。
「ポンタさんとの再会にカンパーイ!」
百合絵の音頭で三人は乾杯した。
骨付鳥は独自のスパイスがとても香り高い。皮はパリッと香ばしく、中は肉汁したたりふっくらとジューシーだ。
房美と百合絵は美味しいものを食べる時のいつものパターン、無言でペロリだ。
骨付鳥を軽く一本平らげた。
「よーし!もう一本いってみよー!」
ポンタ得意のドリフネタも飛び出す。
「ビールもね!」
房美と百合絵がシンクロして言う。
お酒も入り、久しぶりにポンタに会えた房美と百合絵は溜まりに溜まっていた四方山話を競うようにポンタに話した。
ポンタはニコニコしながら二人の弾丸トークを聞いている。
酒が進むと声も次第に大きくなる。
特徴的なおでこのポンタと、劇的に美しい美女二人はタダでさえ目立つ。
「あの綺麗な人知ってる」
「あの人アナウンサーだよね」
「おでこの人、見た事あるよ」
店内に居た客や店員がざわつき始めた。
三人はそんなのお構い無しにしこたま飲んで思う存分食べた。
店を出ると日はとっくに暮れていた。
すると、百合絵が突然言い出した。
「すみません!私最終便で東京に帰らなくちゃいけないんです!」
つづく
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