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実需だと思うんだなぁ、やっぱり

先日(20日)の日銀金融政策決定会合で、政策金利を現状維持の0.25%に据え置くことが決まった。

そりゃ、そうなるよね。というのは、大方の予想通りだったと思う。

植田総裁の就任以来、恒例となっていた ”午前2時の日経新聞リーク記事” も今回はなかったし、何よりも前回たった0.25%の利上げで株価が暴落してしまったのだから、日銀としては否が応でも慎重にならざるを得ない。また、デフレに戻してはならないといった使命感もあったと思う。

そしてこれまで述べてきたように、中央銀行にとっては禁じ手である長期金利を無理やり押さえ込むという政策を長年施してきた副作用、ツケがかなり大きいにも違いない。金利が上昇すると国債価格は下落する。そうなると日銀はもちろん、債権を大量に保有する金融機関(民間銀行や生保)の含み損もかなりの額になる。

植田総裁は、金融市場が「引き続き不安定な状況にある」とし、今後の追加利上げについても「時間的な余裕はある」「見通しの確度が高まったからすぐ利上げとはならない」と、前回とはかなり印象の変わった言葉を述べられた。
けれど、どうなんだろう。日銀的には利上げに前のめりという印象をぼくは持っているんだけれど。
結局、今のところは米国経済の行方次第、国内の物価情勢や賃上げ次第といったところだった。

今日現在(25日)、長期金利が0.795%まで低下している。
これは、18日のFOMCで米FRBが通常0.25%で刻む金利変更を2倍の0.5%という大幅利下げに決めたことや、日銀が追加利上げを急がないとの見方によるものなんだろう。

7月まではゴミのように売られ続けてきた日本円が金利差縮小の観測によって転換し、今度はヘッジファンドなど投機筋による円買いが急拡大した。その買い越し額は1ヶ月前の2.5倍にも上り、この投機的な円買いは今も続いている。
にもかかわらず、日銀が追加利上げをしなかったとはいえ、いわゆる日米金利差は縮まったはずなのに思いのほか円高が進行していない。
140円ほどまで進んでも、そこで戻して揉み合いが続いている(現在143円台)。

これは、なぜか。

一つには日米金利差が縮小したとはいえ、まだ日本の金利より米ドル金利の方がかなり高いのだから、ドルを保有しておいた方がいいと考える人が多いのだと思う。

もう一つ。こちらが大きな問題だと思うけれど、経常収支、中でも貿易収支の赤字が大きい。直近で発表された貿易統計によると、8月分が6000億円を超す赤字。
これで2ヶ月連続の6000億円超の赤字で、今年に入ってからの累計だと4兆5000億円規模にも上る。

これは、”貿易赤字=企業による円売り” ということでもある。

出典:令和6年8月分貿易統計(速報)の概要(財務省)

米国市場では11月のFOMCで、また0.5%の利下げをする確率が上昇している。
こういった利下げ期待や中国の追加金融緩和というニュースもあって、米株式市場ではダウ平均株価が4営業日連続で最高値更新となった。
こうなると新NISA民である個人投資(外貨投資)もおそらく増えることになる。

投機筋の円買いによって以前ほどの歴史的な円安は抑えられているけれど、個人投資と企業の貿易赤字が円高へのブレーキになっているのだと思う。

日米の政策金利などによって短中期的には投機的に為替が乱高下するけれど、行き着くところは結局、実需の問題な気がする。つまり貿易収支(赤字)が解消され安定しない限り、円高進行は限定的であり長期的にはやはり円安に向かうとぼくは思っている。

とはいえ、今後の日米の政策金利、総裁選、解散総選挙、そして米国大統領選挙次第で株式市場、為替市場ともかなり乱高下すると思うので、投資をされている方はくれぐれもご注意を。

つづく



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