来たるべき旅立ちを前に
転勤が決まった、と友人から聞かされた時、僕は「今度は俺が置いて行かれる番が来たのだな」と感じた。
彼とは小学五年生の頃からの付き合いだ。僕が道外の大学へ進学したことを機に一旦は距離が離れたが、就職でまた北海道に戻って来たことで交流が再開した。若い頃は「社会人になれば立派な大人だ」と思いがちだが――これが間違った認識であることは、夕方のニュースを見れば立ち所にわかる――僕らもやることと言えば、いまだにお菓子をつまみながらゲームにカラオケと、昔思い描いていた大人とは程遠い遊びを