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労働生産性向上のための取組

企業の競争力を維持・向上させるためには、労働生産性の向上が不可欠です。特に昨今の多様な働き方の広がりやデジタル化の進展により、労働生産性向上のための取り組みが注目されています。

労働生産性向上のための取り組み事例として、以下のものを取り上げてみます。


取り組み事例

1.トヨタ自動車:トヨタ生産方式(TPS)

概要:トヨタ自動車は、生産性向上のために「トヨタ生産方式(TPS)」を採用しており、これにより大幅な効率化と品質向上を実現しています。TPSはジャストインタイム(JIT)と自働化(ジドウカ)を柱としています。
取り組み内容:
ジャストインタイム:必要なものを必要な時に必要な量だけ生産することで、在庫を最小限に抑え、生産効率を向上させています。
自働化:機械の故障や不良品の発生時に自動的に生産を停止し、問題を迅速に解決する仕組みを導入しています。

出典トヨタ自動車の公式サイト

2.Amazon:倉庫の自動化

概要:Amazonは、倉庫業務の効率化を目指し、ロボティクスやAI技術を導入しています。これにより、注文処理時間の短縮と労働生産性の向上を図っています。
取り組み内容:
Kivaロボット:倉庫内でのピッキング作業を自動化するために、Kivaロボットを導入。これにより、商品のピッキングと梱包の効率が大幅に向上しました。
AI予測アルゴリズム:需要予測と在庫管理にAIを活用し、無駄のない在庫運用を実現しています。

出典Amazonの公式サイト

3.Microsoft:ハイブリッドワークモデル

概要:Microsoftは、労働生産性を高めるためにハイブリッドワークモデルを導入し、リモートワークとオフィスワークの柔軟な組み合わせを実現しています。
取り組み内容:
Teamsの活用:Microsoft Teamsを活用して、リモートワーク環境でも効果的にコミュニケーションとコラボレーションができるようにしています。
柔軟な働き方:従業員が自分のライフスタイルに合わせて働けるよう、柔軟な勤務時間とリモートワークを推奨しています。

出典Microsoftの公式サイト

4.Google:OKR(Objectives and Key Results)制度

概要:Googleは、目標管理の手法であるOKR(Objectives and Key Results)を導入することで、従業員の目標達成に向けた意識を高め、生産性を向上させています。
取り組み内容:
明確な目標設定:組織全体および個人の目標を明確に設定し、その達成度を定期的に評価しています。
透明性の確保:全社員がOKRを共有し、進捗状況をオープンにすることで、協力し合いながら目標を達成する文化を育んでいます。

出典Googleの公式サイト

どこからやる?何をやる?

事例として挙げた企業は大手のため、参考にならないとする中小企業の方もいらっしゃいますし、会社の規模や従業員のリテラシーによってどのように導入するかは考えなければなりませんが、ヒントとなる部分は多くあると思います。

すでに人手不足と言われ、採用が難しくなってきている昨今、少しでも会社の魅力を上げていかなければ今後ますます採用が難しくなったり、人材の流出を招くことにつながるでしょう。

少しずつでも経営改善、生産性向上のためにできることを以下のように挙げてみます。御社で取り組めるものはあるでしょうか。

①リモートワークとフレックスタイム制度の導入

目的:多様な働き方のひとつとして、リモートワークとフレックスタイム制度を本格的に導入。
取り組み内容:従業員が自宅やカフェなどのオフィス外で仕事をすることを奨励し、勤務時間も個々のライフスタイルに合わせて柔軟に調整できる制度とする。必要な業務ツールはクラウドベースのシステムを利用。
目指す結果:従業員のワークライフバランスが向上し、離職率が低下すると見込れる。また、勤務の場所や勤務時間を従業員自身で決めているため、業務の評価が成果物によって行われる比率が高まること、自身でスケジュール管理をする必要があり、業務の成果物の品質が向上したり、納期が守られたりすることも期待できる。
コロナ禍で不要不急の外出が制限されたこともあるが、感染症などの対策や台風・地震などにより公共交通機関の運休などがあっても、当日すぐに自宅勤務に切り替えることができ、時間や費用の損失を最小限にしたり、育児等、家族の都合で長時間働けない、保育園等の送り迎えにより通勤時に制約がある従業員の期待は大きい。

②健康経営と福利厚生の充実

目的:従業員の健康を企業の持続的成長の基盤と位置づけ、健康経営を推進。
取り組み内容:健康診断の充実、定期的なメンタルヘルスチェック、ジムの利用補助、ヘルシーな食事の提供など、従業員の健康をサポートするための多角的な取り組みを実施。
目指す結果:従業員の健康意識が高まり、病気による欠勤を減らす。さらに、健康な従業員が増えることで、生産性の向上が期待できるとともに職場の雰囲気を快活で明るいものとすることができる。

③社内コミュニケーションの活性化

目的:クリエイティブな発想を引き出すために、社内コミュニケーションの活性化を図る。
取り組み内容:オープンスペースの設置、社内SNSの導入、部門横断のプロジェクトチームの編成など、自由に意見交換ができる環境を整備。さらに、定期的な社内イベントやワークショップを開催する。
目指す結果:部署間の壁を低くし、スムーズに情報共有が行われるようにする。これにより、プロジェクトの進行を迅速化したり、新しいアイデアやコラボレーションを増やすことを目指す。
また、部署間の垣根を越えてコミュニケーションを取ることにより、相談しやすい雰囲気ができたり、部署内では気付かないハラスメントを発見できる可能性もあり、(③の健康経営にもつながるが)うつ病などの精神疾患を未然に防ぎ、安心して働ける職場を作ることにもつなげることができる。

④デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進

目的:市場競争力を強化するためにDXを推進。
取り組み内容:IoT(Internet of Things)やAI(人工知能)を活用し、生産ラインのリアルタイム監視とデータ分析を導入することで、生産効率を最大化し、設備の故障予測を行うことでダウンタイムを大幅に削減できるのではないかと考える。
目指す結果:生産性の向上とコスト削減。さらに、業務プロセスの自動化により従業員の負担が軽減され、労働環境の改善も期待できる。

これらはこれからの時代(というか今現在)、旧態依然の働き方では立ち行かなくなると私は思っています。

今はいろいろなツールがあるため、会社の規模や従業員のリテラシーに合わせたものを選択することも可能ですし、安価や無料で利用できるツールもあるため、費用をそんなにかけずに導入できる場合もあります。

いきなり導入しようとすると失敗を招くので、しっかりと会社の実情を調べ、従業員にヒアリングをしたり、御社のリテラシーなども考慮したうえでどのように進めていくのが良いか、トライアンドエラーを繰り返しつつ、
少しずつでもいいので導入をしていきましょう。

また何から手を付けてよいかわからない、資金がないなどの場合は、助成金や補助金、技術的な面や導入サポートには業界団体や商工会議所などのサポートもありますので、これらを使ってみてはいかがでしょうか。

≪Profile≫伊藤社会保険労務士事務所
東京都社会保険労務士会 所属
特定社会保険労務士 伊藤 綾子
2005年4月 渋谷区にて事務所開設
2011年11月 豊島区に事務所移転
★組織改革支援★組織・人材活性化支援★
伊藤からの質問「どういう組織をつくりたいですか?」


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