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#コラム

20,08,28。Tさんの思い出①

自分がまだ小学校低学年だった頃、近所に「Tさん」と言う方が住んでいました。 歳は現在の自分より少し上だったかもしれません。初老で独身で物腰が穏やかでいつも和服を着ていた記憶があります。 自分を含めた数人の子供達の間ではTさんと名前で呼びかける子はおらず、もっぱら「本のおじさん」と呼ばれて親しまれていました。 Tさんの家は小さな二階建ての一軒家でしたが、すべての部屋が難しそうな本で一杯だったのです。部屋の壁はすべて本棚で部屋によっては壁以外にも本が積み上げられており、風呂

20,08,29。Tさんの思い出②

Tさんは自分達が遊びに行くといつも歓迎してくれましたが、たまに 「ごめんね。今日はお客さんが来ているからまた今度来てくれるかな」 と言われる時がありました。 お客さんを二度ほど見た事があるのですが二回とも明らかに学生では無さそうなのに詰襟っぽい服を着ていた事が印象的でした。自分達のような子供にもきちんと目礼してくれる妙にきりっとした人達でしたが特に怖い印象は受けなかった事も覚えています。 また、お客さんがTさんの事を「先生」と呼んでいた事も覚えています。 「お客さんから先

突然スマホに黒猫が現れた日。ハロウィンのGoogle Doodleの紹介。

これは私のスマホのスクリーンショットです。 お気付きになりましたか? 左下に可愛すぎる黒猫が居ることに。 そう、Googleが今年のハロウィンのお遊びを仕込んできたのです。 めちゃくちゃ可愛くて思わずタップしたくなりませんか? 私はタップしました。 ◇◇◇ Google Doodle(グーグルドゥードゥル)を知っていますか? 祝日や記念日などの特別な日にGoogleがGoogleのロゴマークをアレンジしてその日を祝うものです。 見ているだけで楽しくなるよ

『ミロ』の味がわからない【エッセイ】

まさに今、『ミロ』を飲みながら書きました状態。 この手元にある『ミロ』の味がわからないわけではありません。 一言で言えばココア味。 まあもともとココア飲料なので、ダイエットコーラを飲んで、「コーラ味がする」と言っているようなものかもしれません。牛乳でといていて、甘くて普通においしいです。 私がわかんないのは、子供のころに飲んだ『ミロ』の味なのです。 ◇ 『ミロ』を知らない人がもしかしているかもしれないので、説明しておくと「ネスレ社が製造、発売するココア味の粉末麦芽飲料

『エッセイ』と『コラム』と『日記』は何が違うのか【決定版】

noteには「タグ」機能があって、書いたものに好きなようにタグをつけることができます。 そして私自身、noteを始めたころに大変頭を悩ませたことがあります。それが、「エッセイ」と「コラム」の違い。そして「エッセイ」と「日記」の違いです。雑多な記事を書いていた私にとって、これは結構大きな問題でした。もちろんどのタグをいくつつけても良いのだから、二つでも三つでも付けたらよいのですけれど、どうせならきちんと違いを理解してから使いたい。 そんなわけで、私が勝手にいろいろ調べて、考

広辞苑を愛読し、ラメペンでアフロ犬を描いて叱られる子どもだった

断言する。10歳の私がもっとも熟読したのは、広辞苑だ。 小学4年生の頃の担任は、辟易するほど日記にうるさくて、毎日5ミリ方眼のノートに1ページ半のノルマ(日記)を課してきた。 日記嫌いの私にとって1ページ半というスペースはだだっ広すぎる。 だいたい、毎日日記に書けることと言えば、友達と遊んだことと、夕飯の献立と、その日見たテレビ番組くらいしかないのだ。これらを普通に書いたところで、ノルマの1/5にも満たない。 毎日何か特別なこと(たとえば遠足)が起これば日記だって書き

実は嫌いな人は自分を成長させてくれる最高の人だった。嫌いな人から知る深層心理。

「あの人嫌いだから」 あなたはそんな言葉で誰かを遠ざけて思考停止していませんか? 自分が抱く感情というものにはその裏に何らかの理由があります。それはあなたが目を背けたくなるような理由かもしれません。 もしかするとあなたが遠ざけた嫌いな人は、あなたを成長させてくれる最高の人かもしれません。 今日は嫌いな人について書いてみます。 ◇◇◇ 嫌いな人には「嫌がらせなどの直接な危害を加えられたから嫌いな人」と、「特に自分が危害を加えられたわけではないのに嫌いな人」の2種類が

人見知り大学生だった私が、接客業に目覚めるまで

人間関係に悩まされる苦、克服したい欲私はかなりの人見知りだった。人と打ち解けるのにも時間がかかるし、仲良くなったと思っていたのに疎遠になってしまうことも多く、そんなときはとても落ち込んでしまう。人間関係を構築し、そしてそれを維持すること。私にとって、その両方が難しく、人間関係の苦労は絶えなかった。 そんな私だったけれど、大学在学中にアルバイトをしたことで、「接客の楽しさ」に気が付くことになる。大学生のアルバイトといえば、サービス業を避けては通れない。いや、正確にはそんなこと

上階の住民の騒音をサンバカーニバルにするためにタンバリンを買った話

今の部屋に引っ越してきて3ヶ月。 最初はたまたまかな、と思っていたものが徐々に疑念を生み、そして確信に変わるのに2週間はかからなかった。 ドンドン!!!ドンドドドンドン!! (おっ今日も始まったな。上の階の人は一体毎日なにやってんだろうな。) 夜23時ごろから午前1時頃まで上階の住民がとにかく床を打ち鳴らして暴れ始めるんですよね。 正直騒音に対してはかなり寛容なので夜中に騒いでいようが床を打ち鳴らし大地を燃やす踊りをやっていようが あまり気にしていなかったわけです。

勤め先の書類に、僕のパートナーの名前を記入した話。

僕が勤めてる企業は、LGBTQフレンドリー企業ではありません。そんな企業で、誰にも知られず、ある書類で僕の名前にパートナーの名前が並びました。 今日はこのことをお話ししたいと思います。   僕が勤める都内のある中小企業はLGBTQフレンドリーを掲げていません。 映像教材を各社員が必ず1度は観ること、という最低限のLGBT研修は行われましたがそれ以外の取り組みは特にありませんでした。 珍しいことではなく、日本の大多数の企業の大半はLGBTQフレンドリーは掲げていません。 映

元、文学少女としては【作家志望のかたに他愛もなく】

雨が降つてゐる 雨が降つてゐる 雨は蕭蕭と降つてゐる ひとり雨の音を聞きながら、思い出していた。 三好達治の有名な詩なのでご存じのかたも多いはず。 (ここは阿蘇ではなく東京だし、馬なんかいないのだけれど) やはり長く広く愛される作品だけあって美しいことばがならんでいる詩だなぁとしみじみ。 今でこそ忙しいを言い訳に本を読まなくなってしまったが、子供の頃は図書館が大好きな場所で、趣味といえば読書だったわたし。自分でいうのは大変におこがましいが、元・文学少女である。大学時代は