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なりたいものになった、そのあと。

私はずっとデザイナーになりたかった。前職ではそれが叶ったのに、辞めた。なったあとのことをまったく考えていなかったからだ。 
 いまは、あらためてデザイナーとして働くために職探しをしている。前職と違うのは、制作会社ではなくて、事業会社にいきたいということだ。
 人生にはいろんなフェーズがあって、なりたいものに向かってめざしている最中の人も、なったあとにこれからどうしようと悩んでいる人もいると思う。そんな人たちの隣で同じく悩んでいる私のことを、ここに書いておこうと思う。

始まりは、高校の進路選択。大学のパンフレットを見た時に、デザイン学部では授業で映画を見ることもあると知り、そんな楽しそうな大学があるのか!と一気にテンションがあがった。そのままの勢いでデザイン学部がある大学に爆進した。

 大学ではデザインを学んで好きになり、当然のごとく自分はデザイナーになるんだ!と思っていた。でも、50社は落ちた。お祈りメールが来るたびに1人暮らしの部屋で、うつむいていた。あの時の「つらい、もう消えちゃいたい…」という感情は10年経った今でも覚えている。そこで、私はデザイン職種ではもう受からないんじゃないかと思いはじめ、一度自分の好きなものを棚卸しした。そこで「写真も趣味として好きだったから、きっと仕事にしても楽しくやれるような気がする!」と思ってカメラマンを募集している会社に受けたら、するりと通った。就活なんて一刻もはやくやめたい!と思っていた私は、そこでストップしてその会社に入った。

 約2年頑張ったものの、転勤が頻繁に行われる会社で将来を案じ、第2新卒枠を目指して辞めることにした。改めて転職活動を始めた時に、探したのはやっぱりデザイナー職だった。だが、ここでもやはり未経験なので受かりづらかった。合計30社くらい受けた。それでも、HP制作をやっている小さな会社がディレクション兼デザインもやれる職業として拾ってくれると言ったので、ありがたく乗っかることにした。当時の私はとにかくデザイナーとしての実務経験を積みたかったので、小さかろうが何だろうが入ってやれ!えいやっ!と入社した。

 ようやっとデザイナー経験が積める〜〜〜!と思って喜んだのも束の間、この小さな会社はわずか9ヶ月で辞めることになる。辞職理由は、人間関係の悪さだ。入って2日目でお局社員の舌打ちが聞こえた時にさっさと退散していればよかったものの、私はせっかく長い時間かけて入れたデザイン会社なんだからと、耐える選択をしてしまった。さらには、デザインをさせてくれると入社の時聞いていたのに、ほとんどが進捗管理の仕事だった。いまだからこそ書けるが、「脳みそ、腐ってるの?」何て言われたりもした。社長は「ウチにはパワハラもセクハラもないよ」が口ぐせだった。パワハラセクハラを決めるのはあなたではなく当事者だよと心の中で思っていた。ごはんを食べられなくなって、なんでもない時にぽろぽろ涙を流すようになったころ、逃げるように辞めた。そして、デザインの実務経験なんてほとんどないまま、再び転職活動が始まる。

 2回目の転職活動は、苛烈を極めた。
 受からない、受からない、受からない。それもそうだ。HP制作の作品はほんの少しだけ載せれるものの、デザインを始めて1年足らずの制作物はとても未熟だった。この時の活動期間はおよそ半年。受けた会社は50社におよんだ。どこにも受からず家族もイライラし始めたころ、転機は突然訪れた。なんと100倍もある倍率の会社にするっと内定できたのだ。あの時のトントン拍子感には、さすがに“縁”を感じた。デザインができる上、条件もかなり良く、ほんとうに信じられなかった。

 ようやっとデザイナー経験が積める〜〜〜!と思って喜んだのも束の間(2回目)、 なんと、ここでコロナがきて半年で解雇されることになる。あれよあれよというまに3回目の転職活動が始まった。ただこの時はわずか2社目で制作会社に内定が決まった。前回苦戦したのでこれにはびっくりだった。
 3度目の正直。やっと、やっと、デザイナー経験をがっつり積むことができて、自分をデザイナーと名乗れるようになった。

 じゃあどうして、また転職活動しているのか?話は始めにもどる。4社目でデザイナーと自信を持って名乗れるようになったはいいものの、デザイナーになった後のことを全く考えていなかったので、目標がなかった。さらに、帰宅時間が平均23時だったことから、今後デザイナーとして続けたい気持ちはあるけど、この会社では無理だなと感じた。“デザイナーになるにはどこの会社でもいいけど、デザイナーを続けていくにはワークライフバランスをとれる会社でないと無理だ”というのが転職を決意した経緯だ。

 世の中には、もっと先々のことまで目標を立てて進むことができる人もいるのだろうけど、私はいつも目の前のことにいっぱいいっぱいだ。でも、目の前の目標を達成したら、いつのまにかスキルが身についていた。意外とこの進みかたでもいいのかもしれない。これからの人生も、目の前に現れた壁を悩みながら楽しみながら越えていこうと思う。

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