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ファーストステップ司法書士51「相続人は誰になるの?取り分はいくらなの?【相続人・相続分】」

AとBは結婚しており,その間に子Cがいます。また,Cには子Dがいます。さらに,Aには父甲,母乙,妹丙がいます。1200万円のお金を持っているAが死亡した場合,相続人は誰になり,その相続人はどれくらい財産をもらえるのでしょうか?

無題

☑ 参考条文 ☑
【887条】

 ①被相続人の子は,相続人となる。
 ②被相続人の子が,相続の開始以前に死亡したとき…,その者の子がこれを代襲して相続人となる。…
【889条】
 ①次に掲げる者は,第887条の規定により相続人となるべき者がない場合には,次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。
 [一]被相続人の直系尊属。…
 [ニ]被相続人の兄弟姉妹
☑ 用語解説 ☑
『 被相続人 』
・・・相続される財産等の権利をもともと持っていた人。上記の事例でいうと亡くなったA。
『 相続分 』・・・相続人が相続する財産の割合。
『 相続放棄 』・・・相続人が相続による財産の承継を全面的に拒絶すること。

【1】意義

相続とは,被相続人が死亡した場合に,その人の権利と義務を,一定の家族関係をもつ人が承継することをいいます。
例えば,父親[A]が死んだ場合,その財産を相続するのはその配偶者である妻[B]とその子[C]です。もし,子[C]がいなければ,妻[B]と父親の両親[甲・乙]が相続します。そしてさらに両親[甲・乙]もいなければ,妻[B]と父親の兄弟姉妹[丙]が相続します(887条1項,889条1項)。また,配偶者である妻[B]は必ず相続権を持ちます(890条)(※1)。また,相続人となるべき者が死亡していたような場合,その者の子が代わって相続します。これを代襲相続といいます(887条2項)。例えば,上記の事例でAが死亡する前にCがすでに死亡していた場合,Cに代わってDがAの相続人となります。ただし,相続放棄があった場合,代襲相続は発生しないことに注意してください(887条2項参照)。例えば,Aが死亡した後にCが相続放棄をした場合,Cに代わってDがAの相続人になることはありません。
※1 配偶者以外は,次の者が①~③の順にしたがって相続人となり,次の相続分を持ちます(900条)。
① 子 1/2
② 親 1/3
③ 兄弟姉妹 1/4
残りの相続分は配偶者のものとなります。また,同順位の相続人が複数いる場合,その相続分を平等に分け合います。なお,遺言でこれとは違った割合の相続分が指定されていた場合には,それに従います。

【2】趣旨

代襲相続が認められるのは,被代襲者となる者の死亡のタイミングによって,代襲者となる者が相続できるかできないかの結論が変わってしまうのは不合理だからです(※2)。
※2 例えば,Aに子Bと孫Cがいて,「A死亡➠B死亡」と世代順に死亡した場合,Bが相続したAの財産をCが相続によって受け継ぐことができるのに,「B死亡➠A死亡」の順番で死亡した場合に,CがAの財産を相続できないとなるとバランスが悪いということです。

【3】解答

① BCがいる場合➠B:600万円,C:600万円
② A死亡前にCが死亡し,BDがいる場合➠B:600万円,D:600万円
③ CDがおらず,B甲乙がいる場合➠B:800万円,甲:200万円,乙:200万円
④ CD甲乙がおらず,B丙がいる場合➠B:900万円,丙:300万円

★やってみよう!★
【過去問 平成23年第22問エ】
☑ Aには子B及びCがおり,Bには子Dがいる。Aが死亡し,Bは,相続を放棄した。この場合,Dは,Bを代襲してAの相続人となる。
➠× 相続放棄は代襲原因とならないので,相続放棄があった場合,代襲相続は発生しません。

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