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<BACK NUMBER>「やる気スイッチをポン!+憲法『私人間効力』」

大寒らしく、冷え込んできましたね。
みなさん、日常のペースを取り戻す頃でしょうか。
我が行政書士試験科は、昨年までの日常よりも、何やらすっきり。
心なしか、科内の空気も澄んだ気が。
これ、お片付けの「やる気スイッチ」が入った川○講師のおかげなのです。
ここ掘れワンワン状態のデスク周りのモノを、全部自宅へ送りつけたとか…笑
「やる気スイッチ」、恐るべし。

この「やる気スイッチ」について、年始からよくご相談を受けています。
年末年始で生活リズムを崩し、仕切り直しの時期ですものね。
私も経験があるので、共感しきり。
「私のやる気スイッチはいずこへ?」、そう葛藤していました。

これについては、合格者や講師陣とも語ってきていまして…心理学的にも脳科学的にも、効果ありといわれる「ポン!」の技、いくつかご紹介しちゃいましょう。

・「楽しい」と思える学習環境を、形から作ってみる
←好きな色のマーカー、付箋、バインダーを用意してみる(合格者体験談で多し)

・場所を変える
←スタ○のテラス席に陣取ってみる(藤田講師のイチオシ)

・緩急をつける
←集中力の限界は、大人でもたったの45分だそう。そのたびに、簡単なストレッチやトイレ休憩を実施(学習に有効なストレッチ動画、配信経験あり!?)

・香りや音を活用
←特にアロマの1つ、コーヒーの香りは効果大。流し聴きできる音楽は、脳の過労を予防(アロマの資格保持者、井内講師直伝)

・適度な雑音に慣れてみる
←脳機能的には、雑音があった方が集中力が上がるとか(隣の席の制作陣に、「高木さんがしゃべっていた方が、なぜか校正の精度が上がります笑」と断言され、実証済み)
お試しあれ~!

ここからは、チリツモ作戦で、やる気スイッチ連打!

Q.性別による差別を禁止する憲法14条1項の効力は労働関係に直接及ぶことになるので、男女間で定年に差異を設けることについて経営上の合理性が認められるとしても、女性を不利益に扱うことは許されない。

さて、〇か×か、どちらでしょうか?
制限時間は10秒

…はい、10秒!早っ!

正解は、×!
女性を不利益に扱うことは許されない…○っぽそうだったのに。

まず、私人間効力が問題となった判例として、日産自動車事件が浮かんだでしょうか。
この事件は、定年年齢を、男子は60歳、女子は55歳と定める日産自動車の就業規則の有効性が争われた民事事件です。

最高裁は、「上告会社の就業規則中女子の定年年齢を男子より低く定めた部分は、専ら女子であることのみを理由として差別したことに帰着するものであり、性別のみによる不合理な差別を定めたものとして民法90条の規定により無効」としました。

つまり、判例は、性別による差別を禁止する憲法14条1項の効力は私人間の労働関係に直接及ぶことになる、とはしていないのです。

よって、問題文前半が×でした。

ここからは、ちょっと長いのですが、各判例の横断的な理解・評価を問う近年の出題傾向に対抗しちゃいましょう。

そもそも、私人による人権侵害の場合に、憲法の人権規定が適用されるのでしょうか。
確かに、憲法は、国家との関係で国民の自由・権利を保護するためのものです。
また、私人間では私的自治の原則が大原則となるところ、憲法の人権規定は私人間に適用されることはないと考えられます。
しかし、現代では、国家権力同様の強大な社会的権力を持つマスコミや私企業が登場しており、私人による人権侵害の危険があります。
そこで、私法の一般条項を憲法の趣旨を取り込んで解釈・適用することにより、一般国民の人権を保護していくべきと考えられるようになったのです。

この点、最高裁は、憲法の人権規定は、もっぱら国または公共団体と個人との関係を規律するものであり、私人相互間の関係を直接規律するものではない、としました(三菱樹脂事件)。
これについては、学説からは間接適用説を採用していると評価されています(争いはありますが)。

さらに、最高裁は、私立学校の学則規定について、直接憲法の右基本権保障規定に違反するかどうかを論ずる余地はないとしました(昭和女子大事件)。
これについては、憲法を根拠とした原告の主張を門前払いしたといえます。

その後の日産自動車事件判決は、上述の通りです。
これについては、憲法を根拠とせず、民法を根拠として戦った原告弁護団の戦略勝ちといえるでしょう。
「憲法を根拠とすると、門前払いになってしまう。じゃあ、社会的に妥当でない行いについては、民法90条違反でならどうかな。イケるかな。」と話し合ったか…いずれにせよ、お見事ですね。

では~!