見出し画像

<BACK NUMBER>『イメージは、鵜飼いの鵜!?』+憲法『法の下の平等』

みなさん、こんにちは。
伊藤塾行政試験科の高木美雪です。
 
 
この時期、マイページやパーソナル
トレーナーメールでよく質問いただく
ことがあります。
 
 
それは、
 
 
「講義視聴と演習で、
 疑問が色々浮かんできて前に進まないのです。
 どうしたらよいのでしょう?」

 
 
というものです。
 
 
・事例の条件を変えたらどうなるの?
 
・もっとちがった発想で考えられるのでは?
 
・講師が触れなかった論点、気になる…。

 
 
色々考えてしまいますよね。
わかります、わかります。
 

ずばり、経験からのお答えとしては、
「伊藤塾の講義とテキストで扱ったことのみを、
 丸呑みしておきましょう!
 イメージは、鵜飼いの鵜の境地で…笑」

となります。
 
そう、岐阜県長良川等で有名な伝統漁法、
鵜飼い(うかい)です。
 
 
みなさんを、お魚を丸呑みにする鵜に例えて
失礼極まりないのですが、
講義で扱ったことを丸呑みして
吐き出せれば、必ず合格できる

とお伝えしたいのです。
 
「丸呑み」がミソで、
「講師の解説を、そのまま素直に理解して押さえる」
と訳しましょうね。
 
学習時間が限られている方ほど、
だまされたと思ってお試しあれ!
 
 
さてさて、恒例のチリツモ作戦!
 
最近、選択的夫婦別姓制度導入やLGBTQ理解増進法案、
子育て中のリスキリング機会にまつわる課題などについて、
「平等とは、公平とは」
が改めて話題となっていますね。
 
お互いに違いを認め合って助け合える、
そんな寛容な社会になりますようにと、
願わずにはいられません。
 

ということで、今回は
「法の下の平等」でいきます!
 
 
Q.尊属に対する殺人を、高度の社会的批判にあたるものとして一般殺人とは区別して類型化し、法律上刑の加重要件とする規定を設けることは、それ自体が不合理な差別として憲法に違反する。
 

さて、判例の趣旨に照らすと、〇か×か、どちらでしょうか?
 
 

制限時間は15秒!
 
 
 

 
 
 
 
…はい、15秒!
 
 
 
 
正解は、×
 
 
あれ?尊属殺重罰規定は違憲のはずなのに、
×なの…?
 
 
この問題文のひっかけは、
「…とする規定を設けることは、
 それ自体が不合理な差別として…」
という部分です。
 
 
判例の言わんとすることを正確に理解する練習
として、出題しました。
 
 
以下、一緒に読み取っていきましょう。
 
 
この問題は、尊属殺重罰規定違憲訴訟に
関する知識を問うています。
 
 
当時、刑法199条(当時)の規定する普通殺人罪の法定刑は、
死刑・無期懲役または3年以上の有期懲役だったの対し、
 
刑法200条(当時)の規定する尊属殺人罪の法定刑は、
死刑・無期懲役に限定されていました。
 
このように、尊属殺人罪に重罰を科す刑法200条が、
法の下の平等に反しないかが争われた刑事事件
です。
 
 
判例は、
 
「尊属に対する尊重報恩は、社会生活上の基本的道義というべく、このような自然的情愛ないし普遍的倫理の維持は、刑法上の保護に値するものといわなければならない。…尊属の殺害は通常の殺人に比して一般に高度の社会的道義的非難を受けて然るべきであるとして、このことをその処罰に反映させても、 あながち不合理であるとはいえない。そこで、…さらに進んでこのことを類型化し、法律上、刑の加重要件とする規定を設けても、か かる差別的取扱いをもつてただちに合理的な根拠を欠くものと断ずることはできず、したがつてまた、憲法14条1項に違反するということもできない 」
 
としています(最大判昭48.4.4)。
 
 
さらに、
「刑法200条は、尊属殺の法定刑を死刑または無期懲役刑のみに限つている点において、その立法目的達成のため必要な限度を遥かに超え、普通殺に関する刑法199条の法定刑に比し著しく不合理な差別的取扱いをするもの」
であり、憲法14条1項に反する
としています。
 
 
まとめると、
 
立法目的は合理的で合憲だけれども、
立法目的達成手段は不合理で違憲である

 
としているのです。
 
 
問題文を振り返ってみると、
「…とする規定を設けることは、
 それ自体が不合理な差別として…」
とし、
規定自体が不合理で違憲と考えていて、
上記判例の考え方とは異
なります。
 
 
したがって、答えは×となります。
 
 
この事件、被告人が本当に気の毒な
女性だったのです。
 
長年、実父から性的虐待を受け続け、
耐えかねての犯行でした。
 
なのに、刑法上、心神耗弱や情状酌量等を勘案しても、
執行猶予がつかない。
 
そこで、弁護人始め司法関係者が、
社会に疑問を呈したのです。
 
学生時代の私は、指導教授づてに
口頭弁論の様子を知り、言葉を失いました。
 
試験対策としての判例知識といえど、
それぞれに人生がかかっていることを
思い知らされました。
 
合格後、そのような角度から判例を読み取れると、
有意義かもしれません。
 
 
今回は、全然チリツモではなくなってしまいました。
 
次回からは、気を取り直して
…チリツモチェック!


では~!

★法律が初めての方も、もう一度チャレンジする方も
 今から始めて今年の試験で短期合格できる”合格講座 速修生”
 実際の合格者の声も紹介しています。