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137 成長を阻害する保守的な組織体制

Insight Tech アイタスクラウド営業担当です。
金融機関(銀行・証券・保険の大手24社)のDXによる業務量削減の効果が、2023年度までに約4万人分の見込みであることが日経の調査で分かったようです。

業務見直しの対象は、事務、管理、支店、コールセンターが中心となる見込みで、浮いた人手は営業部門等へ配置転換するとのこと。海外に比べ解雇の条件が厳しい日本においては、業務を切り離して人員を調整するなどの見直しができないため、今後デジタル人材の育成に注力していく構えのようです。

デジタル人材の育成と言っても、会社によって状況は様々なようで、
・Web会議が使えることが目標
・研修では出席者の顔色をうかがって教材のレベルを調整している

といった回答もあった模様。
情シス部門のトップがIT未経験であるケースも意外に多いようなので、DXとは程遠い厳しい現状がうかがえます。


何でもアメリカを比較対象として引き合いに出すのはよろしくないかもしれませんが、米銀はリーマンショックや欧州債務危機を経て、デジタル化への抜本的な転換を進めているようです。金融庁の調べによると、米銀と邦銀のIT投資の戦略性と、IT人材の比率にはかなりの差があり、デジタルシフトの遅れの原因になっていると指摘をしています。

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(画像:金融庁「フィンテックや決済高度化を巡る動向と今後の課題」より抜粋)

各社の懐事情もあると思いますが、邦銀はシステム関連経費の内「維持・運用」が7割と保守的な内訳になっているため、変化に鈍感な組織体制であると言われても仕方ない状況です。

また、一部の大手金融機関では、人材確保のためエンジニアやデザイナー等の専門人材の大量採用を掲げていますが、IT人材の需給予測(2019年時点)を見ると、2030年には45~79万人のIT人材が不足すると言われています。ここに割って入るとなると環境整備や待遇の見直し等も必須になりますね。

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(画像:経済産業省「IT人材需給に関する調査ー調査報告書ー」より抜粋)


今回は金融機関に絞った話でしたが、ITへの投資、人材育成、専門人材の確保については、各業界共通の課題かと思います。対応が遅れるほどに状況は厳しくなる一方ですので、保守派の反発を跳ね除けてでも取り組むことが望まれますね。

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