散文詩「2024/7/18」

 時が流れるにつれ、不安は増し、重苦しい気分がつのる。ためらいと、不快さが強まってくる。今日明日と、懸念が増えるばかりだ。
「天は沈黙している。ただ沈黙だけを返す。」カフカ。
 許す。私は彼らを許せるだろうか。深い傷を我が身に刻んだ彼らを。暴力と、悪意は、若さゆえの免罪を受けるのだろうか。一度は彼らを殺し、綿足も死ぬという計画を夢想したこともあった。結局、彼らは生きている。私も生きていく。心というものは外に見えないから、私は何も存在として伝えることができない。一目見て心を見透すことのできる人などいない。私は重苦しく、孤独で、息がつまるばかりだ。一度叩きつぶされた存在は、その屈辱をさすって生きていくことしかできない。体験した限りでは、この世は平等でも公平でもなく、醜い。いけにえに捧げられた者は重荷を背負い、捧げた者は軽くなる。没落していくだけなのだ、徐々に。何もない。輝かしいものは。軽々しい社会に見出せる何物もない。許すことはできるのだろうか。私は彼らを許すことが出来るのだろうか? 許したあとの私はどうなるのだろうか。彼らはどうなるのだろうか? 許すことが善なのだろうか? 許すか、許さないか、私が決めることだが、私が許すことを決めたとき、私は許すことができるだろうか? 押しつぶされた者は、一生人間ではない破目になる。言葉は一切あてにならない。生きることで復讐しつづける。血の流れる限り、心臓が動く限り、私は滅びないことで生き続けることで彼らを許さない。私は私の倫理で私を生かし続け、彼らを罰しつづける。許しはない。生は重苦しく、腐りかけたまま己を生かしつづける。押しつぶされた私を世界に提示し、私は一つの謎になる。私は誰にも解けない謎になる。私を愛する神はいないから、私は許さない。神はなく、謎がある。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?