「まち保育」とは?防災は日々の延長線に…
みんなで子育てする文化・環境づくりを目指すISSHO NI(いっしょに)
活動の一環として、防災についても発信しています。実は、子育てと防災には共通点があります。それは地域コミュニティのつながりがとても重要な役割を果たすということです。
災害があった時、自治体がすぐに支援してくれる、誰かが助けに来てくれる、私たちはテレビなどで目にするイメージからそんなことを思ってしまいがちですが、
もし指揮を執る市役所が損壊したら…
職員が被災してしまったら…
道路が通行止めになってしまったら…
防災と共助
防災では自助、共助、公助という言葉があります。
文字通り、
被災時、公助が入るまでの期間、いかに自分たちの力で、まちやコミュニティで協力できるか、がとても大切になります。
防災と共助について知った時、日頃からまち全体で子どもを育てる環境が整っていれば、自ずと災害時でも助け合える関係になるのではないか、と感じました。
「まち保育」との出合い
「育児クイズパパ力検定」監修者であり、マガジン「晴れ時々くもり一時雨」でもお世話になっている保健師の中澤さんからのご紹介で「まち保育×防災」のワークショップがあると聞き、参加しました。
実は私たちは、何をやるのか全く知らず、「まち保育」と「防災」というキーワードに惹かれ参加を決めたのですが、これがもう本当に素晴らしい内容だったのです!
横浜市立大学 教授 三輪律江先生、横浜国立大学 准教授 稲垣景子先生らが中心となった
「乳幼児期からの災害理解と日常の防災意識・行動啓発に向けた取り組み」では、
この取り組みの基本的な考え方にも
とあります。
まち保育とは?
まさにみんなで子育てする社会のために、私たちが夢に見るような、いやそれ以上の取り組みだったのです!
「まち保育」についての詳しい内容はこちらの本に書かれています。
おさんぽ ✕ 防災
参加したワークショップは、この取り組みの一環として開発された絵合わせカード『てくてくまっち』を実際に体験してみるものでした。
てくてくまっちとは?
まず目を引くのがかわいいイラストの数々。
でも、かわいいだけじゃないんです!
絵のデザイン、構図やカードの厚みまで、さまざまな視点から何度も試行錯誤を重ねて作られているそうです。
乳児も使う前提なので、このようにしっかりとした紙質で角も丸くできています。
どうやって遊ぶの?
ワークショップではまず、各グループごとに、メモリーマッチゲーム(神経衰弱)に挑戦しました。初対面だったにも関わらず、童心に帰り楽しむことができ、どのグループもかなり盛り上がっていました。
続いて、実際に園児に話しかけるような設定で、名前当てゲームも行いました。
これがなかなか難しかったのですが、参加者同士で「これはどうやって説明すればいいんだろう」と話し合いながら互いの知識を共有でき、とても有意義な時間となりました。
このカードに決まった使い方はありません。
参考として、
という提案はありますが、子どもたちの年齢や発達に合わせ、アイデア次第でさまざまな活用方法が考えられるカードです。
また、室内のみならず、外でも使うことができます。カードを持っておさんぽに行けるよう、リング用に穴も空いています。リングを入れても大丈夫な強度や穴の位置まで、配慮されているのだとか。開発秘話について、聞けば聞くほど感動してしまいます。
てくてくまちをおさんぽする そして絵合わせのマッチの意味から取られた『てくてくまっち』は開発に関わった大学生が考案したネーミングだそう。(思わず「うまい!」と心の中で言ってしまった筆者です。)
カードの絵は消火栓や防災倉庫のような、防災と直結するものもありますが、まちや自然に親しむための川や公園やまちの匂いといったカードもあります。
「川」のカードなら、「お魚がいるね」、「水があるね」など自然に触れられる場所であること、豪雨時には危険な場所にもなること、などの語りかけができると予想がついたのですが、
困ったのが「まちの匂い」でした。
「どう説明すればいいのだろう?」
と不思議に思っていたら、これには子どもたちの感覚を刺激する意味合いもあるそうです。感覚を研ぎ澄ませることも大切ですし、まちにあふれる匂いに親しむことで、いつもと違う時には異変を感じることができる可能性があります。
例えば、普段の匂いを知っていれば、土砂災害の前兆として起こる異様な匂いに気がつけるかもれません。
まさに日常が防災につながる例だと感じました。こんな風にまちや自然と親しみながら、楽しみながら、防災につながっていく仕掛けがこのてくてくまっちにはたくさんあります。
こどもと一緒に遊んでみました!
乳幼児向けということでしたがISSHO NI 編集部メンバー&息子たち(小2)も使ってみることに。
まずは、メモリーゲームから。もはや、記憶系のゲームは、こどもたちのほうが得意ですね。おとなたちは大苦戦…
カードの絵に少し慣れてもらったところで、次はかるたゲームをしてみました。
1.読む人は、
「普段はこどもが勉強するところ、でも地震のような災害が起こったときには避難所になるものどれだ?」と質問、
2.取る人は、
「学校!」と言ってカードを取る。
こんな流れでやってみました。
一通り終わると、子どものほうから、質問する側でやりたいと言い始めました。
ちなみに読む人と書きましたが、読み札はありませんので、自分で考えて出題する必要があります。
最初は「こどもたちにできるかな?」と半信半疑でしたが、試しにやらせてみたところ、「あ、これじゃ伝わらないか…」など、こどもなりに自分で思考錯誤をしながら
「雨が降ったら近づいてはいけない場所は?」
と、なかなか上手に出題できていました。
出題側になり、考えることで、こども自身も防災への理解を深めていた様子。
乳幼児向けとありますが、決まった遊び方がないことで、年齢を限定せず、小学生でもアイデア次第で活用できるのが、このカードの魅力であると実感した瞬間でもありました。
筆者自身もこのカードで遊びながら、
「今度、公衆電話の場所を確認して、実際に子どもに体験させてみよう!」
と、防災意識につなげることができましたので、おとなも一緒に遊ぶことでさまざまな気づきにつながるような気がします。
むすびに
絵合わせカード『てくてくまっち』は
・乳児期から、カードに触れ、絵に親しみ、成長に合わせさまざまな遊び方ができる
・楽しみながら、まちを身近に感じ、防災意識を高めていける
本当に素晴らしいものだと思います。
現時点では、横浜市内の保育施設、教育施設向けに配布しているようですが、筆者としては、全国へ、可能であれば、個人レベルでも購入できるようになるといいなと願っています。
おうちで遊びながら、ときに散歩のお供にしながら、乳児の頃から無理なく防災意識を高めていけたら、まちとつながることを意識できたら、こんな素晴らしいことはないですよね。
そして、おとなもこどもと一緒に楽しみながら防災について理解を深めることができるはず!
ISSHO NIとして私たちも『てくてくまっち』普及のために発信などを通じ、微力ながらも協力できればと思っております。
気になった方は、「『てくてくまっち』副読本」もぜひご覧ください。
URL:
https://www.yokohama-cu.ac.jp/Contributions/product/i561dj0000000oax-att/tekutekumachi_fukudokuhon.pdf
お読みいただきありがとうございました。
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