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俺はすごい、だろ?と言える国民性

留学中はずっとバンド活動をやっていました。パートがドラムの頃はドラマー人口が少ないため人のバンドに呼ばれていましたが、ギターにパートチェンジするとメンバーを探すことのほうが増えました。

ネット掲示板とか地元コミュニティ雑誌のメンバー募集コーナーを通じて、色々な人に出会いましたが、概ねアメリカ人の男性だと「俺すごいよ」の事前アピールはすごかった印象があります。ただ、実際に会ってジャムってみると言うほどスゴくないんですが・・でもジャムしながら曲の原型みたいなのが出来るとそれだけで「やべぇ俺ら売れるわ」的な無邪気な盛り上がりがあり、それはそれで楽しいものでした。

本屋で「カルトブランディング」というタイトルがおもしろくて手にしたこの本。人を熱狂させるブランドの実態と最新の事例がつまった本で、教会的なシステム(聖地・聖典・教会・神話など)とブランディングのマッチングで、熱狂的ファンをもつコミュニティが出来上がるという事例が色々。

これを読みながらバンドメンバーを募集していた時のことや、あとはレストランなどで「俺のつくる料理は信じられないくらい旨い、だろ?」とどや顔でアピールしてくる店主のことなど・・アメリカンカルチャーのあれこれを思い出しました。そもそも僕がいたポートランド自体がKeep Portland Weired(変人でいよう)が街のスローガンですから、個性的なお店多かったですもんね。ブームになっている珈琲屋だけじゃなく、Salt & Straw(アイスクリーム)、Jacobsen Salt(塩)、Voodoo Doughunt(ドーナツ)などなど。

カルトブランディングについての最新事例満載の本ですが、なかでも個人的にはDeath Wish Coffeeがアメリカ!って感じで好きでした。普通の2倍以上のカフェイン含有量なのに浅煎り仕上げで、オーガニックでフェアトレードという今のアメリカであるべきブランド要素を上手に取り入れている会社だと思います。PVもド直球!


作者の方をFacebookで探し当て「わりと引っ込み思案な日本人だとどうすれば、アメリカ人のような自信満々な感じでブランドがつくれますか?」という質問にも真摯にお答えをいただきました。日本の場合オーナーさんの自己PR力以上に、ファンの方の熱狂度とその持続度が高いブランドは「カルト化」しているような気がします。そういう意味では、小さなブランドほど「オーナーの自信と情熱」はこれからのブランディングのキーファクターになりえると思います。

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カルトブランディング 顧客を熱狂させる技法(2021年、田中森士、祥伝社)




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