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エッセイ | 今までと今とこれから

日本の片田舎に生まれて30年がたとうとしている。車がなければ生活できない地域のため、高校を卒業したら大学に入学式する間に大急ぎで免許を取得するのが通過儀礼のようになっており、自動車教習所は同窓会会場のような雰囲気になる。ちらほら高校生以外の人も居るのだが、どこか居ずらそうな様子のため、見ている私の方も申し訳なく感じてしまう。

大学進学を機に上京したのだが、夏の暑さに1年目はついていけなかった思い出がある。ただ、冬の暖かさにも驚かされた。地元とは違い、比較的暖かい上に、電車や建物内は暖房がガンガン稼働していて、アウターを着た状態だと熱いくらいだった。そのため私はアウターを着ていなかった。動きやすい冬は好きだった。今では冬になればアウターを着て出かけるし、お気に入りが何着もあるため外出は楽しみになっている。

大学では建築を学んでいた。建築が好きなわけではなかったが、進学しやすかったためそこに決めた。そんな考え方で進学したのだが、入学して1年目で建築の世界にのめり込んでいた。就職し、働いて思うことは、大学で学べる建築は氷山の一角だった。日が当たっているキレイな部分のみを見て『建築って楽しい!』と思っていた。ただ、そうでもしないと気が狂いそうなくらいハードな世界ではあると思う。他の業界を知らないからそう思うだけで、そんな世界はどこにでもあるとは思うけれど、田舎から出てきた純粋な青年には現実は厳しかった。

『あの時は若かった。だから判断を間違えた』と後悔する時がよくある。年がたてばそう思ってたことに対しても『そう考えてしまうところはまだまだ若いな』と思うのかもしれない。自分を振り返ってはかわいいやつめと、5年後、10年後の自分が笑っている。実際に悩んでいる自分のことを気にもせずに、乗り越えた自分は偉そうだ。

そんなふうに考えていると、悩みながらでも良いかなと思えてくる。今は悩んでいるけれど、そのうちタイミングが来るのだろうと。いつか今の自分を笑ってやりたい。

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