読書「相談する力」で報連相しているのに仕事がなんかうまくいかない理由がわかった。
はじめに
「相談するのは相手の時間を奪ってしまうから勿体無い」
「相談しても思ったような解答を得られなかった」
相談に対して私はこのように思っていて、それを察した方がこの本をお勧めしてくださいました(すごくありがたい・・!)。相談という誰もがビジネスマンであればすること、そしてスキルとして認識できていないものを構造化して誰に・何を・いつ・なぜ相談してどう行動するのかが端的に200ページで書いていて、とても参考になりました。
印象的な内容
相談とは「物事を前に進めるためのプロセス」
相談は見立て→仮説→計画の各ステップで次に進めるためにすることで、相談をすると次のステップに進めるためのネクストアクションが見えます。
さらに見立ての中ではさらに5つの要素に分かれて、
1、目的(何のために?)
2、顧客(誰のために?)
3、商品・サービス設計(どんなものを作るの?)
4、マーケティング(利用者とはどんな関係を作るの?)
5、制約(実現する上でのネックは?)
を見立ての段階では少なくとも一つが思いつきででもイメージがある状態。
仮説は5つの要素を一度でも検証をして一次情報を得ている状態。
計画は5つの要素が一貫性を持って話せる状態として定義されています。
そして1が決まらないと2は決められないと言うように1から順に決めていく必要があります。
ここで思ったのは見立てのまま計画段階に移って仕事を進めていたなーということ。それは却下率も多いわけだ(笑)仮説とは「やってみたらこうだった」とわかっている状態で、例えば「ゆったりした居酒屋を作りたい」と見立てを立てて、「実際にお店に行ってみて席がどのくらい離れていたらゆったりしていると感じるのかを実施に測ってみてわかった状態」が仮説のフェーズだそうです。
相談のステップで相談内容は変わる
ベースとして、相談内容に必要なのは「目的(何のために)」「原体験(なぜ悩んでいてそれを進めたいのか)」「現在地(今の状態)」を伝える必要があるということです。
著者は以前伝えたことのある相談内容も振り返りとして、例えば1時間の相談時間の中での15分を目的、原体験、現在地を話す時間に充てられているようです。私だったら前言ったことだからと悪い気がして端折ってしまうのですが、それでも話すことで自分にとっても相手にとっても相談に対して何を伝えると良いのかどうかが見える過程なので端折るのはダメだということでした。
そして先ほどの3つのステップでそれぞれ相談内容も変わるもので
見立てでは現状のありのままを伝える。伝えにくい場合は「自分でできること」「自分ではできないこと」「すぐにできること」「今すぐにはできないけど、あとでやったほうがいいこと」に分け、それぞれで「誰がやるか」「いつやるか」に分類することで整理でき次の仮説に行くためのネクストアクションが見えやすくなるとのことです。正直見立ての段階が一番妄想ばかりで頭がゴチャゴチャになりやすいので、この整理の仕方はなるほど!!と思いました。
仮説では見立てから検証したフェーズなので色々あると思うけどプライドを捨てようとのことで、思い込みを外して可能性や課題の両面を見ること。うまくいったこととうまくいかなかったことの両方を伝えること。事実9割・目的1割の割合で話すことがポイントだとのことです。
計画では盲点に気をつけるべきということで、確かにこれだけ検証して相談もしているのだから漏れはないと思ってしまうものですが、だからこそ相談が必要だと強調されていました。5つの要素のストーリーを一貫して話し、それに対して「可能性」や「リスク」をを深掘りすることが大事です。例えば、「もっとこんな方法があるのでは?という感じるアドバイスはありますか?」や「ヒト・モノ・カネについて私が気づいていないリスクがあれば教えてください」などこの後は実行フェーズだからこそ漏れがないように相談するのだそうで、この「ヒト・モノ・カネ」の観点で聞くのはすごくいいなーと感じてメモメモ・・と思いました(笑)
相談のステップによって相談すべきタイプの人が変わる
では相談する内容が決まったところで相談すべきタイプも4タイプあるということです(びっくり!!)
1、気軽に相談できる人:見立ての段階から相談できる
2、専門性が高い人:仮説の段階で「実践知が豊富な人(例えば〇〇事業のプロなど)」「見識が広い人(例えばコンサルなどの世の中の流れや他社事例を共有してくれる人)」
3、多面的に見てくれる人:計画段階で相談
4、相談のための相談ができる人:相談相手が思い浮かばない時に目的や原体験に共感して詳しい人を紹介してくれる人。
私の場合、上司は3に当たるのですがせっかく計画フェーズに行っているのに振り出しに戻るアドバイスばかりだと感じている場面も多くて多面的に見てくれているというよりは細かい人という悪いイメージを持ってしまっていたのが正直なところだったので、自分自身の相談のタイミングや内容がよくなかったのだと改善しようと思えるきっかけになったのが学びでした。
逆にこの本では相談すべきで無い人もいて、
1、愚痴が多い人
2、周りの言葉を借りて話す人
3、こちらの話を聞かない人
とあげていて、共感をして次のステップを行動に移せるようにできる人に相談をしたいことを思うと自ずとこの3つのタイプの方々は向かなくなってしまうと言うわけですね。
相談はお伺いを立てる上下関係ではなく、共感を生むヨコの関係
著者が書かれていたのは相談は解答を求める場ではないし、見立て→仮説→計画も行ったり来たりするもので、その計画通りに進めることよりは原体験から生まれる目的が果たされるように進めることのほうが大事だということです。
そのために相談をする時にはなぜそれをしたいと思っているのかと、その目的をまず話してストーリーを伝える必要がある。そしてそれを共感してくれた人がヨコの関係となっていく。とはいえ共感してくれても今は忙しくて答えられなかったり、バシッとした答えがなかったりするもの。それを相談して良かった悪かったと判断するのではなく、相談したことで長期的に気づきを得られることが重要だということでした。私の例でいうと、上司に相談しても先述の通り振り出しに戻るアドバイスばかりで、しかもこれといった答えではなくてダメだと感じていることを言われてある意味「相談して悪い状態」と思っていました。でも相談の伝え方が悪いのでは?と感じたり、いうタイミングが良くなかったか?などと気付けるきっかけになったのも事実でそういう気づきを得られたという点で相談に意味はあったのだと本を読みながら感じました。
ヨコの関係を広げるために先述の「相談のための相談をする人」をゆるく構築していくことで、その相談事項ですぐに答えは見つからなくても自ずと解決の糸口が見えてくる。仕事はなかなか期日で縛られているのでこう言ったゆとりを持てないのも事実ではあるものの、だからこそ普段からヨコの関係を築いておくことで仕事を進めやすくなるのかもしれませんね。
おわりに
最近「他者と働く」、「ビジネスプロセスの教科書」など色々な本を読む中で共通のワードとして出てくるのが「共感」。この本も相談をすると言うことは「共感」を生み、ゆるくヨコの関係を築くことが大事だと書いていました。ビジネスに限らないことなのかもしれませんが、この「共感」が全ての根幹なんだなーと複数の書籍からも改めて感じたのでした。
また著者は相談の内容やタイミングだけでなく、その相談の聞き出し方や受け止め方など総じてすごく素直にアドバイスいただいたことを実践している印象でその謙虚さや素直さがヨコの関係を築かれる人柄にも繋がるんだろうなと人としてのベースとなるものを改めて考えさせられる本でありました。
まずは見立てから仮説にできるように止まっていた案件を動かしてみます!