意匠56

モノ好きなデザイナーの視点で、少しは誰かの役に立つかもしれない体験談、コラムやエッセイ…

意匠56

モノ好きなデザイナーの視点で、少しは誰かの役に立つかもしれない体験談、コラムやエッセイを綴ります。お楽しみください(^o^)/ 「ゆるキャラから産業機械まで」をモットーに創作活動を続けています。 受賞歴に、機械工業デザイン賞・最優秀賞/経済産業大臣賞、グッドデザイン賞など。

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  • 人生いろいろ

    私が経験した病気・からだのこと、生き方に影響を与えたエピソードなどをまとめました。

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    デザインについてのあれこれをプロの視点で、私の経験を含めてまとめていきます。デザインを勉強したい人、もっとデザインを楽しみたい方にお勧めです。

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それでもデザイナーと名乗ろう

 今回紹介するのは『JIDA70周年記念エッセイ集』に掲載された私自身の投稿である。一昨年の2022年に創設70周年を迎えた、日本で唯一のインダストリアルデザイン全国組織である、公益社団法人日本インダストリアルデザイン協会(JIDA)に所属するデザイナーのエッセイ集なのだが、残念ながら一般には頒布公開されていない。  私は著作者として、この文章を多くの方に読んでいただきたいので、800文字の寄稿文と、私がデザインした代表的な作品3点の画像を以下に紹介したい。 『それでもデ

    • 続・アトピー地獄

      前回の「アトピー地獄」では、私が体験したオトナアトピー(大人アトピー)の苦々しい日々を綴った。未読の方は是非「アトピー地獄」を先に読んでいただきたい。今回は、地獄の先にあったその後について書いておこう。 元には戻れない 私のオトナアトピーは完治したわけではない。今も痒みがつらい日々は続いているが、地獄にいるわけではない。ここまで来るのに18年かかった。身体も完全には元に戻らないし、心に至っては以前の自分とはすっかり変わってしまった。違う人間になってしまったのだ。  そんな

      • アトピー地獄

         人が思う地獄はそれぞれ違うけれど、あなたが「地獄」という言葉に共感できるのであれば、その苦しみのほどはわかっていただけるかと思う。より正しく言えば「生き地獄」である。  この投稿を読み進めると、つらくなってしまうかもしれません、ごめんなさい。  ここに書き残すのは、私が三十代後半から十数年間苦しんだ「オトナアトピー」の記録である。今でも完治してはいないものの、あの生き地獄の毎日を思えば解放された生活を送れるようになった。そして、自分に起きた出来事を記録として残そうという

        • 画家 青木重光の軌跡

           本当は奇蹟と書きたかった。病に打ち勝って、画家として思うままに創作の日々を送る。それが青木さんの願いだったはずが、志半ばで鬼籍に入られてしまった。病に負けたとは思っていない、新たな人生を歩むために旅立っていったのだ。 デザイナー 青木重光と私 青木重光さん(享年67)は、インダストリアルデザイナーとして活躍された。企業内デザイナーに始まり、デザインファームに籍を置き、自身の名を冠したデザイン事務所を設立し、世界的に知名度の高いドイツの iF DESIGN AWARD を受

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          人生横向きについて考えた

           「人生横向き」とは、かつて友人が放った言葉である。世代を越えて生きづらさを感じる現代社会では、前向きでも後ろ向きでもない、横向きの思考こそが人々を救ってくれる。  件の友人とは、かつて同じ会社の同期だったエンジニアで、突然会社を辞めて北海道へ渡って行った。大学院を出て業界最大手の東証一部上場企業に入社し、制御プログラムの設計を担当していた。同じプロジェクトになることはなかったが、独身寮では毎日顔を合わせていた。週末にはひとりエンデューロバイクで林道を数十キロ、時には日帰り

          人生横向きについて考えた

          56歳で急性心筋梗塞その4「費用と保険とこれからの生活」

           手術や入院を経て命をとりとめたのは幸いだけれど、現実として気になるのはお金の話である。今回は、急性心筋梗塞の手術代、入院費用などについて書き留めておくので参考にしていただきたい。そして、「56歳で急性心筋梗塞」シリーズも今回でひとまず最終稿である。 1:費用の話 急性心筋梗塞の手術代や入院費について、ようやく病院からの請求書が届いた。退院から3週間が経っても一向に請求書が届かないので「いったいいくらなんだろう?」と不安な気持ちで郵便ポストを覗く毎日だった。ネットを検索して

          56歳で急性心筋梗塞その4「費用と保険とこれからの生活」

          56歳で急性心筋梗塞その3「心臓リハビリテーションの開始」

           手術、入院、退院を経て、これからは外来での心臓リハビリテーションの開始である。正確には「心大血管リハビリテーション」という。約5ヶ月の間、定期的に通院しながら運動療法を中心に心機能と体力の回復に努めるのである。 1:外来リハビリ初日2月13日火曜日  退院後10日を経て、いよいよ外来診療での心臓リハビリテーションの開始である。今日は最初に、皮膚科を受診して蜂窩織炎(ほうかしきえん)の診察をしてもらった。退院時に処方された抗生剤を飲んでいたので、左腕に残っていたしこりも消

          56歳で急性心筋梗塞その3「心臓リハビリテーションの開始」

          56歳で急性心筋梗塞その2「退院後の近況」

           私が心筋梗塞を発症して人生初の手術、入院、退院までの顛末は、56歳で急性心筋梗塞その1「手術と入院の体験記」に書いているのでそちらをご覧いただきたい。ここからは退院後の近況について書いておく。 1:退院の日 初めて見るロビーは大学病院らしい広大な吹き抜けの空間だった。私が以前、外来診療でT大学病院に来ていたのは20年も前のことで、この病棟は建てられていなかった。今回の手術や入院の精算は後日、支払いは銀行振込となっているので会計を待たずにこのまま帰宅する。患者でごった返すエ

          56歳で急性心筋梗塞その2「退院後の近況」

          56歳で急性心筋梗塞その1「手術と入院の体験記」

          はじめに  56歳になるまで、手術や入院とは無縁だった。その日は突然やって来て、今でもあの痛みが「生死を左右するものだった」とは信じ難い。  この体験記では、急性心筋梗塞になった私こと中年男性の体験を全4回に分けて紹介したい。年齢に関係なく、誰にでも起こり得る突然の災難なのだが、まずは肩の力を抜いて読み進めて頂ければ幸いである。やや長文であることはご了承頂きたい。 ※文章中に登場する専門用語について齟齬がある場合は是非ご指摘頂きたい。 ※記載内容は概ね事実に基づいている

          56歳で急性心筋梗塞その1「手術と入院の体験記」

          人生横向き

           「人生横向き」とは、かつて友人が放った言葉である。世代を越えて生きづらさを感じる現代社会では、前向きでも後ろ向きでもない、横向きの思考こそが人々を救ってくれる。  このnoteでは、私的な体験談を含めたコラムやエッセイ、職業病とも言うべきデザイナー思考を綴ろうと思う。平たく言えば、モノ好きなデザイナーの日常から趣味や遊びの話、たまには仕事のことを書くかもしれない。  何かの偶然で、このページを開いてくれた皆さんには、学生諸君からシニア世代まで男女を問わず、肩の力を抜いて

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