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#28 リアルアメリカ序章

人物、バンド名等説明
・ THE MORNING AFTER THE NIGHT BEFORE
:1997年に発売されたCHAOS U.K.のアルバム。
・ TAKE ME BACK TO SAN CLEMENTE:THE MORNING AFTER THE NIGHT BEFOREの4曲目。
・ テッド:STAR STRANGRED BASTARDSのベーシスト。
・ クリタ:静岡のHARD CORE PUNKバンド「SO WHAT」のドラムス。
・ ロング・ビーチ:アメリカ・カリフォルニア州南部、ロスアンゼルス近郊の街。
・ ダスティン:このときはSTAR STRANGLED BASTARSの運転手で、後にDOOMS DAY HOURのベーシスト。

#28 リアルアメリカ序章

 起きてからライブまでは時間があるので、サンクレメンテを散策する。街のシンボルとなる大きな桟橋から眺める街や海、これぞカリフォルニアという日差しの中、波乗りをしているサーファーなどの風景は、日本の海沿いの街とも似ている雰囲気が少なからずある。しかし違いもかなり大きく、リアルなカリフォルニアを体験できた。
 穏やかな気候と気のいい人間が多いこの街で、のんびりとした雰囲気が。とてもHARD CORE PUNKが似合う土地とは思えない。しかし街のPUNKショップに行くと、RYOの顔がドアップになっている鉄アレイのイギリスツアーのポスターが貼ってあるなど、PUNK色もある不思議な街だ。
 サンクレメンテにはCHAOS U.K.も来たようで、アルバム「THE MORNING AFTER THE NIGHT BEFORE」に収録されている「TAKE ME BACK TO SAN CLEMENTE」は、サンクレメンテを題材にした曲である。
 曲にしたくなるほどのいい街で、それは夜に行われたライブでも非常によく伝わってきた。

 急遽決まったライブにも関わらず、多くの客が来ている。中には「何だこいつらは?」と、文句を言うような人間もいたらしいが、そこはいつものアメリカだ。いいライブさえやれば問題ない。ライブでのパフォーマンスが一番重要なのは、日本もアメリカも変わらない。素晴らしい仲間と素晴らしい街という文句のつけようのない条件が揃えば、自ずとライブもいいものができる。
 この日のライブはアンコールが2回というアメリカに来て初の大盛り上がりで、物販もTシャツしかないのだが、どう見ても似合う感じではない人たちも買っていく。「レコードかCDはないのか?」と言われるなどが気に入ってくれたようで、急遽ではあるがやって良かったライブだった。
 しかし、日本で急遽明日ライブをやるからといって、ここまで人を集められるものではない。この辺りの音楽文化が、急遽行われたり中止されたりするライブ環境に慣れている土地なのかもしれない。STAR STRANGLED BASTARDSの地元での交友関係が広いのが一番大きいのだろうが、さすが地元というライブで、かなり面白い日になった。
 そしてこの日はテッドの家に泊まる予定だが、家に小さい女の子がいるとのことで、大騒ぎはなしだ。初めてに近いパーティーのないアメリカの夜だったように思うが、毎日パーティーだったので感覚は麻痺している。テッド曰く「今日は FIRST MAN SLEEPINGだ」と。アホだねこいつは、ああ楽しい。久々にゆっくり休み、翌日のロスアンゼルス(以降L.A)のライブに備えた。

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30年以上に渡るバンド活動とモヒカンの髪型も今年で35年目。音楽での表現以外に、日本や海外、様々な場所での演奏経験や、10代から社会をドロップアウトした視点の文章を雑誌やWEBで執筆中。興味があれば是非サポートを!