見出し画像

歌舞伎由来の言葉たち 第二幕

歌舞伎由来の言葉、第二幕の始まり始まり。


ケレン味
意味は、

俗受けすることをねらったやり方。はったりやごまかし。また、その程度。

精選版 日本国語大辞典

語源は、

ケレン味の「ケレン」は、江戸末期、歌舞伎で宙乗りや早替りなど、大掛かりで奇抜な演出をいった演劇用語から一般に広まった言葉。
それ以前は、他流の節で語ることをいった義太夫節の用語で、「正統でない」「邪道だ」の意味を含む言葉であったことまでは分かっているが、語源は未詳である。
「ケレン味」が用いられるようになったのは近代以後のことで、「ケレン味のない文章」というように「ない」を伴ない用いることが多い。

https://gogen-yurai.jp/kerenmi/

すべて漢字にすると「外連味」です。


黒幕(くろまく)
意味は、

表面には出ないで、指図をしたり、はかりごとをめぐらしたりする者。

デジタル大辞泉

語源は、

黒幕は、歌舞伎などの芝居で用いる黒い幕に由来する。
歌舞伎では、舞台・場面の転換や、夜の場面を表すため黒い幕を張った。
その陰で舞台を操ることから、裏で操る人を「黒幕」と言うようになった。

https://gogen-yurai.jp/kuromaku

似たような意味で「フィクサー」という言葉がありますがそちらは、

1976年(昭和51年)のロッキード事件の児玉誉士夫(よしお)の役回りをアメリカ議会でそう呼んだことから、日本でも用いられるようになったもの。

http://yain.jp/i/


差金/差し金(さしがね)
意味は、

陰で人に指図して操ること。

デジタル大辞泉

語源は、

差し金の語源には、ふたつの説がある。
ひとつは、歌舞伎で、黒塗りの竿の先に針金をつけ、チョウや鳥などの小動物を操るための小道具を「差し金」と言ったことから。
もうひとつは、人形浄瑠璃で、人形の手首や指を動かすのに用いる細い棒を「差し金」と言ったことから。
このうち、歌舞伎の小道具の説が一般的であるが、陰で舞台を操る意味から転じたことで共通するため、どちらが現在の「差し金」に由来するとは断定できない。

https://gogen-yurai.jp/sashigane/

ちなみに読み方が変わると意味も変わります。
「差金(さきん)」の場合は、

ある金額から他の金額を差し引いた残りの金額。差し引きの金額。差額。

精選版 日本国語大辞典

「差し金/差金(さしきん)」の場合は、

代金の一部として前もって支払う金。内金。手付金。

精選版 日本国語大辞典


どんでん返し
意味は、

正反対にひっくり返すこと。話・形勢・立場などが逆転すること。

デジタル大辞泉

語源は、

どんでん返しは、近世、歌舞伎の舞台で大道具を90度後ろへ倒し、底面を立てて次の場面に転換すること。また、その装置を「どんでん返し」といったことに由来する。
歌舞伎の「どんでん返し」の語源は、中が自在に回転する仕掛けの「強盗提灯(がんどうちょうちん)」。
この「強盗提灯」に似ていることから、「どんでん返し」を元々は「強盗返し(がんどうがえし)」と呼び、転じて「どんでん返し」となった。
「がんどう返し」が「どんでん返し」に転じたのは、「どんでんどんでん」という鳴り物の音からか、大道具を倒す時の音からといわれる。

https://gogen-yurai.jp/dondengaeshi/

「ラストに驚愕のどんでん返しが!?」というキャッチコピーは、最後に物語がひっくり返るという壮大なネタバレだと思う今日この頃です。


大詰/大詰め(おおづめ)
意味は、

物事の終末の段階。終局。

精選版 日本国語大辞典

語源は、

大詰めは、江戸の歌舞伎で時代物を演じる一番目狂言の最後の幕をいった言葉。
そこから、物事の終わりの段階を「大詰め」と言うようになり、歌舞伎に限らず芝居や戯曲でも最終幕を言うようになった。

https://gogen-yurai.jp/oozume/

いよいよこの記事も大詰め。
残りあと二つです。


大喜利(おおぎり)
意味は、

噺家が余興的に演じる言葉遊び。

とっさの日本語便利帳

語源は、

大喜利は、歌舞伎の「大切(おおぎり)」に由来する。
江戸時代の歌舞伎では一日一本立てで、それを二番に分けて、一番目の最終幕を「大詰」、二番目の最終幕を「大切」といった。
幕末以後には、前幕と関係ない独立した最後の一幕を「大切」というようになったが、いずれもその日の最終幕が「大切」で、縁起をかついで「大喜利」と当て字もされた。

https://gogen-yurai.jp/oogiri/

重要なものを表す言葉「大切(たいせつ)」とは関係がありそうですが語源は異なります。

大切(たいせつ)は「大いに迫る(切る)」「切迫する」の意味を漢字表記し、音読みさせた和製漢語。
「緊急を要するさま」の意味から、平安末期には「肝要なさま」の意味で「大切」が用いられた。
中世には「かけがえのないもの」の意味から、「心から愛する」意味としても使われるようになり、1603年『日葡辞書』では「大切」が「愛」と訳されている。

https://gogen-yurai.jp/taisetsu/


幕引き(まくひき)
意味は、

物事を終わらせる。

精選版 日本国語大辞典

語源は、

「幕を引く」の「幕」とは、舞台や劇場の幕のこと。つまり芝居や劇が終わり、幕が閉じる、下りることに由来。そして慣用句には多くの「幕」を使ったものがありますが、これらは歌舞伎に由来するといわれています。歌舞伎の舞台で使用される、左右に開閉する「引幕(ひきまく)」や、巻いて上げ下ろしをする「緞帳(どんちょう)」が慣用句の由来です。

https://study-z.net/100102756#h26


これにて幕引きといたしましょう。
ご精読、誠にありがとうございました。


この記事が参加している募集

#最近の学び

181,387件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?